2010年2月28日日曜日

地震予知失敗 ― スペイン

2月 24日にスペインのバレンシア地方で地震が起きるとアマチュア地質学者が予報していましたが、結局何も起きませんでした:

予報していたのは地元のアマチュア地質学者 Nigel Michael John Day of Alfaz del Pi 氏。地震予知の 3要素のうち、日時と場所は特定していたものの規模についてははっきり言っていませんでした。ただ、M5 を上まわる地震で揺れが 2分以上続けば深刻な被害が出るという主旨の発言をしていましたので、それなりに大きな地震の可能性があるとは思っていたようです。

上記記事で見る限り、地震予知の根拠となったのは 2つの現象です。一つ目は、地元にある「死火山」Puig Campana 山頂付近の二酸化硫黄(亜硫酸ガス)濃度上昇。二つ目は、同氏の自宅の庭に見つかった孔から放出される二酸化硫黄ガス。同氏によれば、その孔は約 10km の深さがあり(どうやって測ったのでしょうか)、スペインを東西に貫く断層に達しているとのこと。なぜ 2月 24日なのかという点については、記事に記述がありません。

バレンシア地方と Puig Campana 山の位置は以下のグーグル・マップで確認できます:

Puig Campana 山の写真や説明は以下にあります:

ヨーロッパと地中海周辺地域の地震情報は以下のサイトで確認できます。USGS(米国地質調査所)がカバーしていない地震も多数掲載されています:

幸い、スペインは民度が高いためか、東欧や中国で見られたようなパニックはおこりませんでした。

よく言われることですが、日時を指定した地震予知は現在の技術では不可能です。したがって、そのような予知情報はデマの可能性が高く、信用してはなりません。今回のスペインの「予知」も、そのような事例の屍を一つ追加したということでしょう。

地震増加 ― オーストラリア

オーストラリア政府機関の報告書によると、ほとんどの地震は無感であるものの、オーストラリア大陸では過去 10年間、地震の頻度が上昇してきているとのことです:

上記ニュース記事は報告書の内容を抜粋していますが、それによると ―― 現在最も活発な地震活動が見られるのは西オーストラリア州; 過去 10年間にオーストラリア大陸内で起きた最大の地震は、北部準州の Redvers 山で発生した M5.4; また、ビクトリア州東部のコランブッラ(Korumburra)では 2009年 3月から 4月にかけて 13回の連続地震と 200回を超える余震が記録されたとのことです。

コランブッラ(Korumburra)の位置、およびオーストラリア各州の名称は以下のグーグル・マップで確認できます:

以下の Geoscience Australia のサイトでは、オーストラリアで発生した地震の最新情報を地図上に展開しています:

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地震増加 ― 朝鮮半島

以下は 『朝鮮日報日本語版』 の 1月 18日付記事ですが、2009年に朝鮮半島で発生した地震は「最近 10年間(1999-2008年)の平均 41回を 19回上まわり、観測史上最多の 60回だった; このうち有感地震は10回だった」とのことです:

観測ネットワークが拡充され、観測精度が向上したことも一因のようです。

記事によると、韓国で地震観測が始まった 78年以降、朝鮮半島で記録された最大の地震は、80年 1月 に発生したマグニチュード 5.3 ですが、ある研究者によると 「韓国戦争(朝鮮戦争)中の 52年 3月 19日に平壌(ピョンヤン)西方で起きた江西地震は、当時のロシアの観測によると、マグニチュード 6.3の強い地震だった」とのことです。また、歴史を遡るとさらに強い地震が起きていたことを示唆する史料が残っています。


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2010年2月26日金曜日

移流霧

昨日、関東地方南部を覆った濃霧は「移流霧(いりゅうぎり)」だったようです:

横浜で 2月に霧が観測されたのは、1998年 2月20日以来 12年ぶりだそうです。

「移流霧」がどのようなものかは、上記 2つの記事中に簡略な説明がありますが、手元の『気象の事典』(平凡社)には次のように書かれています:
advection fog 湿った空気が、その空気より冷たい地面や水面の上に移動し、下から冷やされて発生する霧。春から夏にかけて三陸沖から北海道の東海上で発生する海霧は、その代表的な例。

「移流(advection)」は、物理学や流体力学の用語で 「大気や海洋中の物質または物理量の分布状態が、そのままの形で流体の運動、すなわち流れによって移動する過程」ですが、「気象学や海洋学では水平移流を略して単に移流といい、鉛直移流を対流とよぶ場合が多い」とのことです(『気象の事典』) 。

ちなみに移流が “advection” であるのに対して、対流は “convection” です。

鳥取県では 2月 9日朝にこの移流霧が発生しています:

なぞの空振 ― 鹿児島県鹿児島市

25日早朝、鹿児島市荒田 2丁目付近で、「ドン」という空振があったとのことです:

対応する桜島の爆発や地震はなく、また航空機の飛行もなかったようです。家は揺れたが地震のような横揺れではなく、「下に引き込まれるような」衝撃だった、「地中で地盤沈下でもあったのでは」との住民の証言があります。

現場の位置は以下のグーグル・マップで確認できます:

湖底堆積物吹き上げ ― 琵琶湖

琵琶湖の底で、土砂などが吹き上げられているのが確認されました:

吹き上げが確認されたのは、高島市沖約 5km の地点で長さ 900m、安曇川河口付近で長さ 400m にわたる範囲。水深は 90~100m。

原因としては:
  1. 湖底の地殻変動
  2. 地下水の噴出
  3. メタンガスの噴出
  4. 強い水流
が考えられるが、「地殻変動は、湖底のプレートとともに沈み込んだ土砂が活断層でぶつかり、土砂や土砂に含まれる水が圧迫されて舞い上がったとする。地下水やメタンガスの噴出も想定できるが、この場合は土煙より気泡が出る可能性が高い。強い水の流れが土砂を吹き飛ばした可能性もあるが、範囲(全長 900m + 400m = 1.3km)が広すぎる」とのことで、地殻変動が原因である可能性が高いようです。

高島市と安曇川の位置は以下のグーグル・マップで確認できます:

カマイルカ迷い込む ― 福井県敦賀市

21日、福井県敦賀市の港にカマイルカ 1頭が泳いでいるのを海上保安部の巡視船が見つけました:

「1頭で行動するのは珍しく」、また「港の奥まで入って来るのは珍しい」のだそうです。

敦賀市の位置を以下のグーグル・マップにマークしました:

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2010年2月24日水曜日

ハイチ大地震 ― 津波も発生していた

震源が陸域にあっても津波が発生するとは:

「今回の津波は通常と様相が異なる」、「2種類の波が沿岸を襲ったことも明らかになった。海底プレートの移動による地殻変動が引き金となる津波と、地震後の不安定な陸地が海面に崩れ落ちて発生する地滑りによる津波だ」とのことです。


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ミマスを見ます?

