2021年6月17日木曜日

NASA: 金星のプレート・テクトニクスを調査へ

 
米国航空宇宙局(NASA)が 2つの金星探査ミッションを決定しました。両ミッションとも打ち上げは 2028年から 2030年の間とされています:
DAVINCI+(Deep Atmosphere Venus Investigation of Noble gases, Chemistry, and Imaging、希ガス、化学、およびイメージングを目的とした深層大気金星調査)と名付けられたミッションでは、球形の探査機を金星の大気中に送り込みます。

VERITAS(Venus Emissivity, Radio Science, InSAR, Topography, and Spectroscopy、金星放射率、電波科学、InSAR、トポグラフィー、および分光法)というミッションでは、金星を周回する探査機を使って、金星表面のほぼ全域をさまざまな手法で調査します。
 
以下は、上掲 NASA 資料の抜粋・テキトー訳です:
DAVINCI+ は、金星の大気の組成を測定し、金星がどのように形成され、進化したかを理解するとともに、金星に海洋があったかどうかを調べます。ミッションは単一の降下球からなります。この降下球は金星の濃密な大気の中を降下し、希ガスやその他の元素を精密に測定することで、金星の大気圏が地球と比べてなぜ暴走した温室になっているのかを解き明かします。

また、DAVINCI+ は、金星に存在する「テッセラ」と呼ばれる独特の地形を初めて高解像度で撮影し地球に送ります。テッセラは地球の大陸に相当する可能性があり、金星にプレート・テクトニクスが存在することを示唆しています。
 
VERITAS は、金星の表面をマッピングして、金星の地質学的な歴史を明らかにし、なぜ金星が地球とは非常に異なる進化を遂げたのかを解明します。合成開口レーダーを搭載して金星を周回する VERITAS は、金星のほぼ全域にわたって地表の高さを測り、地形を3次元的に再現し、プレート・テクトニクスや火山活動などのプロセスが金星で今も活発に行われているか否かを確かめます。

また、VERITAS は金星の表面から放射される赤外線を利用して、これまでほとんどわかっていなかった岩石の種類を調べて分布図を作ったり、活火山が大気中に水蒸気を放出しているかどうかを調べたりします。
 
私は、金星にも火星にもプレート・テクトニクスやプルーム・テクトニクスが作用していた時期があったし、現在もその残り火のような活動が続いているのではないかと考えているので、DAVINCI+ や VERITAS の探査結果が楽しみです。

以下は、DAVINCI+ の主要な調査目標になっている代表的なテッセラ "Alpha Regio" のレーダー画像です。テッセラは、険しい山々に覆われた高地で、金星上で地質学的に最も古い領域ではないかと考えられています:
 
 関連記事