巨大な太陽系外縁天体(Trans-Neptunian Object、海王星以遠天体)が太陽に接近中であることが、6月19日に発表されました:
〝2014 UN271〟という仮番号が付与されたこの天体は、2014年から 2018年にかけて実施されたダーク・エネルギー・サーベイの間に撮影された画像の中から発見されたものです。2014年の時点では太陽から 29天文単位(地球から太陽までの平均距離= 1天文単位)離れていましたが、現時点では 20天文単位にまで近づいています。
この天体は非常に細長い公転軌道をもっており、遠日点では太陽から 0.2光年(約 1兆9000万km)離れ、近日点では 10.9天文単位(約 16億km、土星の公転軌道の外側)まで太陽に近づきます。公転周期は約 60万年。太陽系の外縁を漂うオールトの雲に由来する天体であることはほぼ間違いないとされています。
〝2014 UN271〟の直径は 100〜370km と見積もられています。表面の反射率がこの種の天体の平均値である 4% であるとした場合は 200km程度、実際の反射率がこれより高ければもっと小さく、反射率が低ければもっと大きい可能性があります。
〝2014 UN271〟は、2031年初頭に近日点に到達します。公転軌道が黄道面(地球などの公転軌道を含む平面)に対して 90度以上傾いているため、黄道面の南側から近日点に近づいてきます。
近日点通過時の明るさは 18等級ほどと推定されていますが、太陽に近づくことによって表面の氷などが気化して天体を覆うようになればもっと明るくなる可能性があります。現時点ではまだガスの放出は見られないとのことです。
これまでで最大とされる彗星はヘール・ボップ彗星(1997年の大彗星)とされていますが、その直径は 50km ほどでした。もし〝2014 UN271〟が彗星だとすると、これを上回ることになります。
- Extremely eccentric minor planet to visit inner solar system this decade (軌道図あり)
- Don’t panic! But a gigantic comet is currently inbound toward the Sun (軌道図等あり)