このブログの 2月 12日付記事「土星のオーロラ、衛星ミマス」で、土星探査機カッシーニが 13日に衛星ミマスに接近することを紹介しましたが、その接近時に撮影された画像が公開されました。

いずれの画像も、探査機から送られてきた画像情報をノイズ除去などの処理をせずに直接 JPEG 形式に変換したものです。

Mimas "Rev 126" Flyby Raw Preview #1
約 70,000km のところから撮影したミマスの全体像です。背後に見えている灰色の部分は土星本体です。

ミマスの直径は 400km です。左側にあるひときわ大きなクレーターがハーシェル・クレーターで、直径 140km あるとのことです。このクレーターがあるため、ミマスは映画「スターウォーズ」に登場する「デス・スター」に似ていると言われます。このように大きなクレーターを形成するほどの天体衝突が起きながら、なぜミマスは砕けてしまわなかったのか、なぜひび割れ一つ残っていないのか。今回のカッシーニ探査機の接近で得られたデータから解明されると良いのですが。

Mimas "Rev 126" Flyby Raw Preview #2
35,000km のところから撮影したハーシェル・クレーターのクローズ・アップです。解像度は 1画素あたり 209m。このクレーターの内側と外側にあるクレーター数を比較することによって、ハーシェル・クレーターの形成された時期がわかると期待されています。

Mimas "Rev 126" Flyby Raw Preview #3
ミマスのクレーターの中には、内壁の色調が 2層に分かれているものがあります。17,000km の距離から撮影。解像度は 1画素あたり 100m。

Mimas "Rev 126" Flyby Raw Preview #4
ハーシェル・クレーターの内壁のクローズ・アップです。やはり 2層に分かれているようで、その境界がジグザグの線状に見えています。16,000kmの距離から撮影。解像度は 1画素あたり 96m。

Calypso "Rev 126" Flyby Raw Preview #1
長径 15km ほどの小さな衛星カリプソです。表面にクレーターがほとんど無く、異様にぬっぺりとした感じです。かつては彗星の核であったものが、土星の重力に捕獲されたものでしょうか。約 23,000km のところから撮影。解像度は 1画素あたり 135m。黒い宇宙空間にいくつか見えている白い小さな点は星ではなく、ノイズだと思われます。

Big Obscures Small
土星系最大の衛星タイタンによって「食」される直前の半月状のミマス。画面上部の背景に写っているのは土星のリングです。

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シバザクラ 狂い咲き

書き忘れていたのですが、2月 10日付『朝日新聞』さがみ野版に「春、早すぎる」という記事が掲載されています。以下に一部を引用します:
(神奈川県)大和市下草柳の公園「ふれあいの森」では、例年 4月に咲くシバザクラが「狂い咲き」していた。ハナシノブ科の多年草で、公園内の斜面に張り付いて広がり、例年は 4月中旬に辺りをピンク一色に染める。しかし、この冬は昨年 12月から点々と花を咲かせていたという。

管理をしている人は「この時期に咲くのは珍しい。4月の本番までもたないでしょう」と話しているとのことです。

今冬は 12月が例年に比べて暖かかったためだとは思いますが、どうでしょうか。

サケガシラ(?) 2匹水揚げ ― 駿河湾

22日朝、サケガシラ属の一種とみられる深海魚 2匹が沼津港に水揚げされました。「数年に1度見られるかどうかの“珍客”」で、駿河湾内でサバ漁の巻き網内に入っていたとのことです:

サケガシラ、テンガイハタ、リュウグウノツカイの区別については以下を参照してください:

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2010年2月23日火曜日

隣接する火山が同時噴火 ― カムチャツカ半島

2月 11日、カムチャツカ半島にあるクリュチェフスカヤ山とベズイミアニ山が噴火を始めました。その 2日後に NASA の Terra 衛星が撮影した疑似カラー画像(といってもほとんどモノクロに近い)が、“NASA Earth Observatory” のサイトで公開されています:

噴煙の色が明るいのは、火山灰よりも水蒸気の方が多いことを示しているとのことです。クリュチェフスカヤ山(Klyuchevskaya または Kliuchevskoi)は標高 4,835m、ベズイミアニ山(Bezymianny)は 2,882m で、ともに成層火山です。両火山の位置は、以下の地図で確認できます:

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リュウグウノツカイとオタマジャクシ

『スポーツニッポン』と『朝日新聞』が相次いで、リュウグウノツカイの連続漂着の謎を取り上げています:

『朝日新聞』の記事では、今冬の漂着数について「石川県や富山県を中心に少なくとも8府県で19匹。確認していないものの、見たという報告を含めると40匹近く」としています。『スポーツニッポン』の記事には、「京都府宮津市では年末年始の2カ月間で定置網に10匹が掛かったほか、岩手、兵庫、島根、山口、長崎の各県でも見つかった」と書かれています。このうち、京都府宮津市や岩手の事例はこのブログでは把握していませんでした。

なぜ今冬に限って多数が漂着するのか、『朝日新聞』では 3人の専門家の意見を記載しています:
  1. 「(リュウグウノツカイは)遊泳力の弱い魚なので、荒れた冬の日本海で海水がかき回されたせいだろうか」 (ただし、この季節に日本海が荒れるのは今年に限ったことではないとの反論あり。)
  2. 「(リュウグウノツカイは)元々暖流域にすむ魚。日本海では最近、今まで取れなかった南の魚が水揚げされるなどの報告が多い。海水温の上昇と関係があるのかも」
  3. 「そもそも、(リュウグウノツカイが)どこで産卵し、どう成長するのかも分からない。なぜ、これほど見つかるのか理由を特定するのは難しい」

一方、『スポーツニッポン』の記事には、NPO 法人大気イオン地震予測研究会の弘原海清理事長(環境地震学)の見解を載せています:
(弘原海氏は)「一般的に海底近くの深海魚は、海面付近の魚より活断層の動きに敏感」と話す。

だが、ほかに地震の前兆とみられる現象は報告されておらず、リュウグウノツカイも広範囲で見つかっているため、弘原海さんは「今のところ地震に直結するとは言えない」と懐疑的だ。

(ちなみに、弘原海氏とその NPO 法人は、昨年 7月から発信し続けていた「首都圏近郊の大規模地震」に関する警告を 10月に撤回、その理由付けとして HAARP を持ち出したことですっかり信用をなくしてしまったことは記憶に新しいところです。かつて、同じように首都圏周辺での大地震を予報して失敗した八ヶ岳南麓天文台の串田氏のように、経験則の蓄積不足などを率直に認めて、今後の研鑽を誓うような内容であったなら、ずっと良かったのですが残念です。)

私は、ひょっとしたら、リュウグウノツカイの実際の漂着数は例年と特に変わっていないのではないか、とも考えています。報道されることによって、連鎖反応的に報告が増えているだけではないのかと。これまでは、リュウグウノツカイが網にかかったり岸に打ち上げられたりしていても、地元の人たちは大して気にも留めず、報道されることも無かったが、報道されることによってリュウグウノツカイ漂着にニュース・バリューがあるということがわかり、報道機関や水族館に連絡する人が増えた、という側面もあるのではないでしょうか。たとえば、1月 28日に石川県羽咋市の千里浜海岸で 1度に 2匹のリュウグウノツカイが見つかった事例は、漂着が相次いでいるとの報道を見て、リュウグウノツカイを探しに現地を訪れていた NPO 法人のメンバーが見つけたものです(下記記事参照):

このことに関連して思い出すのは、昨年の夏、いろいろ報道された「空からオタマジャクシが降る」現象です。これも、地面にオタマジャクシなどの死骸が散乱しているという、以前は見過ごされていた現象が報道されることによって注目され、それが報道機関への通報を増やすという正のフィードバックがかかった結果とも考えられます。偶然でしょうが、このオタマジャクシ現象が最初に報道され、件数も多かったのは石川県でしたが、今冬のリュウグウノツカイ・ラッシュの中心も石川県です。オタマジャクシ現象については、このブログの以下の記事を参照してください:

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捕鯨戦争 (その 1)

オーストラリアのラッド首相は、南極海での日本の調査捕鯨を「外交的な話し合いでやめさせられない場合、次の捕鯨シーズンが始まる今年 11月までに国際司法裁判所に提訴する」と発言しました。ニュージーランドも同調する動きを見せていますが、これについてさまざまな反応が出ています:

国際司法裁判所への提訴はラッド政権の選挙公約にもなっていたようですが、同政権はこれまでためらってきました。ためらいの理由は、一つには明確に勝訴できる確信が持てないこと、そしてもう一つは同国が主張している南極大陸の領有権に悪影響が出かねないという懸念です。以下の資料にあるように、オーストラリアは南極大陸にある総面積 5,896,500km² の広大な土地を自国領土と主張しています:

この南極大陸における領土主張が国際司法裁判所の審理過程で争点になった場合、オーストラリアにとって不利な結論が出かねないという点をオーストラリアの国際法専門家は指摘しています。以下は『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙が掲載した「Whaling collision - new angle (捕鯨紛争 ― 新しい視点)」と題する記事の抜粋・意訳です (当該記事は 今年 1月初旬に掲載されたもので、現時点でリンク切れになっています。▼印を付けた見出しは私がつけたものです。):

▼日本はオーストラリアの南極領土を認めていない
南極海での衝突によって、オーストラリア政府は日本の捕鯨活動に対して法的な対応をとるべきだとの圧力にさらされている。しかし、国際法の専門家は、日本はオーストラリアの主張する南極領土を認めておらず、何らかの法的処置は思わぬしっぺ返しを招く恐れがあると警告している。

▼日本に対して法的対応をとる根拠が乏しい
シー・シェパードのアディ・ギル号と日本の第2昭南丸の衝突は、タスマニア島の南 1300海里(約 2400km)で発生した。同海域はオーストラリアの(主張する)南極領土に近接している。オーストラリアの海難救助範囲内ではあるが、経済水域の外側である。

オーストラリア国立大学の国際法の教授 Don Rothwell 氏は、この点が、オーストラリアの司法権に制約を与えていると語る: 「第一に、日本はオーストラリアの南極領土沖の海域についてのオーストラリアの主張を認めていない。さらに、今回の衝突にはオーストリア船籍の艦船が関与していないし、オーストラリア国民が負傷したわけでもない。したがって、法律的には、日本に対する法的対応をとる根拠が非常に乏しい。」

▼オーストラリアの南極領土に対する主張が非合法であると認定される恐れ
ニュー・サウス・ウェールズ大学の David Leary 博士は、オーストラリアによるいかなる法的対応も、オーストラリア自身の領土権の主張を危うくすることになりかねないと語る: 「オーストラリアが自国の法律を南極大陸沖の海域に適用しようとすれば、国際司法裁判所においてオーストラリアの南極領土に対する主張が非合法であると認定されることになりかねない。」 

しかし、同博士は、日本が南極海でおこなっている捕鯨が国際法に違反していることは明白だ、とも語る。「自らの行為を科学的な捕鯨であるとする日本の反論は、ほとんどの人が見抜いているように言い訳にすぎない。日本の行為が科学的調査ではなく商業捕鯨であることは、法的根拠に照らしてきわめて明瞭である。」

▼国内法を適用しようとするオーストラリアの立場も根拠が薄弱
オーストラリア政府は非常に難しい立場に追い込まれているようだ。日本は国際捕鯨取締り条約(International Whaling Convention)の観点から明らかに国際法に違反しているが、一方、国内法を適用しようとするオーストラリアの立場も国際司法裁判所ではきわめて根拠が薄弱である。

オーストラリアのとりうる法的対抗措置の選択肢は限られている。ジュリア・ギラード副首相(注)は、外交チャネルを使った対応を模索すると発言している。 (注: 英語では“Acting Prime Minister”(首相代理)です。報道では「副首相」としているものが多いですが、実際は官房長官のような感じではないかと思われます。)

▼オーストラリア政府が追求すべきこと
Don Rothwell 教授は、オーストラリア政府が検討すべき手段がもう一つあると語る。それは、国際司法裁判所において日本の捕鯨活動をただちに止めさせる禁止命令を求めることである。「最終的に、政府は外交的手段でどれほどの成果が上げられるのか、自問しなければならない。今年の中頃に開かれる国際捕鯨委員会(IWC)が決裂したり、意味のある進展が見られなかったりした場合には、2010年から 2011年にかけての捕鯨シーズンに向けて、法的な手段が真剣に検討されることになるだろうと思う。」

オーストラリア政府は、捕鯨船と環境保護団体の船舶の衝突を防止する効果があるとは考えられないので、日本の捕鯨活動を監視するために艦船を派遣することはないとしている。

(続く)

2010年2月22日月曜日

中国・山西省で地震パニック

中国・山西省で、M6.0 の地震が起きるとの噂が広まり、2月 20日(土)夜から 21日(日)朝にかけて、数万人の人が屋外で夜を明かす騒ぎが起きています:

もっとも詳しい『中国日報』の記事によると:
噂の発端は、1月 6日から 13日の間に地元の複数の病院でおこなわれた地震対応訓練。これに反応して、次のような内容のテキスト・メッセージが携帯メールなどを通じて市民の間に広まった: 「最近の病院は地震訓練ばかりやっているし、医薬品の備蓄もしている。きっと強い地震が起こりそうだからに違いない。来るべき地震に備えよう。建物の中にとどまるのは避けよう。」

このようなメッセージに次第に尾ひれがついて、「省の地震局の公式ウェブ・サイトに地震の警報が載っている。予想マグニチュードは 6.0 だ」となってしまった。

郊外のいくつかの村々では、寝ている住民をラウド・スピーカーで起こし、地震による怪我を避けるために屋外に出るよう呼びかけがおこなわれ、住民は家庭電化製品などを家の外に運び出した。

山西省の政府もメッセージを発信して地震の噂を否定し、住民に家に戻るように呼びかけたのだそうです。ところがあまり信用されず、効果は限定的だったようです。その理由について『中国日報』は次のように書いています:
省の地震局が地震の噂を否定するのはこれが初めてではなかった。1月 22日、省と市の地震局が(地震の噂を否定して)、山西省で近い将来に被害地震が発生する可能性はないと専門家たちは考えていると発表した。ところが、その 2日後に省内で M4.8 の地震が発生し、数百軒の建物に被害が出た。

中国の地震予報に関する規制では、(国や)省の政府だけが地震予報を発表することができると定められており、他の組織や個人が予報をおこなうことは認められていません。現在、警察が噂の発信源を捜査中とのことです。

山西省の位置を以下のグーグル・マップにマークしました:

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2010年2月21日日曜日

ダイオウイカ漂着 ― 新潟県新潟市

20日、深海に生息するダイオウイカが新潟市の海岸に打ち上げられているのが見つかりました:
日本海沿岸には、「1940年代以降、約 20匹が漂着。県内では、78年に佐渡島に漂着したのが最後で、新潟市内で見つかったのは初めての可能性が高い」とのことです。


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2010年2月19日金曜日

雲と衝撃波

以下の動画は、2月 11日に Solar Dynamics Observatory という太陽観測衛星が Atlas V 型ロケットで打ち上げられたときの映像です(画面右下のメニューで解像度を 720P にして見ることをおすすめします):
ロケットが上空の薄い雲の層(右端が虹色に彩雲化している)を突き抜けるとき、リング状のさざ波のようなものが広がっていく様子が捉えられています。ロケットが通過した後に、再びさざ波が広がっていく様子も写っています。ロケットが音速を超えたために発生した衝撃波が、薄い雲によって目に見えるようになったのだそうです。このような現象があるということはどこかで読んだ記憶があるのですが、実際に映像で見るのは初めてです。

以下は、スローモーション版と、別の角度から撮影した動画です:
以下のブログ記事には、さざ波の静止画が掲載されています:

朝青龍の引退 (その 4)

大関・琴欧洲の母国ブルガリアの新聞も朝青龍の「強制」引退を伝えています。横綱昇進への壁が 1つ減ったことにニンマリしているブルガリアの雰囲気がうかがえます:
記事は冒頭で、朝青龍の強いられた引退によって、琴欧洲は(横綱・白鵬に次ぐ)ナンバー 2 の地位についたとしています。そして、朝青龍と琴欧洲のふるまいの違いを述べています。朝青龍は日本社会と相撲界のすべての規範に反すると見なされる行為をおこなったが、琴欧洲はこれとは正反対で、社会や職業上の規範を遵守していると述べ、2月 14日に予定されている(記事は 2月 7日付)琴欧洲の結婚が日本の礼儀作法や伝統に完全に則って執りおこなわれると伝えています。

記事は最後に、ブルガリア相撲連盟のトップで、新郎介添人をつとめる Petar Stoyanov 氏のコメントを記載していますので、以下に意訳します:
私たちは(朝青龍の引退を)ほくそ笑んでいるわけではないが、ブルガリアにとっては良いことだ。朝青龍の引退は、琴欧洲に二番手の地位からトップをねらうチャンスを与えてくれた。琴欧洲は次の 2場所で優勝し、そのうち 1回は 14勝 1敗 か 15戦全勝の成績を上げる必要があるが、そうなれば琴欧洲はすぐさま横綱に推挙されると私は考えている。

以下は、琴欧洲の結婚についての国内報道です:

朝青龍の今後については、『USA TODAY』や『Fighters.com』のサイトが、総合格闘技に転身するのではないかとの見通しを書いています:

(完)


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コマッコウ漂着 ― 茨城県高萩市

小型クジラのコマッコウが、体長約 2.5m が茨城県高萩市の砂浜に引き上げられました。船のスクリューなどで傷を負い息絶えたとみられるとのことです:

高萩市の位置は以下のグーグル・マップで確認してください:

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スナメリが川を遡上 ― 愛知県名古屋市

2月 18日、名古屋市の新川でスナメリが見つかり、水族館に収容されました:
14日から15日にかけて、同じ名古屋市内の山崎川でもスナメリが目撃されています。
山崎川と新川のスナメリは、別々の個体とのことです。

今年 1月 8日には、名古屋と同じく伊勢湾に面する三重県の四日市港に 10頭ほどのスナメリの群が現れたとの報道がありました(1月 11日付「海棲哺乳類の出現 5件」を参照してください)。この時の報道記事では、鳥羽水族館の担当者が 「スナメリは伊勢湾と三河湾に約 3000頭いると推定されている」 と話しています。

今年 1月 28日には長崎県の大村湾でスナメリが刺し網にかかっているのが見つかっています。「2009年 1 ~ 12月に県内で見つかった死骸は 10頭、このうち大村湾では 5頭に上る」とのことで、特に珍しいことではないようです:

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2010年2月17日水曜日

テンガイハタ漂着 ― 島根県松江市

2月 5日に富山県入善町の定置網にリュウグウノツカイがかかり、2月 7日に能登半島北岸で最大震度 4 の地震(M4.0、深さ 20km)があって以降、日本海側での深海魚漂着あるいは捕獲の報道が途絶えていましたが、16日、島根県松江市の海岸に深海魚のテンガイハタが漂着しました:
テンガイハタは、今年 1月 18日に神奈川県小田原市沖の定置網にかかっていたとの報道がありました。このブログの 1月 19日付記事「テンガイハタを生体捕獲 ― 神奈川県」を参照してください。


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朝青龍の引退 (その 3)

3つ目に紹介するのは、ロサンゼルスで発行されている日系英字紙『Rafu Shimpo(注) の記事です:
記事は、多くの力士が 30歳代になってから引退するのに対して、朝青龍が 29歳という若さで引退せざるを得なくなった経緯や、相撲においていかに伝統が重視されるかを説明し、外国人力士の露鵬や白露山が追放された事件なども紹介しています。そして、モンゴルのメディアが伝える陰謀説について次のように書いています:
モンゴルの各新聞は、朝青龍が相撲界の伝説的横綱である大鵬の記録を破る可能性が出てきたため、相撲協会が朝青龍に圧力をかけたと伝えている。このような説に根拠を与える先例が、日本のスポーツ界にはたくさんあると私(記事の執筆者:Jordan Ikeda 氏)は思う。たとえば、プロ野球の Tuffy Rhodes 選手は、王貞治選手の 1シーズン 55本塁打の記録に並んだ後、敬遠され続け、全く打撃のチャンスが与えられなかった。しかし、これ以上はこの説に立ち入るまい。

(注) 『Rafu Shimpo』は漢字で書くと「羅府新報」だろうと思います。「羅府」はロサンゼルスの漢字表記です。ちなみに、君府、壽府、費府、華府はどこの都市でしょうか。答えは、こちらを参照してください。


(続く)

朝鮮半島でまた地震

2月 9日に首都ソウル近郊で「観測史上最大」といわれる地震が起きたばかりの韓国で、また地震が発生しました:
「今年に入って国内で発生した8度の地震のうち最も大きい」とのことです。また、韓国が蔚山(ウルサン)の南東 58km の日本海で開発を進めているガス田は影響を受けなかったとのことです。

以下のグーグル・マップに蔚山の位置をマークしました:

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十勝岳で火山性微動と地震

16日、北海道の十勝岳で火山性微動が発生し、火山性地震が増加しました。詳しくは、札幌管区気象台が発表した以下の資料をご覧ください:
十勝岳では 2006 年以降、「火口浅部の膨張を示すと考えられる局所的な地殻変動が見られ、現在も継続していると推定されます」とのことです。

2010年2月15日月曜日

蚊をレーザーで撃墜

夏の夜、明かりを消して眠ろうとしているときに顔の周りで「プーン」という蚊の羽音がするのはイヤなものです。気になって眠るどころではありません。寝室に殺虫剤をまくのは健康に悪そうでイヤです。レーザーか何かで蚊を無害に打ち落としてくれる装置が、今どきの技術ならできるのではないかと思っていたら、ある研究所が実際に試作してくれたようです:
記事に掲載されている動画には、蚊がレーザーを浴びて死ぬ様子が写っています。蚊の身体から立ちのぼる煙は、蚊から抜け出す魂のように見えます。

蚊が発火するほどの熱を発するので、人のいる室内で使うのは危なそうです。屋外の蚊の発生源などで使うことになるのでしょうか。

蚊によって媒介されるマラリアの被害を減らすために、開発途上国で蚊帳を贈る活動をしている日本人を紹介する番組を、以前 TV で見かけたことがありますが、この記事によると「蚊帳が支給されても魚を獲る網に使われたりしてしまう」とのこと。

以下は英語版の記事です。掲載されている動画は日本語版とは別物で、ジョーク版です:

朝青龍の引退 (その 2)

次は、モンゴルの首都ウランバートルで発行されている英字紙『UB Post』紙の記事です。タイトルに “Conspiracy”(陰謀、共同謀議)という文字が躍っています:
モンゴルではこのような陰謀説を多くのメディアが掲載しているようです。以下に記事を要約します:
  • 朝青龍が引退を発表した翌日には、(モンゴル国内の)いくつもの新聞が一面で「朝青龍の引退決断の裏には陰謀がある」と報じた。それらの新聞は、相撲協会の幹部が朝青龍に引退するように圧力をかけたのは、気性の激しい横綱が相撲の伝統を破壊することと、横綱大鵬が立てた 32回の優勝という記録を破ることを恐れたためであるという説を引用している。
  • 全国紙の『Zuunii Medee』は、モンゴル国内でのすべての相撲放送を停止するよう呼びかけた。
  • モンゴル柔道連盟の長で、道路・運輸建設・都市開発大臣の Kh.Battulga 氏(かつては柔道の選手だった)は、『Mongolyn Medee』のインタビューで 「日本人力士が日本の伝統的スポーツにおいて樹立した記録を、外国籍の横綱が破ることを日本人は恐れたのだろう」 と語った。
  • 朝青龍の家族と“Asashoryu” Foundation (朝青龍財団?)も引退表明の翌日、ウランバートルで声明を発表した。財団の理事長の E.Sainsanaa 氏は、朝青龍についての誤った印象を広めたとして日本のメディアを非難した。しかし、朝青龍が引退しても財団の活動は今後も継続するとのことである。朝青龍の兄(弟?)の D.Serjbudee 氏は「これまで朝青龍に降りかかったすべての困難は仕組まれたもので、その背後には日本相撲協会内のあるグループがいる。彼らはメディアを通じて繰り返しそれらの困難を作り出したと私は考えている」と語った。
  • モンゴルの外務大臣 D.Zandanshatar 氏は朝青龍の引退に関して声明を発表した。朝青龍の引退にはショックを受けたとした上で、「スポーツや文化などの分野において、モンゴルと日本の間の相互理解と親善を深めることに朝青龍の果たした貢献に非常に感謝している。朝青龍の引退についての二つの国の国民感情とメディアの考えをわれわれは理解している。朝青龍の決断が二国間の親善に悪影響を与えないと確信している」と述べている。
  • 朝青龍の引退の儀式は 10月 3日に日本で行われる。

