7月13日に小惑星〝2023 NT1〟が 、月と地球の近くを通過していたことが、7月16日付のNASA/JPLのデータベース更新で明らかになりました。
この小惑星は推定直径 27〜60m と大きく、NASA/JPL では "airplane-size" と表現しています。この大きさの天体が今回の距離まで地球に近づくのは、NASA/JPL の希少度(rarity)の定義では「3」で、おおよそ 10年に 1回の頻度であるとされています。
米国アリゾナ州に直径 1.2km、深さ 200m、周壁の高さ 30m のバリンジャー・クレーター(地図)を残した天体の推定直径は 30〜50m とされていますから、今回の 2023 NT1 はそれよりも大きい可能性があります。また、2013年にロシア・チェリャビンスク州上空で爆発し、5000棟の建物を損傷し、1500人を負傷させた天体の大気圏突入前の大きさは 17m とされているので、それも上回っていることになります。
この小惑星の発見が地球接近の 2日後になったのは、この天体が太陽の方向から地球に近づいてきたためです。太陽の方向は小惑星探索の盲点です。欧州宇宙機関(ESA)ではその弱点を克服するために、ラグランジュ点(L1)に滞留して小惑星を監視する機器の打ち上げを計画していますが、実現は 2030年以降になりそうです。
2023 NT1 | (2023年7月16日付予報) |
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接近日時(日本時間) |
(月)7月13日 17:27 (地球)7月13日 19:12 |
接近日時 誤差 |
(月)± 7 分 (地球)± 8 分 |
接近距離 | (月)1.173 LD (地球)0.263 LD |
推定直径 |
27 ~ 60 m |
対地球相対速度 |
11.3 km/s ≅ 4万1000 km/h |
初観測から地球接近まで | −2 日 |
次の地球接近 | 2049年8月4日ごろ |
公転周期 | 911 日 ≅ 2.49 年 |
分類 |
アポロ群 |
(1LD=地球から月までの平均距離)
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
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