2014年3月31日月曜日

プレート運動の原動力に関する新しい発見


3月31日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が以下のような報道機関向け発表を行いました。少なくとも中央海嶺の近くでは「マントルの流動によって地殻の底が中央海嶺から離れる方向に引きずられて」いることの証拠を見つけたというものです:

マントルの動因については、大きく分けて2つの説があります。(a)「プレートの下にある高温で粘性の低いマントル(アセノスフェア)の運動によって、その上のプレートが引きずられる」という説と、(b)「海溝から地球内部に沈み込むプレートが、プレートそのものの自重によって残りの部分を引っ張る」という説です。最近では、(b)の説が有力になっていましたが、今回発表された研究成果は(a)の説を支持するものです(少なくとも中央海嶺の近くでは)。

(b)の説が有力になっていたことは、最近出版された『図解・プレートテクトニクス入門 なぜ動くのか? 原理から学ぶ地球のからくり』(木村学・大木勇人、講談社ブルーバックス、2013)の記述からもうかがえます。以下、少し長くなりますが引用します:
プレートが運動する原因として、海嶺から近い順に見ていくと、次のことが考えられます。
  1. 海嶺に上昇するマントルが押し出す
  2. 海嶺の斜面をプレートが滑り落ちる(リッジ押し)
  3. マントル対流の水平方向の動きが引きずる
  4. 沈み込んだプレートの重さが引き込む
結論を先に言うと、(中略) (2)と(4)がプレートを動かす主な原因です。

また、同書には「近年わかってきたマントル対流の姿は、プレートの運動とぴったり一致しているわけではありません」、「プレートに接するマントルは、むしろプレートの運動に引きずられて、受動的に動くと考えられます」とも書かれています。

話を海洋研究開発機構の発表にもどすと、「新しい発見」とは、(1)海洋地殻下部に約2.5km間隔で一定に分布している構造不連続面(リーデル剪断)と(2)その直下の最上部マントルにある地震波伝搬速度の方位異方性です。これらは、「マントルの流動によって地殻の底が中央海嶺から離れる方向に引きずられていた」ことを示しており、「マントルの流動がプレート運動の原動力であることを示す有力な証拠」なのだそうです。

見つかった構造不連続面の成因が本当にリーデル剪断であるのかなど、議論を呼びそうです。


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