(続く)

朝青龍の引退 (その 1)

朝青龍の「強制」引退については、朝青龍本人と降格された親方の記者会見があっただけで、日本相撲協会からはいまだに正式な説明がありません。自らの興行を「国技」と自画自賛し、法人格を認められている団体なのですから、きちんと公明正大に説明すべきだと思うのですが、閉鎖的というか頑迷固陋というべきか。一法人である相撲協会の閉鎖性が非難されるだけならともかく、海外の報道では日本人や日本社会の閉鎖性、排他性にまで矛先が向けられています。

以下は、アメリカの経済誌『Forbes』に掲載された記事です:
  • Sumo's Bad Boy (“Bad Boy” には、行儀の悪い少年、不良少年、時代の反逆児 などの意味があります)
記事の筆者は、朝青龍の引退は日本人や日本社会の閉鎖性の象徴と見ているようです。以下に、記事の一部を意訳してみました:
相撲と同様に日本という国も閉鎖的で、機会を求める外国人がもたらす刺激に対して門戸を開放するよりも、人口減少と経済的沈滞を辛抱する方を選んでいる。

日本人は、国の財政が窮迫し、人材とアイデアが枯渇しつつあることに知らん顔を決め込んでいる。国の(予算に占める)負債はすでに GDP の 2倍近くに達している。格付け会社の S&P は 1月 26日、アジア最大の経済大国である日本がその赤字を制御できないのであれば、日本の公的債務(国債)の格付けを引き下げる可能性があると発表した。2030年までに現在よりも人口が 1千万人減り、団塊の世代が定年を迎えることによって税金を納める働き手が毎年 50万人ずつ減っていく。それにもかかわらず、徐々に進行している経済活力の低下をくい止める方法を模索している立法府の議員たちは、わかりきった解決方法 ― 移民を受け入れること ― を提案することを拒んでいる。相撲界のお高くとまった幹部たちと同様に、議員たちは多様性と無関係であることを選択しているのである。

もし日本が外国人に対して門戸を開放する方針に転じるならば、イギリスやフランスと同じように、多くの(外国人の)見慣れない行動様式や社会的なトラブルに慣れなければならないだろう。それらの不都合を埋め合わせるだけのメリットがある。日本は、アメリカのような人種や文化のるつぼにはならないだろう。朝青龍や他の外国人力士によって相撲が発展したことに示されるように、健全な多様性のために、多少の異質なふるまいに目をつぶることには価値がある。

(続く)

シャトル・シルエット

朝焼け(夕焼け?)を背景に、国際宇宙ステーションに接近するスペースシャトル・エンデバー。ステーション側の宇宙飛行士(日本の野口聡一さんかも)が撮影:
こんな光景を実際に見たら、感動で自然に涙がこぼれてしまうのではないかと思います。

2010年2月12日金曜日

地震に危機感 ― イラン

ベネズエラのチャベス大統領が、アメリカの地震兵器の「最終ターゲットはイランだ」と発言したからというわけではないでしょうが、イランでは地震に対する危機感が高まっています (チャベス大統領の発言については、このブログの 2月 6日付記事「ハイチ地震はテクトニック兵器のテストだった?」を参照してください)
特に人口 1000万人を抱える首都テヘランでは、社会基盤の整備が急激な都市規模の膨張に追いついておらず、建物の耐震化などの地震対策はほとんどおこなわれていません。「直下に多数の活断層があるテヘランでは統計上、約150年周期で大地震が発生するとされ、現在はその周期を大幅に過ぎ再び危険性が高まっている」、「テヘランは柔らかい堆積物でできた地盤の真上にあり、ハイチの首都ポルトープランスと似ている」とされ、「ハイチと同規模の地震が起きればそれを上回る犠牲者が出る」との警告が出されています。

万が一、大地震が発生して甚大な被害を被っても、現体制のままでは西欧諸国からの援助は受け入れられないでしょう。大地震を機に政権が崩壊すれば話は別ですが。

ところで、テヘランの位置をご存知でしょうか。地図上でイランの位置はわかっても、首都テヘランを指させる人は少ないのではないでしょうか。私もそうだったのですが、テヘランは意外にカスピ海に近いところにあります。以下のグーグル・マップにテヘランの位置をマークしましたのでご確認ください:

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NHK の地震報道

『産経ニュース』のサイトが、NHK の福地茂雄会長のインタビュー記事を 3回にわたって掲載しています:

記事の中で、「公共放送の責務とは」 との質問に対して福地会長は次のように答えています:
地震があると、ぱっとNHKに合わせてもらえる。選挙報道についても、NHKにチャンネルを合わせてもらえる。なぜだろう。お客さまの信頼だろう。信頼ってなんだろう。迅速に加えて正確。これをきちんと担保するから。言葉では簡単だけど、平素の訓練がきっちりできていないと。地震の訓練は、15年前から毎晩、地震報道の訓練をしている。最後のニュースが終わり、大きなスタジオにみんなが集まって。

地震の際の放送について、毎晩訓練しているとは知りませんでした。まさかのときにチャンネルを合わせるのは、やはり NHK です。深夜に地震があったとき、アナウンサーが髪の寝癖が取れないまま地震や津波の情報を読み上げるのを笑いのタネにしたことがありますが、不謹慎でした。

土星のオーロラ、衛星ミマス

土星の北極と南極に輝くオーロラの映像が公開されました。約 15年に一度、地球は土星の赤道面を横切りますが、その時期には土星の両極を同時に観測することができます。そのタイミングを利用して、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された映像です:
2月 13日には、土星探査機カッシーニが衛星ミマスに 9500km まで接近します。ミマスは小さな衛星ですが、不釣り合いなほど突出して巨大なクレーターが 1つあります。そのためミマスは、「目玉」(アイボール)と呼ばれたり、映画「スターウォーズ」に登場するデス・スターに喩えられたりします。13日の接近ではさまざまなデータが得られ、この巨大なクレーターができたときに、なぜミマスが粉々に壊れてしまわなかったかという謎が解明されるかも知れません。

なお、衛星ミマスは塵の多い領域にあるため、カッシーニ探査機は高利得アンテナのパラボラを防御バリヤー代わりにして探査機本体を防護しながらミマスに接近するとのことです。

以下は、過去に撮影されたミマスの画像です。「目玉」とかデス・スターと呼ばれる理由がよくわかると思います:

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2010年2月10日水曜日

なぜハイチの地震被害はひどいのか

以下の記事は 4頁にわたる長文ですが、興味深い内容です:
以下に 2か所ほど、引用します:

異常気象の発生頻度は増えていない
世界の気象統計を調べると、干ばつ、洪水、暴風雨、地震といった異常現象の発生件数が以前よりも増えたという事実は出てこない。災害を引き起こす異常気象は「災害原因事象」と呼ばれ、その発生頻度は地表面積 1万 km² あたり年間 0.27件前後で、過去数十年ほとんど変わっていない。

