2024年8月2日金曜日

イエローストーンの間欠泉が「異常」噴出 (続報-164)

 
 米国イエローストーン国立公園の 7月の状況です。
 
7月15日にスティームボート間欠泉(地図)の噴出がありました。今年 4回目の噴出です。
 
日付(現地時間) 間隔(日)
1
2月26日 58
2
4月3日 37
3
5月30日 57
4
7月15日 46
 
 
7月の地震活動は通常のレベルでした。全体で 64件の地震が観測され、最大は 7月21日に発生した M2.7 でした。7月11日から 12日にかけて群発地震があり、10件の地震が観測されました。
 
イエローストーン・カルデラとノリス間欠泉盆地では、わずかな隆起(1cm 未満)が観測されました。これは、毎年夏期にみられる雪解け水や地下水流入による季節的な現象です。2015 年以来、イエローストーン・カルデラは年間約 3cm の速度で沈下していますが、沈下は毎年夏に停滞あるいはわずかな隆起によって中断されます。
 
ビスケット・ベイスンの熱水爆発

7月23日、ビスケット・ベイスンのブラック・ダイヤモンド・プールで熱水爆発が発生しました。この爆発は、プールの地下の浅いところにある熱水系内の圧力変化により、水が液体から蒸気に変化したことが原因で発生したもので、地震活動や火山活動の変化とは関係がないとのことです。
 
爆発と熱水の噴出により、大きさが 40 cm を超える岩石が 1400 個以上飛散し、プールの周囲に堆積しました。熱水、蒸気、および瓦礫の噴出は主に北東方向に向いていました。爆発で噴出した岩石は、地表から約 50m 以内にある砂岩、シルト岩、および氷河の瓦礫で、より深いところに存在する流紋岩の岩盤は堆積物の中に見つかりませんでした。岩石の破片の多くはシリカで覆われていました。これらの観察結果から、爆発はプールの真下にある浅いところの熱水系で発生したこと、シリカの蓄積により熱水系の一部がふさがり、圧力が上昇したことが原因である可能性が最も高いと考えられています。
 
サファイア・プールやジュエル間欠泉など、ビスケット・ベイスン内の他の地形は爆発の影響を受けていないもようです。今回の熱水爆発に関連する地震や地殻変動に変化はありませんでした。イエローストーン国立公園では小規模な熱水爆発は平均して年に数回発生しています。7月23日に発生したような規模の爆発は10年あるいは数10年に1回程度ということです。