2017年4月30日日曜日

全国地震動予測地図の見どころ


4月27日、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が「全国地震動予測地図 2017年版」を公表しました。関東地方から四国にかけての太平洋側が赤く塗られた地図を、テレビや新聞などでご覧になった方も多いと思います。

ほとんどのマスコミは、高確率を示す赤(赤紫)で太平洋側が占められた地図だけを伝えているのですが、地震本部はそれ以外にも多数の地図を同時に公表しています。例えば以下です:

地震調査研究推進本部
「全国地震動予測地図2017年版」より

地震本部は地震を以下の3つのカテゴリーに分けて地図を作成しています:
  • カテゴリーⅠ: 海溝型地震のうち震源断層を特定できる地震
  • カテゴリーⅡ: 海溝型地震のうち震源断層を特定しにくい地震
  • カテゴリーⅢ: 活断層など陸域と海域の浅い地震

上の地図はカテゴリーⅢの地震が起こす震度6弱以上の揺れに見まわれる確率を示しています。もっとも高リスクとされているのは諏訪湖を中心とした帯状の地域です。加えて、大阪、名古屋、静岡東部、神奈川沿岸部や、福井北部、石川・富山、新潟、山形、秋田の沿岸部、筑後川流域、熊本、島原など。

カテゴリーⅢの地震による揺れの範囲は、海溝型地震に比べると桁違いに狭いので、海溝型と同じ地図に重ね合わせて記載されるとほとんど目立たないか、海溝型の揺れの範囲に埋もれてしまいます。そして、マスコミが伝えているのは海溝型地震(カテゴリーⅠやⅡ)が絡んだ予測地図がほとんどなので、多くの国民も予測地図といえばそれしか印象に残っていません。そこへ、熊本地震や鳥取県中部の地震のようなカテゴリーⅢの地震が発生すると、あの予測地図は何だったのだ、役に立たない「はずれ地図」じゃないか、という不当な評価が下されることになるわけです。

カテゴリーⅢの予測地図には、全国で地道におこなわれている活断層調査の結果が反映されていることを忘れないでいただきたいと思います。

公表されたすべての予測地図は以下で見ることができます。J-SHISで地図を見るときには、左上の「考慮した地震」欄で地震カテゴリーを指定することをお忘れなく: