2017年11月21日火曜日

太陽系外から飛来した天体は長さ400m超の棒状、暗赤色の金属質


ESO(欧州宇宙機関)の11月20日付報道発表です ――

10月19日に発見され、当初は彗星に分類されていた天体は、その後の軌道計算の結果、太陽系外から飛来した恒星間小惑星であることが判明し、1I/2017 U1(`Oumuamua)と命名されました。

ESOがチリに設置している VLT(超大型望遠鏡)などを動員して観測した結果、この天体は長さが幅の約10倍ある棒状(葉巻形)で、少なくとも400mの長さがあり、表面は屋外に設置されているソーラー・パネルのような暗赤色をしていること、密度が高く、おそらく岩石質で金属の含有量が多いこと、などがわかりました。

暫定的な軌道計算では、この天体はこと座の1等星・ベガの方向から飛来。しかし、この天体が30万年前にベガの付近にあったときには、ベガはその近くにはなかったとのことです:

IAU(国際天文学連合)の Minor Planet Center が11月6日付で発表した〝MPEC 2017-V17 : NEW DESIGNATION SCHEME FOR INTERSTELLAR OBJECTS〟によると、「`Oumuamua」はハワイ語で「第1の」とか「先行して」という意味があり、この天体が遙かな過去から我々の元に到来した scout(斥候、偵察者)あるいは messenger(使者)のようなものと考えられることに由来しているとのことです:
The name, which was chosen by the Pan-STARRS team, is of Hawaiian origin and reflects the way this object is like a scout or messenger sent from the distant past to reach out to us (ʻou means reach out for, and mua, with the second mua placing emphasis, means first, in advance of).

アーサー・C・クラークの小説「宇宙のランデヴー」を思い出しました。以下は Wikipedia に載っているあらすじの一部です ――
西暦2130年、宇宙監視計画スペースガードが謎の物体を発見した。ラーマと名付けられた物体は当初小惑星だと思われていたが、宇宙探査機によって送られた映像に写っていたものは、円筒型をした疑いようもない人工の建造物だった。

(中略)

ラーマは、なんらかのエラーから太陽に突入する軌道を取ったように思われたが、太陽に接近した上で恒星間飛行で失った物資を補給し、次なる地を目指して謎を残したまま太陽系を去っていった。ラーマの太陽系への接近は、計算された中継であったと、人類は理解した。

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