2009年3月3日火曜日

トンガの地震は津波を起こしにくい

先月末にこのブログに書いた「深発地震のダブルヘッダー 」は、トンガ周辺でおきる深発地震についてのものでしたが、もう一つトンガの地震について書きます。下記は少し古い記事ですが、2006年5月3日に発生した南太平洋トンガの大地震はなぜ大きな津波をおこさなかったか、を説明しています:
記事によると ―― この地震は M8.0(USGS は後に M7.9 に修正)、震源の深さ 55km。プレート境界で発生する圧縮応力による逆断層型の地震ではなく、沈み込んでいる海洋プレート(スラブ)内で伸張応力によって発生した地震。そのため、上盤(陸側)プレートの跳ね上がりがなく、大きな津波が発生しなかった 。トンガ周辺で発生する地震では大きな津波がおきることは少ない ―― とのことです。

プレートの沈み込み帯には、大きく分けてチリ型とマリアナ型があります。チリ型は若い海洋プレートが低角度で沈み込み、上盤(陸側)プレートと広い面積で強く結合しているのに対して、マリアナ型ではスラブが急角度で沈み込み、上盤プレートと海洋プレート(スラブ)の結合が弱いという特徴があります。上記のトンガの地震は、トンガ・ケルマディック海溝から沈み込んだスラブ内で発生したものですが、この海溝はマリアナ型と考えられています。上盤プレートと海洋プレートの結合が弱く、プレート境界型の大地震が発生しにくい場所です。

例外も多いのですが、チリ型では付加体が発達しやすいのに対して、マリアナ型では付加体が形成されにくいという特徴もかつて指摘されたことがあります。実際に、トンガ・ケルマディック海溝では、ほとんどの領域にわたって付加体が形成されていません。

2006年5月3日のトンガ大地震についての資料は以下にあります。2番目のサイトは見た目がいささかケバケバしいですが、内容はまじめです: