2011年8月16日火曜日

NASAがエレーニン彗星についてお答えします (その1)


エレーニン彗星について、当ブログの8月8日付の記事「エレーニン彗星についての Q&A (その1)」・「(その2) 」・「(その3)」では、オーストラリアの専門家によるQ&Aを紹介しましたが、今回はNASAが公開しているQ&Aの総集編を紹介します:

以下は、上記ウェブ・ページのテキトー訳です:
彗星は、映画やテレビではしばしば悲観的な未来の予兆として描かれます。しかし、ほとんどの彗星は地球の脅威となるものではありません。私たちのいる内部太陽系を訪れる彗星としては最新のものであるエレーニン彗星も例外ではありません。この彗星は、2011年10月16日に地球に最も近づきますが、そのときの地球までの距離は約3500万kmです。

天文学上の名前〝C/2010 X1〟としても知られているこの彗星は、ロシアのリュベルツイ(地図)在住の観測者レオニード・エレーニンによって2010年12月10日に発見されました。彼は、ニュー・メキシコ州にある天文台を遠隔使用することによってこの彗星を発見したのです。発見当時、エレーニン彗星は地球から約6億4700万km離れていました。それ以降、ほかのすべての彗星と同様に、エレーニン彗星は近日点(彗星の軌道上で太陽に最も近い点)に向かって移動を続け、それにともなって地球との距離も縮んできました。

NASAの科学者たちは過去数ヶ月間、皆さんから寄せられる質問に答えるために時間を割いてきました。以下に集めたのは、最も多かった質問のいくつかと、それに対する回答です。回答者は、NASAのジェット推進研究所(カリフォルニア州パサディナ)にあるNASA地球近傍天体プログラム・オフィスのドン・ヨーマンズ(Don Yeomans、写真)と、NASAエイムズ研究センター(カリフォルニア州モフェット・フィールド)にあるNASA宇宙生物学研究所のデービッド・モリソンです。

エレーニン彗星について最も多く寄せられた質問

エレーニン彗星が地球に最も近づくのはいつですか? 最も明るく見えるのはいつですか?
エレーニン彗星は2011年10月16日に地球に最も近づきますが、その少し前に最も明るくなるはずです。地球最接近時の距離は3500万kmです。

エレーニン彗星は地球に近づいたり、地球と月の間に入って来たりするのですか?
エレーニン彗星が3500万kmよりも地球に近づくことはありません。この3500万kmkという距離は、地球と月の距離の90倍を超えています。

この彗星が、現在の位置や将来の位置から私たちに影響をおよぼすことがありえますか? この天体が、海水や、さらには地球上のテクトニック・プレートの移動を起こすことがありますか?
エレーニン彗星と他の天体の整列によって地球上に何かがおきるとか、外部の力によってエレーニン彗星がさらに地球に近づくなどといった事実に反する憶測がインターネット上に見受けられます。
「エレーニン彗星と他の天体のいかなる近似的な整列も意味はまったくありません。また、エレーニン彗星がその軌道を変化させるような暗い天体と遭遇することもありませんし、地球上に住んでいる私たちにいかなる面でも影響を与えることはありません。」(ジェット推進研究所のドン・ヨーマンズ)

「エレーニン彗星は地球から遠いだけではなく、彗星としては小さな部類に入ります」、「そして、彗星は高密度な天体ではなく、ゆるく充填された氷玉と同じ程度の密度を持つものがほとんどです。」(ヨーマンズ)

「3500万km彼方かそれよりも遠いところに、ささやかなサイズで泥だらけの氷の球体があると想像してください」、「それが地球におよぼす影響は測定不可能なほど小さいものです」、「比較計算すると、私のサブコンパクト・サイズの乗用車の方がエレーニン彗星よりも大きな影響を海の潮汐に与えていることになります。」(ヨーマンズ)

(続く)