2014年7月31日木曜日

巨大地震予測の数々


琉球大学名誉教授の木村政昭氏や八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏が、7月21日の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)に出演していたんですね。私は見逃してしまいました。海外でも番組の内容が報道されています。

番組の中で、木村氏は、2017年までに伊豆鳥島(地図)を中心とした領域でM9クラスを予測。串田氏は、このブログでたびたび紹介しているように、琵琶湖を中心とした近畿地方でM7.8±0.3程度、早い場合は今年の11月8日±1~2日と予測。

「(東京大学教授のロバート)ゲラー氏と横山裕道氏(淑徳大学客員教授)は木村氏と串田氏の説をオカルト扱い。『研究論文を執筆し、学会に発表しないと検証はできない』『レフリー付きの学会に論文を出して』と、権威の側から真っ向否定した」:

東大のゲラー教授は、例の「地震爆発論」を「爆笑」という一言で一蹴した先生です。まさに鎧袖一触でした。

以下の記事では、産業技術総合研究所の宍倉正展氏と上記・木村政昭氏の予測を紹介しています。宍倉氏は、千島海溝沿いで発生する巨大地震を予測。木村氏は、釧路の東沖周辺で2014年までにM8.5、青森・岩手の太平洋側沖で2024年までにM8.5と予測:

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2014年7月30日水曜日

阿蘇中岳で火口底の高温域拡大、最高温度上昇


7月27日付「阿蘇中岳で火映現象」の続報です。

7月28日におこなわれた現地調査で、阿蘇山(地図)の中岳第一火口底の高温域が拡大し、最高温度も前回調査の226℃から115℃上昇して341℃に達していることが確認されました。また、同日夜間の現地調査では、火口底中央部付近が赤熱していることが確認されましたが、赤熱が確認されたのは2005年9月以来とのこと。27日と28日には火山性微動の振幅が増大しています。噴火警戒レベルは「1」(平常)のままです。

詳しくは、気象庁が29日16時50分に発表した「阿蘇山の火山活動解説資料」(PDF形式)をお読みください。


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2014年7月29日火曜日

伊豆大島で火山性地震増加 (続報)


7月26日付「伊豆大島で火山性地震増加」の続報です。

7月28日午後から、伊豆大島(地図)北部で再び火山性地震が増加しています。28日17時05分には、M4.4、最大震度3の地震が発生しました。島の中央部での地震もやや増加しています。

伊豆大島 時間別地震回数(2014年7月23日00時~28日17時 Credit: 気象庁
(クリックで拡大)

上のグラフと以下は、気象庁が28日18時10分に発表した「伊豆大島の火山活動解説資料」(PDF形式)からの引用です:
7月23日18時頃から島北部を震源とする火山性地震が増加しています。28日17時05分には、島北部を震源とするマグニチュード4.4(速報値)の地震が発生し、伊豆大島町元町で最大震度3を観測しました。このほか、23日から28日18時までに震度1以上を観測する地震が10回発生しました。なお、低周波地震や火山性微動は観測されていません。

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2014年7月28日月曜日

マレーシア航空17便に関する予言


7月17日、マレーシア航空17便(MH17)のボーイング777旅客機(717/17/777)がウクライナ東部上空で撃墜されましたが、以下の記事は、その撃墜事件を予言していたのではないかと思われる文言を3つ紹介しています:

1つ目は、撃墜事件の前月に投稿されたロシア語の奇妙なツイート(スクリーン・キャプチャー)です。ノストラダムスの予言詩のように思わせぶりで難解ですが、英語に直すと次のようになります:
Soon to be shot down over the ruins of the liner packed full of innocent euro-tourists. Tse will be the occasion for the official invitation to NATO. So I see.

罪のないヨーロッパの旅行者でいっぱいの定期便の残骸の上にもうじき撃ち落とされることになる。Tse はNATOへの正式の招待の機会となるだろう。そのように私には見える。

〝Tse〟は人名ですが、東京証券取引所やトロント証券取引所の略称でもあります。

英訳が正しいとすると、MH17の撃墜を予言しているのではなく、その撃墜現場の上空で再び撃墜事件がおこり、それがNATOの介入を招いて大規模な戦争に発展する可能性を示唆しているようにも読めます。

2つ目は、ナイジェリアの伝道師 TB Joshua 氏が2月16日におこなった説教です(動画):
I was telling you about Russia that you should pray for the young man, a very charismatic leader, that he shoud take note of his airspace.  Because when I was saying I want to see where this attack is coming from - airspace.  It could be in form of aircraft crash or whatever.  It could be from a place to that place or that place to that place but it will be connected to --- just to rubbish the wonderful country.  But now, they should take care of their airspace.  We too are on our knees praying for the nation, that is, Russia.

