2023年7月17日月曜日

バリンジャー級小惑星が月と地球に接近・通過

 
7月13日に小惑星〝2023 NT1〟が 、月と地球の近くを通過していたことが、7月16日付のNASA/JPLのデータベース更新で明らかになりました。

この小惑星は推定直径 27〜60m と大きく、NASA/JPL では "airplane-size" と表現しています。この大きさの天体が今回の距離まで地球に近づくのは、NASA/JPL の希少度(rarity)の定義では「3」で、おおよそ 10年に 1回の頻度であるとされています。
 
米国アリゾナ州に直径 1.2km、深さ 200m、周壁の高さ 30m のバリンジャー・クレーター地図)を残した天体の推定直径は 30〜50m とされていますから、今回の 2023 NT1 はそれよりも大きい可能性があります。また、2013年にロシア・チェリャビンスク州上空で爆発し、5000棟の建物を損傷し、1500人を負傷させた天体の大気圏突入前の大きさは 17m とされているので、それも上回っていることになります。
 
この小惑星の発見が地球接近の 2日後になったのは、この天体が太陽の方向から地球に近づいてきたためです。太陽の方向は小惑星探索の盲点です。欧州宇宙機関(ESA)ではその弱点を克服するために、ラグランジュ点(L1)に滞留して小惑星を監視する機器の打ち上げを計画していますが、実現は 2030年以降になりそうです。 

 
2023 NT1 (2023年7月16日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)7月13日 17:27
 (地球)7月13日 19:12
接近日時 誤差
(月)± 7 分
(地球)± 8 分
接近距離 (月)1.173 LD
(地球)0.263 LD
推定直径
27 ~ 60 m
対地球相対速度
11.3 km/s ≅ 4万1000 km/h
初観測から地球接近まで−2 日
次の地球接近2049年8月4日ごろ
公転周期911 日 ≅ 2.49 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。