2018年4月15日日曜日

アトランティスという寓話


以下は3月3日付で米国版 Newsweek 誌に掲載された記事です:

いずれ同誌の日本語版に翻訳が掲載されると思っていたのですが、現時点でも見つかりません。そこで、以下に記事の主要部分を抜粋・テキトー訳してみました:
ノースウェスタン大学教授でプレートテクトニクスと地球科学が専門の Seth Stein 氏によると、真の古代文明としてのアトランティスを排除する強力な理由の一つは、それがまだ見つかっていないという事実である、ということだ。

「今日の海底地図作成技術は極めて高度なものです。科学者たちは海洋底を「見る」ために、音波のパルスを発射して海の深さを測定するソナー技術を使っています。この技術を使って(大西洋の)すべての海底の地図がすでに作られているのですが、アトランティスは見つかっていません」と Stein 氏はニューズウィーク誌に語った。(アトランティスが正確にはどこにあったのかについては多くの説がある。)

「私たちは大西洋について非常に精度の高い海底地図をすでに手にしているのですが、そこに大陸の痕跡は見当たりません」と Stein 氏は話す。「もし失われた大陸があったのであれば、とっくの昔に見つかっているはずなのです。」 他の(大西洋以外の)海洋についても同様である。

万が一、この高度な地図作成技術が(アトランティスの)沈んだ都市を見逃すことがあったとしても、沈んだ都市が存在すること自体が科学的に不可能なのだ。Stein 氏によれば、密度の低い物体は、それよりも密度の高い物体の中に沈んでいくことは絶対にできない。より具体的に言えば、大陸が海底に沈んでいくことは不可能なのである。

長い時間をかけた海水面の上昇や下降によって、島々が消滅したように見えることがある。しかし、島々は沈んだのではなく、単に一時的に海水に覆われたにすぎない。島々は浸食されることがある。天候や海洋などの自然の要因が土壌を削ることによって生じるプロセスだ。しかし、浸食作用では大陸が消え去ることを説明することはできない。

アトランティスの物語は、歴史的なフィクションというよりは寓話として始まったのかも知れない。アトランティスについて最初に言及したのは紀元前330年前後のプラトンまで遡るが、道徳的な教訓を垂れるために創作された可能性がある。アトランティスの人々は文明的には進歩していたが、強欲であったことが彼らを滅亡に導いたのだ、と Live Science(科学ニュースのウェブサイト)は書いている。

あればおもしろいかも知れないが、大西洋の海底には古代の大陸は存在していない。

アトランティスは存在していないし、過去にも決して存在していなかったということは、現在では多くの科学的な証拠にもとづいて保証されている。

以下は、Live Science に2月28日付で掲載された記事です。記事の末尾には「『アトランティスの失われた都市』は決して失われてはいない。それは、これまでも常にそうであったようにプラトンの著作の中に存在している」と書かれています:

以下は、『ナショナル ジオグラフィック』誌に掲載された記事です。「プラトンはおごれる者の寓話を見事に描いたが、あまりにも緻密な描写とアトランティスをめぐる熱狂のため、物語が持つ真の意味はかき消されてしまったようだ」:

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