As I was saying, I talked about Russia, that we shoud pray last week and two weeks ago - I am seeing something happen.  When and how?  I said, "Let us pray".  I was made to see the airspace; they should take care of the airspace.  I am seeing an attack but we will continue to pray.

全体として、ロシアに対して領空に気を配れと警告しています。〝Russia〟(ロシア)、〝airspace〟(領空)、〝attack〟(攻撃)という言葉が繰り返し出てきます。「その攻撃はどこからやって来るのか ― 領空だ」、「その攻撃は〝aircraft crash〟(航空機の墜落)か何か別の形をとる」。

このブログでは以前にも TB Joshua 氏の予言を取り上げたことがあります。アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル氷河で大噴火が起き、大気中に漂う大量の火山灰の影響でヨーロッパの航空路線が大混乱に陥ったときのことです:

3つ目は、中国系マレーシア人(マレー系中国人?)の風水師・占星術師である Thean Y Nang 氏の予言です。同氏は、9・11の同時多発テロや2008年の四川大地震を正確に予言していたとされています。毎年、旧正月(2014年は1月31日)の前に出版される新しい年の運勢予想書の中で、「マレーシアはひどい不運と深刻な自然災害と人災に見舞われるだろう」、「2014年のマレーシアの国運は、悲観と極端な不幸の間を揺れ動き、その前途には多くの障害物が現れる」と予想しています。

Nang氏の予言については、さらに詳しい記事があります。同氏のマレーシアについての予言は〝San Bi〟(Three Jade、3の翡翠)と呼ばれる不吉な星の巡りによるもので、それは膨大な富や人命の喪失を意味している、との記述があります。〝San Bi〟(3の翡翠)は「三碧」と考えられるので、同氏の予言は「九星」あるいは「九星気学」にもとづくもののようです:

大きな災害あるいは事件が起きた後には、必ずと言っていいほど、それが予言されていたという話が出てきます。毎日世界中で色々な人が様々なことを書いたり発言したりしているのですから、後から調べればそれらしい「予言」を見つけることはそれほど難しくはないのだと思います。皆さんはどう思われるでしょうか。


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小惑星 2014 OP2 が地球接近


7月24日午後5時34分(日本時間)、小惑星〝2014 OP2〟が地球に 0.52LD(1LD=地球から月までの平均距離)まで接近しました。

この小惑星は地球から遠ざかりつつあった7月25日に発見されたもので、遡って軌道を計算した結果、7月24日に地球に最接近していたことが判明したものです。アポロ群に属し、直径は 4~9mと推定されています。

最接近時の地球との相対速度は秒速11.71km(時速約4万2000km)でした。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2014 OP2 4~9 7月24日 17:34 0.52
(LD: 地球から月までの平均距離=1) 

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2014年7月27日日曜日

阿蘇中岳で火映現象


7月22日付「阿蘇中岳で21年ぶりに火口底が露出」の続報です。

7月22日深夜、阿蘇山(地図)の中岳第一火口で火映現象(volcanic red glow)が観測されました。「火口内の熱が噴煙に反射し、赤く染まった」、「火映現象は火山活動の活発化をただちに示すものではないが、今後も注意深く見守る」(福岡管区気象台):

『世界大百科事典』(平凡社)には、火映現象について「火道にマグマまたは高温のガスが上昇してきたことを意味している」との記述があります。


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2014年7月26日土曜日

伊豆大島で火山性地震増加


7月23日18時ごろから、伊豆大島(地図)北部で火山性地震が一時的に増加し、有感地震も4回発生しました。以下は、気象庁が25日に発表した「平成26年 No.30 週間火山概況 (平成26年7月18日~7月24日)」からの引用です:
23日18時頃から島北部を震源とする火山性地震が一次的に増加しました。24日の日中には伊豆大島町元町で震度1を観測する地震が4回発生しました。火山性微動の発生はなく、体積ひずみ計や傾斜計にも特段の変化はみられていません。

