2018年9月5日水曜日

国際宇宙ステーションの空気漏れの謎


先週、国際宇宙ステーション(ISS)でわずかな気圧の低下が見つかりました。ISS内を捜索した結果、ISSにドッキングしているロシアのソユーズ宇宙船に直径 2mm ほどの穴が開いているのが見つかりました(写真)。穴はエポキシ系樹脂の充填剤を使ってふさがれ、ISS内の気圧は正常に戻りました(写真)。

問題は穴が開いた原因です。当初は微少な隕石が衝突して開いたとみられていたのですが、ロシア側の分析で宇宙船の内側からドリルを使って開けられたものであることが明らかになりました。公開された穴の写真を見ると、穴の周囲にはドリルの刃先が滑ってできたような傷痕も残っています。穴が見つかった場所は、クッションで覆われていて目につきにくいところでした:

さまざまな憶測が取りざたされています。ソユーズ宇宙船の製造過程で、作業員が誤って穴を開けてしまい、そのミスを隠すためにあり合わせの充填剤で穴をふさいだが、充填剤が宇宙空間にさらされているうちに乾燥・収縮して脱落し、空気漏れが始まったとする説、意図的な妨害工作だとする説、さらにはホームシックで精神的に不安定になった ISS 滞在中の宇宙飛行士が早く地上に帰れるように穴を開けたとする説など(NASAが穴の写真を削除したことも憶測が広がる一因になっているようです):

6人が滞在している ISS で、ドリルを使って金属に穴を開けようとすれば、騒音で他の宇宙飛行士に気づかれるのではないでしょうか。