2009年12月28日月曜日

スマトラ島沖大地震と超強磁場中性子星の巨大フレア

テレビや新聞等で報道されているように、2004年 12月 26日に発生したスマトラ島沖大地震(M9.1 ~ 9.3)とそれに伴うインド洋大津波の発生から 5年が経過し、各国で犠牲者を悼む催しが行われました。この災害では、日本人も数十人が犠牲になっています。

この大災害直後の 12月 27日から 28日にかけて、地球が天文学的な大嵐に襲われたことを記憶している方は少ないと思います。超強磁場中性子星(マグネターSGR 1806-20 の巨大フレアが送り出した、観測史上最大強度の宇宙ガンマ線やエックス線が地球に到達したのです。SGR 1806-20 は、地球から「いて座」の方向に 5万光年離れたところにあり、銀河系中心を挟んで太陽系の反対側に位置する天体です。飛来したガンマ線の強度があまりにも強かったため、軌道上の観測装置のほとんどは飽和するか故障する事態になりました。また、地球の大気上層部も電離し、地球の磁場が大きく変動しました:
当時のことをふり返って、もしスマトラ島沖大地震と観測史上最強の宇宙ガンマ線飛来の前後関係が逆だったらと考えると、実にイヤな気分になります。疑似科学やトンデモ説をもてあそぶ人たちに、格好の材料を与えることになったであろうと思うからです。そして、太陽面でフレアが発生したり、地球の磁気圏が乱れたりするたびに、そのような人たちが「地震が起こるゾ」と大騒ぎする様子が目に浮かびます。当時も、時差の関係などを持ちだして、大地震と宇宙ガンマ線の前後関係を何とか逆転させ、無理矢理、宇宙ガンマ線を大地震の原因に仕立て上げようとする人たちがいたものです。