GNSSによる観測では、地下深部のマグマの供給によると考えられる島全体の長期的な膨張傾向が続いていますが、2011年頃から鈍化してきています。火山性地震が増加する前の期間も含め、その他の観測データに特段の変化はみられず、噴火の兆候は認められません。

上記資料に文章に添えられている「時空間分布図(南北断面)」を見ると、今回、火山性地震が増加した伊豆大島北部では、おおよそ3年数ヶ月の間隔で地震が多発し、その数ヶ月後には島の中央部で地震が多発する傾向があるようです(ただし、2011年は東北地方太平洋沖地震の影響か、この関係が乱れています)。

上記資料では、島全体の膨張傾向が2011年ごろから鈍化しているとしか述べられていませんが、体積ひずみ計による観測では別の傾向が捉えられています。以下は、「伊豆大島の火山活動解説資料(平成26年6月) 」(PDF形式)からの引用です:
長期的には、GNSSによる観測では、地下深部へのマグマの供給によると考えられる島全体の膨張傾向が続いていますが、2011年頃から鈍化してきています。

最近の変化をみると、GNSS による観測では、2013年8月頃から伸びの傾向がみられていましたが、2014年1月頃から停滞気味です。また、体積ひずみ計による観測では、2013年4月頃から伸びの傾向が停滞していましたが、同年8月頃から再び伸びの傾向がみられています。 


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2014年7月25日金曜日

草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇 (続報-7)


7月19日付「草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇 (続報-6)」の続報です。

草津白根山(地図)では、23日夜から24日にかけて、湯釜付近を震源とする火山性地震が急増しました。以下は気象庁が25日に発表した「平成26年 No.30 週間火山概況 (平成26年7月18日~7月24日)」からの引用です:
3月上旬から湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が増加し、その後、消長を繰り返しながら多い状態が継続しています。23日21時頃から、湯釜付近を震源とする振幅の小さな火山性地震が増加しましたが、24日に入って、徐々に減少しています。火山性微動の発生はなく、その他の観測データにも特段の変化は認められませんでした。

GNSS観測によると湯釜付近の膨張を示す変動が引き続きみられています。全磁力観測によると、5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は小規模なものであったとみられ、7月以降は停滞しています。

湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。

気象庁が24日16時に発表した「草津白根山の火山活動解説資料」(PDF形式)によると、「火山性地震は23日21時から24日15時までに164回観測」されたとのことです。

地元の観光業界はやきもきしているのでしょうが、上記資料に掲載されている「日別地震回数(1月1日~7月17日)」のグラフを見るかぎりでは、噴火警戒レベルを下げられる状況ではないようです。


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2014年7月24日木曜日

アスキャ・カルデラ崩落、津波発生 ― アイスランド


7月22日夜(現地時間)、アイスランドのアスキャ・カルデラ(地図)の南壁(南に面した壁?)が幅約1kmにわたって崩落し、岩石がなだれ込んだカルデラ湖のエキュヴァトン湖に津波が発生しました。津波の高さは約50mで、数回にわたって対岸に打ち寄せ、一部は Viti 火口に流れ込みました。5000万~6000万m3の土砂が崩落したと推定されています:

崩落の原因については、火山活動によるとの見方がある一方で、気温が上昇し凍土が融けてカルデラ壁が不安定になったことが原因である可能性が高い、と報じられています。


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2014年7月23日水曜日

アスペラトゥス雲 ― 新種の雲? (補足)


2009年6月5日付「アスペラトゥス雲 ― 新種の雲?」では、アスペラトゥス雲の静止画が載っている記事を紹介しましたが、以下の記事には2種類の動画があります:

「アスペラトゥス」(asperatus)はラテン語のようですが、オンラインのラテン語辞書を検索してもヒットしません。『新英和大辞典』(研究社)には、〝asperate〟(手触りがざらざらする、粗い)の項にラテン語の〝asperatus〟が語源との記載があります。


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2014年7月22日火曜日

阿蘇中岳で21年ぶりに火口底が露出


阿蘇山(地図)では、7月5日ごろから火山性微動の振幅が大きくなるなど、火山活動活発化の兆候が現れていましたが、7月17日の現地調査で、中岳第一火口の湯だまりが干上がり、火口底が露出していることが判明しました。21年5ヶ月ぶりとのことです:

以下は、気象庁の「平成26年 No.28 週間火山概況 (平成26年7月4日~7月10日)」からの引用です:
阿蘇山では、5日03時頃から6日未明にかけて火山性微動の振幅が大きくなりました。孤立型微動、火山性地震は少ない状態で経過しています。
8日に実施した現地調査では、中岳第一火口中央部付近で高さ10m程度の土砂噴出を確認しました。土砂噴出は6月の現地調査等でも観測されています。
また、二酸化硫黄の平均放出量は1日あたり2,200トン(前回5月28日、1,400 トン)と多い状況でした。

続いて、「平成26年 No.29 週間火山概況 (平成26年7月11日~7月17日)」からの引用です:
阿蘇山では、16日から孤立型微動及び火山性地震の多い状態が続いています。17日に実施した中岳第一火口の現地調査では、火口内でごく小規模な土砂噴出を確認しましたが、大きな変化は認められませんでした。また、11日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の平均放出量は1日あたり、1,500トン(前回8日2,200トン)と多い状況でした。

前回、湯だまりが消失した後の阿蘇山の活動は以下のとおりです(参照):
  • 1991年3月から湯だまりあり。
  • 1992年、年間を通じて火山性微動が大きい。4月から土砂噴出し次第に活発化。6月、湯だまり消失。7月、有感微動多発。8月から9月、活発な噴出、噴煙最高2500m。12月、921と922火孔開口、火炎噴出。
  • 1993年、1月から2月、スコリア噴火。3月、湯だまり出現。

なお、現時点で阿蘇山の噴火警戒レベルは「1」(平常)のままです。


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2014年7月20日日曜日

2014年7月19日土曜日

樽前山で地殻変動 ― 北海道苫小牧市、千歳市


7月8日に白老町(地図)で震度5弱を観測した地震(資料)で、樽前山地図)の西山が北東に1.8cm移動したことがわかりました。白老町も北北西に0.5cm移動しています:

因果関係があるのか不明ですが、上記の地震の4日前に、震央から約25km離れた登別温泉の大正地獄に変化が現れています:

樽前山の近くでは以下のような現象もありました:

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草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇 (続報-6)


7月13日付「草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇 (続報-5)」の続報です。

草津白根山(地図)では、依然として火山性地震の多い状態が続いています。以下は、気象庁が7月18日に発表した「平成26年 No.29 週間火山概況 (平成26年7月11日~7月17日)」からの引用です:
火山活動の活発化を示すデータが引き続き観測されています。
GNSS観測によると湯釜付近の膨張を示す変動が引き続きみられています。全磁力観測によると、5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は小規模なものであったとみられ、7月以降は停滞しています。
火山性地震は多い状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。
(中略)
湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。

先週とほぼ同じ内容ですが、色をつけた部分が付け加えられています。夏休みやお盆の観光シーズンに合わせて噴火警戒レベルを下げるための布石かも知れません。しかし、日別地震回数のグラフを見ると、警戒レベルを下げられるような状況ではありません。

噴火警戒レベルが上げられた場合、観光業界や地元自治体、場合によっては地元選出の国会議員などから気象庁に対して、早くレベルを下げてほしいとの働きかけ(要請、圧力)があるという話を何度か聞いたことがあります。


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2014年7月18日金曜日

カトラ山で氷河融解、地震増加 ― アイスランド


2012年以降、音沙汰のなかったカトラ山(地図)。このアイスランド南部の活火山を覆う氷河(氷冠)が溶け、河川の水位が突然上昇する現象が報じられています。また、7月上旬ごろから、カトラ山の氷冠直下あるいは非常に浅い場所に震源のある地震が増加しています。最大規模はM2.7です:

カトラ山には複数のカルデラがありますが、どのカルデラから融解した水が流れ出しているのかは確認されていません(氷河の下を流れているため)。水が流れ込んでいる河川では、硫化水素の濃度上昇が観測されています。突然の水位上昇が起こりうるので、カトラ山一帯の河川に近づくことは控えるように呼びかけがおこなわれています。

このような氷冠の融解にともなう増水は、昨年も観測されています。3年前の増水では、河川に架かる橋が押し流されました。

地震の増加については、火山性ではなく、季節的なものである可能性が高いとされています。つまり、気温の上昇につれて氷冠が溶けて重量が減少、その結果生じた不均衡によって地震が起きている、という解釈です。ただし、季節性のものであるならば、昨年の同じ時期にもカトラ山でこのような地震増加があってもよさそうなものですが、私のノートを見る限りでは、そのような情報はありませんでした。


