2009年12月25日金曜日

土星のヘキサゴン、タイタンの輝く湖

“スプリング・ハズ・カム”(春が来た)は、日本人が英語の「現在完了」を学ぶときに最初に出くわす文章ではないでしょうか。現在、土星やその衛星の北半球は、まさに“スプリング・ハズ・カム”状態です。これまで十数年にわたって日の当たらなかった北極圏に太陽光が届くようになり、新たな観測が可能になっています。

以下は、土星を周回中の探査機カッシーニから送られてきた画像をつなぎ合わせた動画です:
土星の北極圏を可視光線で撮影したものですが、六角形(ヘキサゴン)をした大気の流れが写っています。地球にもあるジェット気流が蛇行しているものと考えられていますが、なぜ六角形になるのかは分かっていません。

2006年末に撮影され、翌 2007年に公開された画像にも六角形が写っています。このときは土星の北半球が冬で、北極圏に太陽光が届かないため、可視光線ではなく赤外線で撮影しています。そのため、上記の画像に比べると解像度が劣っています:
土星系最大の衛星タイタンの北半球にも春が訪れています。これまで日の当たらなかった北極圏にある、液体の炭化水素(メタンやエタンなど)をたたえた湖が太陽光を反射して輝いています:
写真は今年 7月に撮影されたものですが、この輝きが雷などの発光現象や火山の噴煙などでないことを確認する作業を経て、このほど公開されました。Kraken Mare(クラーケンの海)と名付けられた湖の南岸部分が、太陽光を反射して輝いているものと考えられています。Kraken Mare は面積約 40万 km² で、地球最大の湖であるカスピ海(37万 km²)や、日本の国土面積を上まわっています。


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