2019年1月26日土曜日

カイパーベルト天体 Ultima Thule (続報-4)


"Ultima Thule" という名称に政治的なクレームがついていたとは知りませんでした。日本の旭日旗や類似のデザインに対する隣国からの言いがかりと似ています:

"Ultima Thule" という名前は、ハッブル宇宙望遠鏡によって 2014年に発見されたカイパーベルト天体 486958(2014 MU69)に与えられた愛称です。NASA が公募し、冥王星探査機 New Horizons の第2の探査目標にふさわしい名前として選ばれたものです。

"Thule" は古代ギリシャやローマの文献に登場する地名で、最も北にある土地を指しており、イギリスの北にあるオークニー諸島やシェトランド諸島などに比定されています。"Ultima Thule" はさらに遠く、既知の世界の外側にある場所を指す言葉です。"Thule" をアイスランド、"Ultima Thule" をグリーンランドと解釈することもあるようです。

一方、ナチスが喧伝した「神話」では、"Ultima Thule" はアーリア人発祥の地とされ、現在もネオナチなどが使用することがあり、これらの点がクレームの根拠となっているようです。

NASA は使用をやめる気はないようです。「"Ultima Thule" は非常に古く、過去何世紀、たぶん何千年にもわたって使われてきた名称で、(カイパーベルト天体の)探査にふさわしい素晴らしい名前です」、「過去に悪い人たちがその言葉を好んで使ったことがあったとしても、その言葉をその人たちに乗っ取られたままにしておくつもりは私たちにはありません」。New Horizons ミッションの研究主任が記者会見でこう述べると、会場の記者たちから拍手が起きたとのことです。


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