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道路の舗装が溶ける ― イエローストーン


7月10日、イエローストーン国立公園内のファイアーホール・レイク・ドライブ(地図)という道路が、地温が上昇して表面の舗装が溶けたために閉鎖されました。通常より17~22℃高い70℃に達したとのことです:

舗装が溶けた場所を含む一帯は、地下に熱水システムが存在しているためにもともと地温が高く、過去にも舗装が溶けて閉鎖されたことがあるとのことです。

こういう現象が報じられると、短絡的に「大噴火がおきるぞ」という風説を流す人がたくさん現れます。 〝doomsayer〟とか〝fearmonger〟と呼ばれる人たちです。しかし、現在、イエローストーンは噴火をおこす状態にはないようです。今春、バッファローが危険を感じて逃げ出しているから噴火が近いといううわさが広がりましたが、本を正せば住民が春の風物詩としてバッファローの移動を撮影しYouTubeに投稿した動画でした。これに不安を煽るようなキャプションをつけて再投稿した者が複数あり、イエローストーン国立公園の当局が対応に追われる事態に発展しました。

以下の記事は、今回の現象について心配する必要がないことを、過去の事例などを紹介しながら説明しています:

閉鎖されていた道路は、暫定的な補修がなされて再び通行可能になっています:

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異形の彗星 ― ロゼッタ探査機が撮影


6月20日付「ロゼッタ探査機、彗星に近づく」の続報です。

欧州宇宙機関(ESA)が2004年3月に打ち上げた彗星探査機ロゼッタは、目標とする 67P/チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星に徐々に近づいていますが、このほど、同探査機が撮影した彗星の映像が公開されました。:

動画のほうは7月14日に1万2000kmの距離から撮影、静止画の方は7月11日に撮影されたものです。彗星の大きさは、おおよそ 4×3.5×2km と見積もられています。

ハレー彗星を筆頭に、これまでいくつかの彗星に探査機が接近して撮影をおこなっていますが、今回のような形状の核を持った彗星は初めてです。

ロゼッタ探査機は、搭載しているフィラエ探査機を分離して彗星の表面に着陸させることになっていますが、このような形状の彗星への軟着陸は難度が高く、また着陸地点の選定も考慮すべき要素が多そうです。


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2014年7月17日木曜日

木星のアルマゲドンから20年


1994年7月16日から7月22日にかけて、シューメーカー・レヴィ第9彗星(Comet Shoemaker-Levy 9、以下 SL9)の分裂した核が列をなして次々に木星に衝突しました。

SL9は1993年に発見されましたが、観測の結果、この彗星は太陽の周りではなく木星の周りを回っていることが判明しました。彗星が惑星に捕獲される現象が実際に確認されたのは、これが最初でした。発見時には、すでに木星の強大な潮汐力によって核が分裂していました。SL9が木星に衝突することを最初に予報したのは日本人の研究者でした。

衝突が迫るにつれて、SL9の分裂核の列は木星の引力によって徐々に引き延ばされ、夜行の銀河鉄道999のように見えました(画像画像)。

衝突は、地球から見て木星の裏側で起きたのですが、それでも衝突によって生じた凄まじい閃光が地上や宇宙の望遠鏡で観測されました(動画動画画像)。

また、木星の大気上層部を突き抜けて上昇するプリューム(キノコ雲)も観測されました(画像)。

木星の自転によって衝突地点が地球から見えるようになると、衝突痕がいくつも観測され、最大のものは地球に匹敵する大きさでした(画像画像画像画像画像)。

SL9の木星衝突によって天体間の衝突が現実味を帯び、地球への彗星や小惑星の衝突が真剣に議論されるようになりました。SL9以降も、木星への小天体の衝突が直接観測されたり、衝突の痕跡が発見されたりしています。


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冥王星まで1年


Credit: NASA

人類初の冥王星(および太陽系外縁天体)探査機「ニュー・ホライズンズ」が冥王星に最接近するまでの時間が1年を切りました。7月15日(日本時間)には、2006年の打ち上げ以来6回目となる軌道修正がおこなわれました。同探査機は、現在、地球から43億5000万km離れたところを飛行中で、電波信号が届くのに片道4時間ほどかかります(地球から太陽までの距離は約1億5000万kmです):

上記の軌道修正では、87.52秒間のロケット噴射がおこなわれ、探査機のスピードが秒速1.08m加速されました。消費した燃料はおおよそ0.25kg。まだ53kgほどの燃料が残っているとのことです。