人間の居住地域に影響をおよぼした地震は増えている
災害研究の拠点になっているベルギーのルーベン大学の研究グループによれば、70年代に発生した地震のうち、人間の居住地域に影響を及ぼしたものはわずか 11%しかなかった。ところが、1993~2003年には 31%にまで増加した。地震の発生件数が増えたのではなく、地震の発生地帯に住む人が増えたことを物語っている。

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超ヘビー級輸送機 アントノフ An-225

ハイチでの国連平和維持活動(PKO)に必要な装備を運ぶために、自衛隊がウクライナからチャーターした世界最大の輸送機アントノフ An-225。世界に 1機しかないそうです:
機体の下についている車輪の数がスゴイ。6発のエンジンで、自重は 175トン。総重量 600トンでも離陸可能とのこと。愛称「ムリーヤ」が、飛ぶのは「無理や」に思えます。

An-225 の詳しい情報や写真、動画は以下にあります。ソ連版スペース・シャトル「ブラン」を背負った写真もあります:
An-225 の 6発エンジンを見ると、ジェットとプロペラの違いがありますが、旧日本軍の「富嶽」を想起します。「渡洋爆撃機」とか「超重爆撃機」といわれ、「日本を飛び立ち太平洋を横断、アメリカ本土を爆撃、そのまま大西洋を横断し、ドイツで補給を受け、再び逆のコース(または、当時のソ連)を爆撃しつつ戻ると言う)壮大な計画だった」(ウィキペディア)そうです:

ソウルで観測史上最大の地震

観測史上最大といっても M3.0 です。それでも、驚いた市民からの問い合わせが電話が、気象庁や消防署などに殺到したようです:
地震発生は 2月 9日 午後 6時過ぎですが、この地震は、USGS(米国地質調査所)や日本の気象庁のサイトには記載されていません。

ソウル地域の有感地震としては、「1990年 6月(M2.3)、2004年 9月(M2.5)に次いで 3回目」、「この 1年間で計 60回の地震が発生し、1978年の観測開始以来、31年間で最も多く地震が発生したことが分かっており、韓半島(朝鮮半島)はもう地震安全地帯ではない、という分析も出ている」とのことです。

上記 『朝鮮日報』 の記事中で、震源に近い都市名として出ている 「京畿道始興市」 の位置を、以下のグーグル・マップにマークしました:

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2010年2月9日火曜日

ダウジングで爆発物探知?

イラクでは、爆発物を使ったテロで多くの人が亡くなったり傷ついたりし続けています。厳重な検問や警備体制がしかれているはずなのに、なぜ爆弾テロが頻発するのか不思議でした。理由の一つはイラク政府が採用している爆発物探知機にあったようです。

爆発物によるテロ攻撃を防ぐためにイラク政府が約 77億円を投じて 2000台を導入したのが、イギリス ATSC 社製の ADE651 という携帯型の爆発物探知機です。ところが、この探知機には爆発物を探知する能力が全くなく、その結果、検問を通過した爆発物によって多くの人命が失われていたことが明らかになりました:
日本の報道では、「欠陥品」とか「不良品」という言葉が使われていますが、そんなレベルではありません。爆発物を探知する能力が全くないどころか、探知機らしく見える部品を組み合わせただけのまがい物であったのです。このことは何年も前から判明しており、アメリカの政府機関などは繰り返し警告を発していました。

この爆弾探知機「ADE651」、通称 「魔法のつえ」 は、次のような構成要素からなっています:
  1. 拳銃のような形のグリップ。先にほぼ 360度自由に回転するロッド・アンテナがついている。手に持って使用。
  2. 箱状のカード読み取り装置。腰のベルトにクリップで取り付けて携行。
  3. 上記グリップとカード読み取り装置をつなぐケーブル
  4. TNT や プラスチック爆弾など、爆発物の種類に応じた探知プログラムを収めた十数枚のカード
電池などのエネルギー源は不要だそうです。使い方は簡単で、適切なカードを読み取り機に差し込んだ上で、この装置を持って爆発物に近づくと、ロッド・アンテナが爆発物の方向を指すのだそうです。(この時点でかなり怪しい代物だと気づきそうなものですが、イラク内務省は、いまだに探知機の問題ではなく使用方法が悪かっただけなので、兵士や警察官を再訓練すると言っているそうです。)

イギリスの BBC 放送がこの「探知機」の実体を暴く番組を放送し、その内容を記事にして掲載しています:
上記動画によると、この「探知機」のロッド・アンテナが動くのは、使用者の身体の動きや無意識の筋肉の動き(不覚筋動)などによって起きるもので、ダウジングでダウジング・ロッドとよばれる L字型や Y字型の棒が地下の水脈や金鉱脈に反応して動くように見えるのと同じなのだそうです。また、各種爆発物に対応したプログラムが収められているとされるカードは、分解した結果、プログラムなどは一切入っていなかったとのことです。

ダウジングは、オカルト、超常現象、疑似科学の類であって、科学的な検証に耐えた成功例はありません。

ATSC 社の責任者は詐欺の容疑で逮捕されています。少なくとも数百人、イラクの国会議員によればもっと多くて数千人が、このインチキ「探知機」のせいで見逃された爆発物によって命を失っていることを考えれば、単なる詐欺では済まされないのではないでしょうか:
疑似科学や似非(エセ)科学が、人命に関わる反社会的な側面を持つことを示す顕著な事例の一つであると思います。

ドラゴンズ・デン

以下は、ネット検索中に偶然遭遇したものです。“Dragons' Den”というタイトルの TV 番組です:
番組のタイトル 「ドラゴンズ・デン」 は、直訳すると「竜の棲む洞窟」とか「竜のすみか」といったところで、危険な場所、すなわち「虎穴」を意味しています。新たにビジネスをおこそうとする人が、ドラゴンズと呼ばれる何人かのベンチャー投資家や成功した企業家たちの前でプレゼンテーションをおこない、有望と認められれば起業資金が提供されるという番組です。ドラゴンズの面々は非常に辛辣で、起業しようとする人が説明するビジネス・プランの問題点を鋭く指摘します。起業したい人は、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と同様、竜のすみかに入る危険を冒さなければ、資金は得られないということです。

“Dragons' Den” は、日本で何年か前まで放映されていた「マネーの虎」という番組と同じ形式です。日本の番組名は、太平洋戦争でマレー作戦を指揮しシンガポールを陥落させた山下奉文(やましたともゆき)大将の異名「マレーの虎」をもじったもののようです。

「マネーの虎」や “Dragons' Den” と同じ形式(フォーマット)の番組は、世界の多くの国で製作・放送されています。英・米はもちろん、オーストラリア、カナダ、チェコ、フィンランド、アイルランド、イスラエル、ロシア、さらにはサウジアラビア、アフガニスタン、ナイジェリア、などなど。アメリカでは “The Shark Tank”(サメの泳ぐ水槽)という番組名だそうです。やはり危険な場所を意味しています。

意外なのは、これらの番組の形式(フォーマット)は日本テレビのオリジナル、つまり「マネーの虎」が最初だという点です。この番組のフォーマットが世界中に輸出され、さまざまな番組名で製作されたのだそうです。

私は、日本の「マネーの虎」を全くと言っていいほど見ませんでした。他の番組のコマーシャルのときにチャンネルを切り替えていて、偶然目にする程度でした。はっきり言ってこの番組は不愉快で嫌いでした。資金を提供する面々の実にイヤな顔つきと尊大な態度や物言い。それに比べると、このブログ記事の冒頭でリンクを張った “Dragons' Den” の YouTube 映像では、資金提供する側はずいぶん紳士的で見た目も悪くありません。

