13年7月2日付「大地震の危機迫るイスタンブール」の続報です。
ドイツの国立研究機関・GFZヘルムホルツ地球科学センターの研究結果です。イスタンブール(地図)の南にはマルマラ海が広がっており、その海底には長大なマルマラ断層が東西方向に走っています。この断層では大きな地震がたびたび起きているのですが、それらの地震の震源が西から東に移動し、2025年4月にはイスタンブールの南西で M6.2 が発生しました(震源移動図):
マイン・マルマラ断層(MMF)は、ヨーロッパ全域で最も危険でリスクの高い断層帯であり、ユーラシア・プレートとアナトリア・プレートの間にある北アナトリア断層帯の中で、1766年以降、M7 を超える大地震が発生していない唯一の地域である。この地域における大地震の平均発生率は、2000年以上にわたる記録から推定すると 250年である。したがって、マイン・マルマラ断層は既に地震サイクルの末期にあり、大地震へと破壊する可能性がある。
マルマラ断層はいくつかの特徴的なセクションに分かれていることが明らかになっている。西部のクリープ・セクションでは、同じ場所で繰り返し発生する小規模地震の解析から、テクトニック・エネルギーの一部(最大約50%)が緩やかな(したがって非地震性の)クリープによって解放されていることが確認されている。東に向かうにつれて、「遷移セクション」におけるクリープの割合は小さくなり、イスタンブールのすぐ南では断層は完全に固着している。
マルマラ断層(MMF)では、2011年から中規模地震が連続的に発生しており、その震源はイスタンブール西部の南方にある固着部に向かって東方へ移動し、その規模は概ね増大している。MMFの活動は、マグニチュードが徐々に増加し、2025年に発生した M6.2 のマルマラ地震で最高潮に達した。この地震は、MMFにおける過去 60年以上で最大の地震である。
2025年4月に発生した M6.2 の地震のパターンは、以前に観測された地震と一致しており、地震エネルギーの放出が、イスタンブール南部のプリンセス諸島の固着部に近い地域へと近づいている。この地域は、単独で M7 程度の地震を引き起こす可能性がある。
「私たちの研究結果は、イスタンブールに隣接する固着断層セグメントに向かって、部分的な地震破壊が長期にわたって進行していることを示している。」
「次の大地震は、イスタンブール南方のプリンセス諸島の完全固着部分の西側、あるいはその直上で発生する可能性が高い」、「この地震は M6 の規模になる可能性もあるが、断層は明らかに限界荷重を受けており、既に相当のエネルギーを蓄積しているため、さらに大きな地震を引き起こす前兆となる可能性もある。」
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