ニュー・ホライズンズの現在位置は次のページで確認できます。1時間ごとに更新されています:

8月25日、ニュー・ホライズンズは海王星の軌道を横切ります。


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2014年7月15日火曜日

カタクチイワシの大群出現 ― カリフォルニア州南部


7月8日、カタクチイワシ(anchovy)の大群がカリフォルニア州南部の海岸の浅瀬に現れました。場所は、有名なスクリップス海洋研究所地図)の目前です。一見すると重油による海洋汚染が広がっているように見えますが、全てがカタクチイワシの群れです:

“La Jolla” は地名で、スクリップス海洋研究所の所在地です。“school” は魚などの群れを意味しています。童謡「めだかの学校」の冒頭の歌詞も英訳すると「メダカの群れは川の中」というすごく当たり前の内容になってしまいそうです。

スクリップス海洋研究所の研究者にとっても、非常に珍しい現象だったようです:
Scripps scientists, who haven't seen such an aggregation in more than 30 years, said it is unclear why the unusually large school moved into shallow waters off the coast.

スクリップス海洋研究所の複数の科学者は、30年以上の研究生活でもこのような集団は見たことがなく、なぜ異常に大きな群れが海岸に近い浅瀬に移動してきたのかはわからない、と語っている。

カタクチイワシの大群が現れたカリフォルニア州南部では、“Big One” と通称される大地震がサンアンドレアス断層沿いで発生することが懸念されています。昨年秋ごろからは、リュウグウノツカイが何度も浅瀬に現れています(詳しくは下の関連記事を参照してください)。


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2014年7月14日月曜日

メガマウス捕獲 ― フィリピン・ミンダナオ島 (補足)


7月2日付「メガマウス捕獲 ― フィリピン・ミンダナオ島」の補足です。

前の記事では、「海岸近くに、ジンベイザメ、オキゴンドウ、メガマウスが相次いで現れるというのは何かの前兆かも知れません」と書きましたが、7月14日16:00(日本時間同日17:00)ごろ、フィリピン・ミンダナオ島の南東沖でM6.3の地震が発生しました(震央地図)。震源の深さは約45kmで津波の発生はなく、被害は出ていないもようです(Phivolcsの発表ではM6.1、USGSの発表はM6→M6.4→M6.3と変遷しています):

6月末にメガマウス、ジンベイザメ、オキゴンドウなどが相次いで現れた場所(地図)はミンダナオ島北西部の沖合です。今回の地震の震央とはミンダナオ島を挟んでほぼ点対称の位置で、震源から見れば島の影になる場所です。


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本州最南端にアザラシ ― 和歌山県串本町


7月10日ごろから、和歌山県串本町の紀伊大島(地図)の漁港内にアザラシが迷い込んでいます。体長約1.4mでアゴヒゲアザラシと見られています。「アゴヒゲアザラシは北極海やベーリング海などに生息し、日本では北海道で姿が見られますが、本州で見つかるのは珍しい」:

6月下旬には、沖縄県の渡嘉敷島でアザラシが見つかっています:

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コブハクジラ漂着 ― 宮崎県延岡市


7月12日、宮崎県延岡市北浦町の海岸(地図)にクジラが打ち上げられているのが見つかりました。体長3.9mで、コブハクジラのオスとみられています。「同県内での確認は、雌は過去3例あるが、雄は初めて」(宮崎くじら研究会):

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スナメリ漂着 ― 兵庫県明石市


7月10日、兵庫県明石市の明石川河口(地図)に、スナメリの死骸が打ち上げられているのが見つかりました。「今年に入り、神戸市須磨区や淡路島で漂着死がいが見つかったほか、相生、姫路沖で泳ぐ姿が目撃されている」:

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イギリス海峡で「世紀の大地震」


7月11日12時54分(日本時間同日20時54分)、イギリス海峡チャネル諸島に属するジャージー島の西約15kmでM4.2、深さ12kmの地震が発生しました(震央地図)。日本人の感覚ではM4.2なんて大したことないと思いますが、めったに有感地震のおきない場所ですので、何が起きているのかわからなかったり、ショックを受けたりした人が多かったようです。"My cupboards were doing a dance, thought the world had come to an end." (食器棚が踊り出し、この世の終わりが来たかと思った):