この YouTube 映像の中で資金提供を求めている人物は、“SLEAZIEST Pitch Ever” というタイトルでもうかがえるように、かなりいかがわしい商品に対して 250万ドルの出資を求めています。商品はビンに入った液体で、これをスプレーすることによって、結膜炎、ぜんそく、白血病、ガンなど万病に効くようなこと言っています。これは、ホメオパシーにもとづく “代替薬” なのだと思います(ホメオパシーは科学的・医学的根拠のない似非科学です)。これにはさすがのドラゴンズ側も引いてしまい、初めのうちは笑ったり冗談を言ったりしていたものの、最後には、“get out, just leave” と言ってこの怪しい「セールスマン」を追い出しています。

冥王星の表面に季節変化

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した冥王星の写真を NASA が公開しています。冥王星は 2000年から 2002年にかけて、南半球側が著しく赤黒い色に変化し、一方でこれから「夏」に近づく北半球側は明るさを増したとのことです。:
以下は、ハッブル・サイトに掲載されている冥王星のカラー画像です。オレンジ色の部分と黒灰色の部分があります。この色分けは、地表を覆うメタンガスが太陽光線によって分解され、その後に残った炭素を多く含む物質によって形成されているのでは、と推定されています:
以下のページにある 2枚の画像は、冥王星表面の模様の経年変化を示しています。上が 1994年、下が 2002年から 2003年にかけて撮影されたものです:
以下のページには、公開された画像をつなぎ合わせて、冥王星の自転する様子を示す動画があります:
なお、冥王星には NASA の無人探査機ニューホライズンズ(2006年 1月打ち上げ)が 2015年に接近する予定です。冥王星やその衛星 Charon、Nix、Hydra についての多くの新しい発見がもたらされることを期待したいと思います。


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リュウグウノツカイ(?)の動画

“Discovery News” のサイトが、深海潜水艇から撮影したリュウグウノツカイかその近縁種と思われる魚の動画を掲載しています。撮影場所はメキシコ湾で、水深は画面に映っている数字から推測して 1500m 前後(数字の単位がヤードやフィートだったらもっと浅い)です。動画の冒頭で 15秒間ほどコマーシャルが流れますが無視してください:
遊泳能力の弱い魚なので、何かのはずみで海面近くまで上がってしまうと、波の力に抗しきれず岸に打ち上げられてしまうのだと思います。「何かのはずみ」が何なのか、よくわかりませんが。

太陽面を横切る謎の物体

イギリスの天体観測家が太陽を観測中に横切った謎の物体。何でしょうか:
掲載されている動画では、物体はかなり速く移動しています。これがコマ落としの効果ではなく実際のスピードだとすると、地球に近いところを移動している小惑星か人工衛星の可能性が高いと思います。


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2010年2月8日月曜日

新しいタイプの火山雷?

これまで知られていた 2つのタイプの火山雷とは違う火山雷が、アラスカのリダウト山の観測データから見つかったとのことです:
発見した研究チームでは、新しいタイプの火山雷は 「マグマに含まれるシリカが帯電し、これが地殻から飛び出した際に大気に触れることで閃光が起こる」のではないかと推定しています。しかし、新しいタイプと言えるのか異論もあるようです。


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2010年2月6日土曜日

アゼルバイジャンで泥火山噴出

カスピ海に面したアゼルバイジャン共和国の首都バクーに近いところにある Lokbatan 泥火山が大量の泥を噴出したとのことです:
記事によると、噴出は 1時間ほど続き、噴出した泥流が 1.5ha の地域を覆いました。Lokbata 泥火山が最初に噴出したのは 1829年で、それ以来 21回の噴出が記録されており、いちばん最近の噴出は 2001年とのことです。

Lokbatan の位置は、以下のグーグル・マップにマークしてあります:

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パキスタンで火山噴火? (続報)

2月 3日付記事「パキスタンで火山噴火?」の続報です。「噴火」したのは通常の火山ではなく、泥火山ではないかとの見方が浮上しています:
泥火山からはしばしば天然ガスが噴出することがあり、これに何らかの原因で着火すれば、山頂からの噴火や溶岩の流出(実際は泥流)のように見え、地元住民の目撃証言と矛盾しないということです。現在、専門家が現地に向かっているとのことです。

以下の資料によると、「噴火」が伝えられたバルーチスターン(バルキスタン)州には 18の泥火山があり、また、そこから地質学的に連続しているアラビア海でも、ときおり泥火山が「噴火」して海面に一時的な島が現れることがあるとのことです:
日本には、北海道天然記念物に指定されている新冠泥火山があります:

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地温上昇で羊が炎上 ―― ヨルダン (続報)

遅くなりましたが、このブログの昨年 10月11日付記事「地温上昇で羊が炎上 ―― ヨルダン」の続報です。この件の結末は追記として書いたつもりになっていたのですが、勘違いしていました。

当初のブログ記事では、一次情報を優先させて地元ヨルダンや隣国サウジアラビアの報道を紹介しましたが、その後、この事件は世界各国に報道されて多くの関心を集め、さまざまなニュース記事が配信されました。以下に、現在もアクセス可能な状態で残っている記事を紹介します。1番目と 2番目はイギリスの新聞、3番目は中東のニュースサイトです:
そして以下は、サウジアラビアのニュースサイトが事件の調査結果を報じているものです:
上記の記事から、謎解きの部分を中心に抄訳/意訳します:
政府が派遣した専門家は、羊炎上事件の現場近くにあるゴミ処理場から、メタンガスと有機物が地下に浸透していたことを明らかにした。「地元住民が枯れ草に火を付けたとき、地下で燃焼していた火が吹き出し燃え広がった」とヨルダン地質学会の会長である Bahjat Edwan は語り、「現象自体は奇妙だが、火山噴火や地震の兆候はないのでパニックに陥ることはない」と付け加えた。

現場一帯では、地中に滞留しているガスを発散させるためにたくさんの穴が地面に穿たれ、さらに問題を中和するために一体は水浸しにされた。土壌は黒くなり、多くのオリーブの木が黒こげになったが、「いまや全く安全になった」と Edwan 氏は語った。

Edwan 氏は次のように警鐘を鳴らしている ―― 問題を起こしたゴミ処理場からの漏出は続いているので、同じような現象が、今回の件が起きた Salt 市(ヨルダンの首都アンマンの北西 25km)の別の地域でも起こりうる。

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ハイチ地震はテクトニック兵器のテストだった?

南米・ベネズエラのチャベス大統領は、「アメリカは援助を隠れみのにしてハイチを占領するつもりだ」と非難していますが、さらに次のような発言をしています:
記事をまとめると、チャベス大統領がスペインの新聞『ABC』に語った内容はおおよそ次のようなものです:
アメリカは、環境タイプの大災害を作り出す能力のある装置をテストすることによって、神のようにふるまった。ハイチの地震は、アメリカ海軍がハイチ沖で実施した地震兵器のテストに引き続いて発生した。今回はテストに過ぎなかったが、アメリカの最終ターゲットはイランだ
チャベス大統領は、情報の出所については明らかにしなかったとのことです。

いやはや、一介の市井人がトンデモ話を弄ぶならいざしらず、一国の大統領が口にするとは、こちらの口がふさがりません。

チャベス大統領の暴走は止まりそうもありません。自分の演説を放送しなかったという理由で TV 放送局を閉鎖に追い込もうとしたりするなど、国内メディアに対する締め付けを強めています。また、外国企業に対する圧力も激しさを増しており、トヨタ自動車に対しては、ベネズエラの悪路を走れる車を作れ、技術を供与せよと要求し、応じなければ工場などを国有化すると脅しています。ソニーのプレイステーションにも矛先が向けられています。ベネズエラの通過切り下げにともなって商品価格を上げたフランス系の企業は、国有化を宣告されました:
地球の裏側で独裁者が何をわめこうと、日本の一般国民にはあまり関係ないようにも思えますが、ひょっとすると石油価格の急上昇という形で影響が出てくるかも知れません。現在、ベネズエラは深刻な干ばつに悩まされており、水力発電に大きな影響が出ています。この電力不足を補うために、ベネズエラが持つ南北アメリカ最大の製油施設の発電設備を使うことになれば、製油量が減り石油価格の上昇につながる懸念があるとのことです:

