2017年9月1日金曜日

NASA: イエローストーンに水を注入して破局的噴火を抑止 (その2)


8月31日付「NASA: イエローストーンに水を注入して破局的噴火を抑止 (その1)」の続きです。

BBC の記事の抜粋・テキトー訳を続けます:
一つの可能性は、単純にスーパーボルケーノ内の水の量を増加させることである。しかし、現実には、そのような構想を支持するように政治家を説得するのは不可能に近いだろう。

「山岳地帯を登っていくような巨大な送水管を建設するのは費用がかかりますし、国民は自分たちの水がそのような目的に使われることを望まないでしょう」、「世界中で人々は水を必要としていますから、スーパーボルケーノを冷やすためだけに水を使う巨大なインフラストラクチャーのプロジェクトは論争を呼ぶことになるでしょう」と Wilcox 氏は語る。

そのようなプロジェクトとは非常に異なった計画をNASAでは構想している。最も実現性が高い解決策は、スーパーボルケーノの内部を最大10kmまで掘削し高圧の水を注入することだ、とNASAは考えている。循環する水は350℃前後まで加熱されて戻ってくる。それによって、火山から日毎にゆっくりと熱が抽出されていく。このプロジェクトにかかる費用は概ね34億6千万ドルと見積もられているが、政治家に投資を決断させる魅力的な謳い文句が付いている。

「現在、イエローストーンは6GW(ギガワット)のエネルギーを熱の形で放出しています」、「プロジェクトでイエローストーンを掘削すれば、その熱を利用する地熱発電所を建設し、キロワット時あたり約0.10ドルという極めて競争力のある価格で電力を生みだすことができるのです。通常よりも深い場所まで掘削し、通常よりも高い温度の蒸気を使うことになるので、地熱発電企業には奨励金を与える必要があるかも知れませんが、そのような初期投資の見返りが得られ、さらに周辺地域には今後数万年間にわたって電力を供給できる可能性を秘めているのです。そして、長期的な利点として、人類を絶滅させる恐れのあるスーパーボルケーノの噴火を未然に防ぐことができるのです」と Wilcox 氏は語る。

しかし、スーパーボルケーノを掘削することにはリスクがある。すなわち、防ごうとしている噴火を引きおこしてしまうのではないか、という点だ。

「最も重要なのは災害を起こさないことです」、「マグマ溜まりの頂点へ向かって掘削し、そこから冷却しようと試みるのは大変に危険です。そのような方法をとれば、マグマ溜まりの上部を覆っている岩盤を脆弱にし壊れやすくしてしまいます。さらに、通常ならマグマ溜まりの上部に溜まっていて放出されずにいる有害な揮発性ガスが放出されるきっかけとなりかねません」と Wilcox 氏は語る。

続く