記事によって過去1世紀で最大、過去90年間で最大など、表現にばらつきがあります。ジャージー島の周辺では、1853年にM5.2、1926年にM5.1、1933年にM5.2の地震が発生しています。1933年の地震を基準にすれば、81年ぶりということになります。

以下は、イギリス地質調査所(BGS)が発表した今回の地震についての資料です:

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双頭のハスが開花 ― 奈良県奈良市


7月7日、奈良県奈良市にある喜光寺地図)で、突然変異によって1本の茎に花が2つ着いた「双頭蓮」が開花しました。「双頭蓮は古くから良いことが起こる前触れの瑞兆とされ」ています:

『日本書紀』には、舒明天皇7年(西暦635年)7月の出来事として「是月、瑞蓮生於劒池、一莖二花」(このつき、あやしきはちす、つるぎのいけにおひたり。ひともとにふたつのはなあり)という記述があります(読み下しは岩波書店の日本古典文学大系『日本書紀 下』より)。

双頭蓮は6月末に京都府宇治市の三室戸寺でも見つかっています。今回の喜光寺からは北に約22kmの場所です:

蛇足ですが、上記報道記事のタイトル「瑞兆呼ぶ双頭蓮…」は日本語として変です。双頭蓮自体が瑞兆なのですから。


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2014年7月13日日曜日

大正地獄で湯泡噴出 ― 北海道登別市


7月4日、北海道登別市にある登別温泉の大正地獄地図)で、湯泡が頻繁に噴出しているのが確認されました。「普段よりも中央部の湯が沼底から沸き上がり、不気味に煮えたぎっているように見える状態が続いている」(自然公園財団登別支部)、「(大正地獄は)不定期に活発化し、2009年(平成21年)9月には約20メートルの高さまで湯泥が噴出したのが確認されている」:

4日後の7月8日18時05分ごろ、大正地獄から北東に約25kmの地点でM5.8の地震(震央地図)が発生しました。震源の深さは「ごく浅い」で、最大震度5弱を記録しました。震央は樽前山(活火山)の近くです:

2009年の湯泥噴出についてはこのブログでも取り上げました:

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赤い二重の虹 ― 東京都


7月11日夕方、東京の空に赤い二重の虹が出現しました:

以下は、ギリシャのサモス島(地図)に出現した同種の虹です。4月27日の日没時に撮影されました。太陽は、カメラのレンズが向いている方角とは逆方向(撮影者の背後)にあり、すでに地平線下に沈んでいます:

関係はないと思いますが、上記の虹が現れてから約1ヶ月後の5月24日、エーゲ海でM6.9(震源の深さ10km)の地震(震央地図)が発生しています:

【追記】 東京に上記の二重虹が現れた翌日早朝(7月12日04時22分ごろ)、福島県沖を震源地とするM6.8の地震がありました。震源の深さは約10kmで、東北地方などで最大震度4を記録しました。東京の最大震度は3でした:

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草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇 (続報-5)


7月4日付「草津白根山に火口周辺警報、噴火警戒レベル上昇 (続報-4)」の続報です。

草津白根山(地図)では、依然として火山性地震の多い状態が続いています。以下は、気象庁が7月11日に発表した「平成26年 No.28 週間火山概況 (平成26年7月4日~7月10日)」からの引用です(先週とほぼ同じ内容です):
火山活動の活発化を示すデータが引き続き観測されています。
GNSS観測によると湯釜付近の膨張を示す変動がみられています。また、火山性地震は多い状態で経過しました。
火山性微動は観測されていません。
(中略)
湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。

夏休みが近づくにつれて、地元自治体や観光業界から「噴火警戒レベルを早く引き下げろ」との圧力が強まるのではないでしょうか。地元選出の国会議員が暗躍することもあるそうです。


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2014年7月12日土曜日

3連続スーパームーン


今夜の満月から、スーパームーンが3回続きます。7月12日、8月11日、9月9日の3回です。月が地球から最も離れたときにおこる満月と比べて約14%大きく見え、約30%明るいとのことですが、言われなければ違いに気づく人は少ないでしょう:

表にまとめてみました。時刻は日本時間です:

満月 近地点通過
7月12日20時25分 7月13日17時26分
8月11日03時09分 8月11日02時43分
9月9日10時38分 9月8日12時31分
(天文年鑑2014年版、誠文堂新光社)

8月11日の満月は、月が近地点を通過してから1時間以内に起こるので〝エクストリーム・スーパームーン〟に該当します。


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