2017年5月24日水曜日

コスタリカ沖中米海溝 (その2)


4月30日付「コスタリカ沖中米海溝 (その1)」からの続きです。

中米・コスタリカ沖で起きている海山の沈み込みについて書かれた論文を紹介します。題して「海山の沈み込みに伴う上部プレートの変形」。全18ページにおよぶ長~い英語の論文ですが、心配ご無用。掲載されている12枚の図を順番に見ていくだけで、コスタリカ沖の中米海溝で何が起きているのか、十分に理解できます:

Fig. 1
プレート境界近くに存在する海山の形状(シルエット)。形状を明確にするために、垂直方向は水平方向に比べて5倍に拡大されています。したがって、実際の海山はこの図から受ける印象よりずっと平たいことに留意して下さい。第一鹿島海山や襟裳海山、拓洋第1海山など、日本近海の海山の姿も描かれています。

Fig. 2Fig. 3
海山の沈み込みをシミュレートする砂箱実験装置とその断面図。

Fig. 4
第1の実験。円錐状の海山の沈み込み(aからdの順に進行)。

Fig. 5
第1の実験の構造的解釈。図中の円は沈み込んだ海山の位置を示しています(aからdの順に進行)。

Fig. 6
(a)円錐状海山の沈み込みを俯瞰。沈み込みによって生じた破砕や亀裂がよく見えます。(b)(a)の構造的解釈。(c、d)高さの異なる円錐状海山の沈み込み。

Fig. 7
第2の実験。平頂海山(ギョー)の沈み込み(a、b、cの順に進行)。

Fig. 7(continued)
第2の実験(c)の構造解釈。

Fig. 8
コスタリカ沖プレート境界の俯瞰。円錐状海山の沈み込みによってできた複数の凹部がプレート境界にあります(同じ部分をグーグル・マップでご覧ください)。

Fig. 9
コスタリカ沖プレート境界にある凹部の一つを拡大。4つの画像はいずれも同じ場所ですが想定光源の位置を変えて描画しています。扇状に広がる断層のネットワークが見えます(同じ部分をグーグル・マップでご覧ください)。

Fig. 10
研究対象としたコスタリカ沖プレート境界の地質構造地図。

Fig. 11
第一鹿島海山地図)周辺の日本海溝の立体構造。垂直方向は水平方向に比べて5倍に拡大されています。図の左(上)側が日本列島、右(下)側が太平洋側。第一鹿島海山の半分はすでに日本海溝(JAPAN TRENCH)に落ち込んでいます。海溝を挟んだ日本列島側にも大きな変形が起きています。第一鹿島海山の先行翼部の沈み込みによって同海山に面する部分が隆起しています。また、変形の先端部(図の左上)には第一鹿島海山に先行して沈み込んだ別の海山による隆起が見られます。

Fig. 12
(a)沈み込んだ海山周辺のデコルマ(注)の形状を示す略図。グリッド(格子)は応力の最大と最小の方向を示しています。(b)沈み込む海山の前面(陸側)にできる断層面の形状。沈み込みの進行にともなってこのような断層面が次々に形成される。

(注)デコルマ(decollement): 断層のうち、断層面の傾斜がほぼ水平のもの。


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