定置網にリュウグウノツカイ ― 富山県入善町

2月 5日朝、富山県入善町飯野沖の定置網にリュウグウノツカイがかかっているのが発見されました。体長は 2.27m:
今冬、富山湾で見つかったのは 3匹目です。魚津水族館は「3個体も見つかるのは非常に珍しい」、「謎は深まるばかり」と不思議がっているとのことです。

富山県入善町の位置は、以下のグーグル・マップにマークしてあります:

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2010年2月3日水曜日

南硫黄島北海域で白煙

東京から南に 1300km の海域で海底火山噴火か:
海水が常時変色している海域で、「最近は新島が一時形成されてはその後、水没する例が多い」とのことです。

全国の火山活動の評価

2月 2日付で 「第115回火山噴火予知連絡会 全国の火山活動の評価」 が発表されています:
活発な活動が続いている 桜島(噴火警戒レベル 3)、三宅島(同 2)、諏訪之瀬島(同 2)、薩摩硫黄島(同 2)、浅間山(同 2)以外で目についた火山の状況を上記文書から以下に抜粋します:

十勝岳
62-2 火口付近では、2006年以降、GPS観測により 62-2 火口浅部の膨張を示すと考えられる局所的な地殻変動がみられ、現在まで継続していると推定されます。

樽前山
A火口及びB噴気孔群では高温の状態が続いており、山頂溶岩ドーム付近の局所的な膨張が 2006年以降継続しています。また、地震活動は概ね低調ですが、2008年以降は消長を伴いながらわずかな増加が見られています。2009年 10月に傾斜変動を伴う火山性微動が2回発生しました。

秋田駒ケ岳
8月 28日に確認された女岳北東斜面の新しい噴気地熱域では、10月 21~ 23日にかけて実施した現地調査の結果、斜面下方側に地温の高い領域が認められ、地熱域の斜面下方への拡大が確認されました。その後もこの地域では、11月 12日および 12月1日の上空からの観測の結果、地熱によると考えられる融雪域がみられ、地熱域がわずかに拡大しているのが認められました。

吾妻山
10月以降は噴気の高さが 50~400mと再びやや高まった状態が続いています。一切経山や、大穴火口以外の場所では、地表面温度等の変化は認められません。火山性地震は 2009年 10月以降増加し、やや多い状況が続いています。1月 29日に火山性微動を2回観測し、継続時間はそれぞれ約2分半と1分でした。

富士山
山体周辺の GPSによる地殻変動観測で、2008年8月頃からわずかな伸びの変化が継続しています。この変動は、地下深部の膨張を示していると考えられます。

伊豆東部火山群
明瞭な低周波地震の活動や火山性微動は観測されておらず、噴火の兆候は認められません。

伊豆大島
地下深部へのマグマ注入によると考えられる島全体の長期的な膨張傾向が継続していますが、短期的には秋頃から収縮傾向がみられています。

硫黄島
2006年8月以降見られていた島全体が隆起する地殻変動は現在は停滞していますが、島内南北方向の伸びの傾向は継続しています。

福徳岡ノ場
変色水が確認されており、小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では警戒が必要です。

阿蘇山
11月2~6日にかけて火山性微動の振幅が一時的に大きい状態となり、消長を繰り返しながら推移しました。孤立型微動は多い状態で経過しました。中岳第一火口南側火口壁の噴気孔では火炎現象及び赤熱現象が引き続き観測されています。南阿蘇村吉岡(中岳第一火口から西南西約6km)の噴気は噴出力がやや強く、引き続き噴気活動に注意が必要です。

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奇妙な「彗星」

先月、尾はあるけれども核がない奇妙な「彗星」が見つかったとの報道がありました:
分析の結果、これは彗星ではなく 2つの小惑星が衝突した結果だとの結論が出されています。彗星ではなく小惑星であると判断された最大の理由は、その軌道です。彗星と小惑星では軌道が大きく異なります。発見された奇妙な「彗星」の軌道は、フローラ族と呼ばれる一群の小惑星のものと一致していました。

このほど、この奇妙な「彗星」をハッブル宇宙望遠鏡で撮影した高解像度の画像が公開されました:
衝突によって飛び散った小惑星の残骸が彗星のような尾を形成しています。中心部には X字状のパターンが見られます。その左に見える小さな白い点は、衝突を生き延びた小惑星で、直径 140m と推定されています。衝突前にはもっと大きかったと思います。衝突したもう一方の小惑星は粉々に粉砕されてしまったようです。

現在、この奇妙な「彗星」は太陽から 3億 km、地球から 1億 4000万 km 離れたところにあり、画像にある残存小惑星や破片が地球に降り注ぐようなことはないそうです。

本件と直接の関係はありませんが、太陽に近づきすぎた彗星が蒸発してしまったところを捉えた動画が以下の記事にあります:

パキスタンで火山噴火?

パキスタンの山岳地帯で火山噴火や溶岩流出が起きているとの報道があります:
記事によって噴火や溶岩流出が起きている場所について異同があり、“Wham in Ziarat”、 “Charri located near Ziarat”、 “Jhari area of Ziarat about 75 kilometers’ distance from Baluchistan provincial capital Quetta” などと記載されています。共通するのはバルーチスターン(バルキスタン)州の Ziarat という街です。以下のグーグル・マップにこの Ziarat の位置をマークしました:
Ziarat という地名は、パキスタン南西部のイランとの国境に近い山岳地帯にもありますが、州都クエッタから 75km と書いている記事があることから除外しました。

現場付近では、昨年強い地震があり死者が出ているとのことです。なお、ふもとの住民が山火事を火山噴火と見誤ったのではないかとの説を載せている記事がある一方で、実際に噴火あるいは溶岩流出が起きている場所に近づいて観察した人のレポートを載せている記事もあります。


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フォボスとデイモス

ESA(欧州宇宙機関)が公表している火星の衛星・フォボスとデイモス(ダイモス)の映像です。同機関が打ち上げ、2003年末に火星の周回軌道に入った火星探査機マーズ・エクスプレスが撮影したものです:
冒頭の静止画は、火星上空を漂うフォボスです。2つの衛星のうちの大きい方で、デイモスよりも内側の軌道を回っています。2番目は動画で、フォボスとデイモスが移動していく様子を撮したものです。(静止画も動画もクリックすると拡大します。)

マーズ・エクスプレスは、3月 3日にフォボスから 50km のところを通過します。謎の多い衛星の非常に高解像度の映像が送られてくると期待しています。

フォボスについては、その奇妙な軌道や密度の低さから、かつて、中空の人工天体ではないかという説が唱えられたことがあります。たとえば、ロシアの宇宙物理学者シクロフスキーは、フォボスが「薄い金属板」でできているという説を唱えています。この「フォボス空洞説」には高名な科学者の中にも賛同者が出ましたが、いまは完全に廃れています。フォボス空洞説については、以下のページに説明があります:
  • フォボス (『ウィキペディア(Wikipedia)』)

リュウグウノツカイ漂着 ― 山口県長門市

1月 29日、体長約 4m のリュウグウノツカイが山口県長門市の海岸に漂着:
山口県内では、99年以降これまで 3回、いずれも長門市で見つかっているとのことです。

上記記事中に 「先月には兵庫県の日本海側でも発見された」 との記述がありますが、これはこのブログの 1月 27日付記事 「リュウグウノツカイ 2匹 ― 兵庫県」 で紹介した事例のことと思われます。この 2匹の発見場所は兵庫県香美町の香住漁港で日本海に面しています。瀬戸内海側で発見されたかのような記述をしたブログがありましたが、間違いです。兵庫県は瀬戸内海だけでなく日本海にも面しています。なお、今回の山口県長門市も日本海側です。


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