2009年10月27日火曜日

ルーマニア上空の異様な雲

今月 12日付「モスクワ上空の異様な雲」で紹介したものと類似した雲が、今度はルーマニアの上空に現れました:
モスクワのものに比べると、形がいびつで規模も小さいように見えます。上記イギリス『テレグラフ』紙には、このような現象は “fallstreak hole” と呼ばれるとして、その成因が説明されています。記事の説明はややわかりにくいので、以下にウィキペディアの “Fallstreak hole” の項目から抜粋・翻訳します:
“fallstreak hole” は、巻積雲や高積雲の中に現れる大きな円形の穴である。

“hole punch cloud” あるいは “punch hole cloud” とも呼ばれる。

雲の中の水分の温度が氷点下に下がっても、氷の結晶の核となる微粒子がないために、凍結せず過冷却状態になることがある。このような状態の雲では、どこか一か所でも(核となる微粒子が現れるなどして)凍結が始まると、そこを中心にして連鎖反応的に凍結が拡大する。

凍結した水分(つまり氷の微粒子)は、密度が高いので地表に向かって落下し、雲のその部分に大きな、しばしば円形の穴を残すことになる。
類似事例の画像が、以下に多数あります:
以下は、NASA の Earth Observatory のページに掲載されている写真です:
1枚目の写真は、米国・ルイジアナ州からテキサス州にかけての空に現れた多数のパンチ・ホールを、人工衛星から撮影したものです。細長い溝状の穴は、航空機によって過冷却状態の雲がかき乱され、氷結・落下した跡です。2枚目の写真は、地上から写したパンチ・ホールです。穴の中心部で、雲粒の降下がおきている様子が見て取れます。