2009年5月5日火曜日

惑星の内部は透明?

紹介しそびれていた少し古い記事です。高い圧力の下でナトリウムが透明になるとの実験結果が報告されています:
アメリカと中国の科学者が理論的に予言していたものの、他の科学者は懐疑的であった現象を、ドイツのマックス・プランク化学研究所が実験で確認したということです。

われわれが実験室などで目にするナトリウムは次のような性質を持っています:
銀白色の軟らかい金属。酸素と化合しやすく、湿った空気中では、その表面に水酸化ナトリウムを生成して光沢を失う。また、水と激しく反応して水素を発生するから、石油中に貯える。(『広辞苑』岩波書店)
ところが、同じナトリウムに高い圧力をかけると最終的には無色透明になるのだそうです。上記の記事に写真が掲載されていますが、約 150万気圧で黒くなり、約 190万気圧で赤みを帯びた透明になっています。理論的には約 300万気圧で完全に無色透明になるとのことです。

金属が不透明なのは、内部に自由に動き回る電子があり、これが光と相互作用して不透明な金属光沢を作り出しているからです。記事によると、非常に高い圧力の下では、ナトリウムの結晶構造が変わり、電子がナトリウム原子間にできた「孔」にはまりこんで、疑似原子のようにふるまうようになり自由に移動できなくなるので、光が透過するようになるのだそうです。

他の元素についても同じ現象が起きるのか否かはわかりません。しかし、起きると仮定して想像を膨らませると、どうでしょうか。ご存知のように木星や土星の中心部は超高圧で金属水素の核があるといわれています。これが透明だということもあり得るのではないか、もしそうだととすると、惑星の中心部で発生した熱は伝導や対流だけではなく放射によっても惑星の外殻に伝わるのではないか、地球の内核はどうなのだろうか、地球の内部は意外に見晴らしがいいのではないか、などなど。