2010年1月13日水曜日

ハイチで M7.0 (続報)

ハイチで M7.0」の続報です。USGS(米国地質調査所)が、今回のハイチの地震について、解説を載せています:
以下に抄訳します:
2010年 1月 12日(現地時間)のハイチ地震は、カリブ・プレートと北米プレートを隔てる境界域で発生した。このプレート境界は左横ずれの動きと圧縮に支配されており、年間約 20mm の速さでカリブ・プレートが北米プレートに対して東方向に動いている。

ハイチは、大アンチル諸島内でプエルト・リコとキューバの間にあるイスパニョーラ島の西部を占めている(東側はドミニカ共和国)。今回の地震の震源付近では、カリブ・プレートと北米プレートの間の動きは、東西方向に伸びる 2つの横ずれ断層系 ―― ハイチ北部の Septentrional 断層系と、南部の Enriquillo-Plaintain Garden 断層系によって分担されている。

今回の地震の震源の位置と発震メカニズムは、Enriquillo-Plaintain Garden 断層系で発生した左横ずれ断層の運動と整合的である。この断層系は、1年に約 7mm の速さでずれており、カリブ・プレートと北米プレートの間の動きのおおよそ半分を担っている。

Enriquillo-Plaintain Garden 断層系は、最近数十年間は大きな地震を起こしていない。1860年、1770年、1761年、1751年、1684年、1673年、1618年に発生した歴史上の大地震はこの断層系でおきた可能性が高いが、実地調査で確認されているわけではない。
カリブ・プレートは、白亜紀に太平洋にあったファラロン・プレート上の海台が、北米大陸と南米大陸の間にめり込んで形成されたという説が有力視されています。カリブ・プレートの東縁は小アンチル海溝となっており、大西洋の海洋プレートがカリブ・プレートの下に沈み込んでいます。

カリブ・プレートと似たプレートは、南米大陸と南極大陸の間にもあり、スコシア・プレートと呼ばれています。そして、その東縁は南スコシア海溝となっており、ここでも大西洋側の海洋プレートが沈み込んでいます。

大西洋には上記の小アンチル海溝と南スコシア海溝という 2つの沈み込み帯しかありません。大西洋に津波が少ないのは、この沈み込み帯の少なさが大きな理由となっています。

下記の地図で、北米-南米間のカリブ・プレートと、南米-南極間のスコシア・プレートを比較、類似性を確認してみてください: