2010年7月31日土曜日

スペースクエイク 宇宙震

サブストーム(substorm、極磁気嵐)を観測するために NASA が打ち上げた THEMIS 衛星群(全 5機)の観測によって、地球の磁気圏が地震のように激しく振動する現象(スペースクエイク、宇宙震)が確認されました。1回のスペースクエイクによって放出されるエネルギーは M5 から M6 の地震に匹敵し、明るいオーロラの原因になるとともに、地上にも影響を与えるとのことです。

スペースクエイクがどのような現象か、以下の記事にある動画をご覧ください。百聞は一見にしかずです:

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2010年7月30日金曜日

フィリピン海の範囲 (その 3)

引き続き 『宏観休憩室 地震前兆研究村』 からの転載です:
No.4268(No.4136への返信) 「九州や四国の太平洋側では…」(その3) 投稿者:Nemo 投稿日:2007/06/13(水) 20:40

フィリピン海を太平洋から分離する決定を行った国際水路局は、現在は国際水路機構と改称されています。この機構が数年に1回開催する国際水路会議では、韓国が日本海の名称を「東海(トンヘ)」に変えるべきだ、それがだめなら日本海と「東海(トンヘ)」の名称を併記すべきだ、との主張を展開してきたことは皆さんご存じであろうと思います。今年5月の会議では日本側に有利な結論が出される趨勢にあると報道されていましたが、韓国側の猛烈な巻き返しもあって、結論はまた次回に持ち越しになってしまいました。会議の議長も国家間の係争を持ち込まれることに辟易しているようで、このまま結論の先延ばしが繰り返されると、いずれはサッカー・ワールドカップについてFIFAが下した日韓共催のような結論を求める国際世論が形成されてしまうかも知れません。

韓国側の論拠の一つに、複数の国が権益を有する海洋に一国家の名前を冠するのは不平等であるというものがあります。日本側は、インド洋やフィリピン海のように国家の名前がついている海洋の事例を挙げて反論しています。かつて日本がフィリピン海の名称を何とか避けようとしたことの背景に、島嶼の領有権などへの影響懸念や、それまで自国が自由にふるまってきた海に他国の名前が付くことへの不快感があったとすれば、韓国側が日本海の名称に抵抗感や警戒感を持つことと一脈通じるのかも知れません。国際機関の決定したフィリピン海に対して日本のとった対応は、ある面で韓国の日本海に対する行動と似ているように思います。韓国国内で発行される地図に日本海の名称はありません。

いま手元にある4冊の地図帳を開いてみると、その内3冊では四国のそばに大きな字で太平洋と書かれています。もっと広い範囲を示す地図で、日本のはるか南方にフィリピン海の名称が記載されているページでは、太平洋に比べて小さな字でフィリピン海と記載されています。残り1冊の世界地図帳では、西日本近海に海洋名の記載がなく、はるか南方、フィリピンの横あたりにフィリピン海と書かれています。

(完)


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フィリピン海の範囲 (その 2)

引き続き 『宏観休憩室 地震前兆研究村』 掲示板からの転載です:
No.4261(No.4136への返信) 「九州や四国の太平洋側では…」(その2) 投稿者:Nemo 投稿日:2007/06/10(日) 15:00

Googleで検索した結果では、以下のページがこの疑問について最も詳細に答えているようです:

長い解説なので以下に要点をまとめます:

[ここから要点]
国際的な取り決めでは、フィリピン海の北端は日本に達している。伊豆半島の下田から大隅半島の南端までの海岸は、すべてフィリピン海の北岸である。つまり、東海地方から西は太平洋ではなくフィリピン海に面している

▼ 国際水路局が、フィリピン東方の縁海(*1)を太平洋から分離してフィリピン海と名付けるという決定を行ったのは、日本が米軍の占領下にあった時期。日本は国際水路局から事前に意見を求められ、(1)従来どおり太平洋とする、(2)フィリピン東方の縁海をどうしても太平洋から分離するのであれば、北緯20 度線で区切って北半分を「小笠原海」、南半分をフィリピン海とする、(3)南北分割も不可ならば、フィリピン海ではなく「マリアナ海」を名称とする、という提案を占領軍を通じて行ったが、いずれも採用されなかった。1953年、国際水路局が発行した『大洋と海洋の境界』にフィリピン海が明示された。

▼ 国際水路局の決定に対して、日本政府は教科書や海図などの資料にフィリピン海の名称を用いないという方針で対応。地球物理学や地理学の学者たちも、一般の出版社が発行する地図にフィリピン海が国際的取り決めにもとづいた範囲で記載されることに反対してきた。学校教育でもフィリピン海は教えない。
[ここまで要点]


国際的な取り決めにもかかわらず、日本国内では、日本周辺の海にフィリピン海の名称を使わないという方針でこれまで一貫してきました。気象情報などで「九州や四国の太平洋側では…」などの表現が使われ、高知県や静岡県がホームページに「太平洋に面し…」と書いているのはそのためです。気象庁も地震情報で用いる震央地名(*2)で、東日本のはるか東方の区域を「北西太平洋」と名付けているのに対して、西日本のはるか南方の区域は「本州南方沖」と呼んでフィリピン海の名称は使っていません。その一方で、地震報道やプレートテクトニクスの普及で「フィリピン海プレート」という言葉がしばしば登場するようになり、フィリピン海の知名度が上がってしまったのは皮肉なことです。

敗戦直後の日本の国力では、海図や教科書の記載変更に要する膨大な作業や費用が大変な負担であったことは想像に難くありません。したがって、上記(1)の「太平洋のままに」という要望は切実なものであったと思います。一方、上記(2)と(3)で、フィリピン海ではなく「小笠原海」や「マリアナ海」という名称を提案した背景には、島嶼の領有権や水産資源などへの悪影響の懸念から、海洋に他国の名前がつくことに抵抗感や警戒感があったからではないでしょうか(当時、北マリアナ連邦(北マリアナ諸島)は成立していませんでした)。


(*1) 縁海(marginal sea): 日本海やオホーツク海のように大陸と島弧の間にある海。海洋側から見て島弧の背後にあるので背弧海盆(back-arc basin)ともいう。縁海は海洋性の地殻を持ち、その多くが地磁気の縞模様をもつので、島弧が大陸から離れる過程で形成された海であることには疑いがない。プレートテクトニクス理論が成立してすぐに、フィリピン海プレートでそのことが示された。(木村学著、「プレート収束帯のテクトニクス学」、東京大学出版会)

(*2) 「地震情報で用いる震央地名

(続く)

フィリピン海の範囲 (その 1)

(画像をクリックすると拡大します)

グーグル・マップで東京湾を見ると 「フィリピン海」 という表示が現れます:

グーグルが修正する前に急いで見ておきましょう:

もし、上記をクリックして現れるグーグル・マップで「東京湾」と表示されたら、念のために左上のスケールで縮尺を 1段上にしてみてください。それでも「東京湾」と表示されるようでしたら、多分グーグルが修正したのだと思います。

この件で思い出したのが、「西多摩の鶯」さんの 『宏観休憩室 地震前兆研究村』 という掲示板に私が 3年ほど前に投稿した 「九州や四国の太平洋側では…」 という記事です。日本では太平洋だと思っている海域も、国際的な取り決めではフィリピン海であるという内容です。

最近の豪雨を伝える TV の気象情報でも 「東海地方以西の太平洋岸」 という表現を耳にしましたが、東海地方以西が面しているのは太平洋ではなくフィリピン海、土佐の桂浜で坂本龍馬の銅像が見つめているのも太平洋ではなくフィリピン海の彼方というお話です。

以下に当時の投稿を転載します:
No.4256(No.4136への返信) 「九州や四国の太平洋側では…」(その1) 投稿者:Nemo 投稿日:2007/06/09(土) 19:20

先日、午後7時のNHKニュースの終わり頃に放送される天気情報コーナーで気象予報士が「九州や四国の太平洋側では…」と気象情報を伝えていました。いつもなら何の疑問も感じずに聞き流すところですが、たまたま南海地震とフィリピン海プレートのことを考えていた時だったので「アレッ?」と思いました。

四国や九州の沖合にある南海トラフに沈み込んでいるのはフィリピン海プレートであって、太平洋プレートではないですよね。とすると、四国や九州が面している海は、太平洋ではなくフィリピン海ではないのでしょうか。

天気予報では「西日本の太平洋岸」という表現もよく耳にします。いくつかの県庁のホームページにも、その県が太平洋に面しているとの記述があります。たとえば、高知県は 「南は太平洋に面して…。太平洋を臨む海岸線は長く…」、静岡県は 「日本のほぼ中央に位置し、太平洋に面して…」 と書いています(下記リンク参照)。しかし、高知県沖の南海トラフや静岡県沖の駿河トラフに沈み込んでいるのはフィリピン海プレートです。

調べてみると、国際的な取り決め上は、それらの県は太平洋ではなくフィリピン海に面しているというのが正しいようです。高知・桂浜にある坂本龍馬像は、太平洋の彼方を見据えていることになっていますが、実はフィリピン海の彼方を見つめているということになります。また、高知県には太平洋の名前を冠した高校がありますが、国際的な視野で活躍する生徒を育てるためには「フィリピン海高校」と改称すべきかも知れません ;-)。なんだかよその国の学校みたいな響きです。千葉県にあるにもかかわらず新東京国際空港とか東京ディズニーランドという施設があるぐらいですから、どうでもいいようなものですが。

(続く)

2010年7月29日木曜日

地震多発 ― ミャンマー、タイ、インド東部

7月初旬から、ミャンマーと、同国に隣接するインド東部やタイ北部で地震の報道が増えています。このブログの 7月 2日付記事 「ネズミの集団移動 ― ミャンマー」 で紹介したネズミの集団移動が起きている地域と重なります。もちろん、安易な関連づけは禁物ですが。

この地域は地震の観測態勢が整っておらず、また USGS や Geoscience Australia などの地震観測網にも十分にカバーされているわけではないので、現地からの散発的な地震報道に頼らざるを得ません。


▼7月 6日 ― タイとの国境沿いのミャンマー領で M4.5。タイ北部でも揺れを感じた。

▼7月 21日 ― タイとの国境沿いのミャンマー領で地震(規模不明)、タイ北部で震度 3。

▼7月 26日 ― タイ北部で連続地震 6回。規模は M2.0 ~ M3.2。さらに、ミャンマー東北部で M3.6。

▼7月 27日 ― インド東部アッサム州とメーガーラヤ州で連続地震 3回。規模は M3.4、M2.4、M4.1。

▼7月 28日 ― タイ北部で M3.8。
記事では 「震度3.8」 となっていますが、マグニチュード 3.8 の誤りと思われます。海外の報道では、震度とマグニチュードを混同した記事がときおり現れます。

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2010年7月28日水曜日

余震に異変 ― カリフォルニア州南部

カリフォルニア州南部では大きな揺れをともなう地震(震央地図)が続いていますが、7月7日に発生した M5.4 の地震では想定される規模の余震が発生しないという異変が起きています:

以下は記事の抄訳です:
7月7日に発生したマグニチュード 5.4 の地震ではこれまでに 650 を超える余震が発生している。しかし奇妙なことに、それらの余震の規模はすべてマグニチュード 4.0 未満である。

「この規模の地震では、最大でマグニチュード 4.4 の余震が発生すると想定される。非常に不思議だ。この地域では断層のネットワークが複雑に絡み合っており、それが想定される規模の余震が起きることを妨げているのかも知れない」 と語るのはスクリップス海洋研究所の地震学者 Debi Kilb 氏である。

M5.4 の地震はサン・ジャシント断層系(断層系地図)のコヨーテ・クリーク分枝で発生した。サン・ジャシント断層系は人口密集地の近くを通っているため、カリフォルニア州南部でもっとも潜在的危険性を秘めた断層の一つである。

Kilb 氏によれば、ほぼ同じ場所で起きた過去の地震 ―― 2005年 6月の M5.2、2001年 10月の M5.1 ―― でも想定される規模の余震が発生していない。

大地震の発生が迫ると小規模地震の発生が抑制されるという考えもあるので気になるところです。

このブログの 7月 22日付記事 「アメリカ西海岸の茂木ドーナツ」 でも、カリフォルニア州南部に 「茂木ドーナツ」 とよばれる地震発生パターンが現れており、そのドーナツの孔、すなわち地震空白域にサン・アンドレアス、エルシノア、サン・ジャシントという 3つの大断層系が通っているという話を紹介しました。上記の記事で、想定された規模の余震が発生していないという M5.4 の地震は、この空白域の縁に相当する場所で発生しています。


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2010年7月27日火曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 16)

(グラフはクリックすると拡大します)

その後の地震数の推移です。現地時間の 7月 17日と 18日は地震が発生しませんでしたが、19日から 20日にかけて発生の新たなピークがありました。ほとんどの地震は、カトラ山の北から西にかけての山腹・山麓で発生しています。

いわゆるフィア・モンガー(注)の人たちは、カトラ山が今すぐにでも大噴火をおこしそうだとしきりに騒ぎ立てていますが、まだそのような状況にはないと思います。

ある火山学者は、カトラ山の地震を専門に研究しているわけではないが、と断ったうえで次のように語っています(要約):
現在カトラ山で発生している地震のほとんどは、震源が非常に浅く(数キロメートル)、規模も小さい(マグニチュード 1前後)。また 1日あたりの地震発生数も少ない(多いときでも十数回)。

カトラ山が本格的に目覚めるときには、深いところ(数十キロメートル)で地震が発生し始め、震源が徐々に地表に向かって上昇してくる。1日あたりの地震発生数も百を超えないにしても数十回はあるはずで、火山性の微動もともなうはずだ。現時点ではそのような兆候がまったく見られない。

以下は、「続報 15」以降にカトラ山で発生した地震のリストです:
  • 7月19日 02:13:09 深さ 1.0 km M0.1
  • 7月19日 03:39:34 深さ 4.1 km M1.1
  • 7月19日 05:49:16 深さ 1.1 km M0.3
  • 7月19日 06:57:27 深さ 1.0 km M0.5 (カルデラ内)
  • 7月19日 07:22:19 深さ 1.0 km M0.8
  • 7月19日 09:47:51 深さ 11.0 km M0.6
  • 7月19日 11:46:34 深さ 1.0 km M-0.0
  • 7月19日 14:21:06 深さ 1.0 km M0.5
  • 7月19日 19:14:44 深さ 1.5 km M0.0
  • 7月19日 21:17:36 深さ 5.0 km M0.9
  • 7月20日 00:47:56 深さ 1.6 km M1.4
  • 7月20日 00:50:24 深さ 1.9 km M0.9
  • 7月20日 06:34:00 深さ 1.0 km M-0.2?
  • 7月20日 07:18:32 深さ 1.0 km M1.4
  • 7月20日 08:44:29 深さ 5.0 km M1.2
  • 7月20日 09:27:04 深さ 1.1 km M0.8
  • 7月20日 09:27:27 深さ 1.0 km M1.3
  • 7月20日 11:42:33 深さ 1.0 km M0.3
  • 7月20日 13:18:10 深さ 1.1 km M0.6
  • 7月20日 14:11:42 深さ 1.0 km M0.5
  • 7月20日 14:30:30 深さ 5.0 km M1.0
  • 7月20日 16:31:04 深さ 2.1 km M0.7
  • 7月20日 17:57:45 深さ 1.0 km M0.5
  • 7月21日 01:06:39 深さ 1.0 km M1.5
  • 7月21日 01:06:40 深さ 1.1 km M1.6
  • 7月21日 01:51:49 深さ 1.0 km M1.0
  • 7月21日 02:19:08 深さ 5.0 km M1.0
  • 7月21日 03:22:43 深さ 5.0 km M1.2
  • 7月21日 06:22:02 深さ 5.0 km M1.0
  • 7月21日 11:38:09 深さ 1.9 km M0.9
  • 7月22日 10:37:31 深さ 1.0 km M0.7
  • 7月22日 18:46:10 深さ 4.8 km M0.6
  • 7月23日 17:41:37 深さ 2.4 km M1.3
  • 7月23日 17:41:38 深さ 1.0 km M0.3
  • 7月23日 21:42:48 深さ 1.0 km M1.6
  • 7月24日 00:10:14 深さ 1.0 km M1.3
  • 7月24日 13:06:53 深さ 9.2 km M0.8
  • 7月24日 13:06:56 深さ 4.8 km M1.2
  • 7月24日 14:11:39 深さ 1.0 km M1.2
  • 7月24日 14:11:40 深さ 1.5 km M1.8
  • 7月25日 03:51:29 深さ 4.5 km M0.8
  • 7月25日 04:25:25 深さ 1.0 km M0.1
  • 7月25日 09:27:02 深さ 3.3 km M0.4 (カルデラ内)
  • 7月25日 14:51:14 深さ 4.9 km M0.4
  • 7月25日 15:25:49 深さ 1.5 km M0.6
  • 7月25日 19:26:56 深さ 4.7 km M1.0

(注) fear-monger、フィア・マンガー。ブログや掲示板に不安や恐怖を煽るようなことを書いて得々としている人。最近は “Katla-monger” という言葉もあるようです。


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民家が溶岩に呑み込まれる ― ハワイ島

7月25日、ハワイ島・キラウエア火山のプウ・オオ火口から流れ出した溶岩流がカラパナ地区(Kalapana、地図)にある民家を呑み込み炎上させました:

キラウエア山は 1983年以来噴火を続けており、今年 5月21日には連続噴火日数が 10000日に達しました。溶岩流はときおり方向を変え、これまでにも居住地区に流れ込んだり、道路を覆ったりしたことがあります。


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2010年7月23日金曜日

火山噴火で 33年地中に閉じこめられた人たち

1783年(天明 3年)の浅間山の大噴火で地中に閉じこめられてしまった人たちが、33年後に救出されたという話です:

大田南畝(大田蜀山人)の記した 『半日閑話』 という書物に記載されている 「信州浅間嶽下奇談」 という話だそうです。

閉じこめられた場所が蔵で、米が 3000俵、酒が 3000樽もあったので生き延びられたということですが、そんなに大量の物資を保管できるほど大きな蔵が当時あったのか、それらの物資が 33年間も食用に適した状態を保てたのか、呼吸する空気はどこから入っていたのか、などなどさまざまな疑問がわき起こります。

松島榮治シリーズ『嬬恋村の自然と文化』(二十七)に 「信州浅間嶽下奇談」 のもう少し詳しい要約が載っていますので引用します:
9月(文化12年)頃聞いた話だが、夏の頃信州浅間ヶ嶽辺りの農家で井戸を掘った。2丈余(約6.5メートル)も掘ったけれど、水は出ず瓦が2、3枚出てきた。こんな深い所から瓦が出る筈はないと思いながら、なお掘ると屋根が出てきた。その屋根を崩してみると、奥の居間は暗くて何も見えない。

しかし洞穴のような中に、人がいる様子なので、松明をもってきてよく見ると、年の頃5、60才の二人の人がいた。このため、二人に問いかけると彼らが言うには、

“幾年前だったか分からないが、浅間焼けの時、土蔵の中へ移ったが、6人一緒に山崩れに遭い埋もれてしまった。4人の者はそれぞれの方向へ横穴を掘ったが、ついに出られず死んでしまった。私共二人は、蔵にあった米三千俵、酒三千樽を飲み食いし、天命を全うしようと考えていたが、今日、こうして再会できたのは生涯の大きな慶びです”と。

農夫は、噴火の年から数えてみると、33年を経由していた。そこで、その頃の人を呼んで、逢わせてやると、久しぶりに、何屋の誰が蘇生したと言うことになった。

早速、代官所に連絡し、二人を引き上げようとしたが、長年地下で暮らしていたため、急に地上へ上げると、風に当たり死んでしまうかも知れないといい、だんだんに天を見せ、そろそろと引き上げるため、穴を大きくし、食物を与えたという。

1783年(天明 3年)の浅間山の大噴火については『理科年表』(丸善書店)に次のように書かれています ―― 5月9日~8月5日、普通の火山爆発、火砕流、火山泥流、鬼押出し、噴出物総量 2億m³、死者 1151、家屋流出・焼失・全壊 1182、山林耕地被害、気候異変助長。

Smithsonian Institution のデータベースでは、火山爆発指数(VEI)= 4、流出溶岩総量 3億1000万 m³、テフラ総量 4億3000万 m³ としています。

同じ年にアイスランドのラキ山とグリームスヴォトン山があいついで噴火し、世界中の気象に影響を与えました。日本では天明の大飢饉の時期にあたります。

不思議なことが起こる古い病院

外科医の体験談です。古くて暗い病院で起きた怪奇現象。それは阪神大震災の前兆だった?

2010年7月22日木曜日

アメリカ西海岸の茂木ドーナツ

今年になって大きな揺れをともなう地震が相次いで発生しているアメリカ西海岸で、日本の地震学者・茂木清夫氏(元地震予知連絡会会長、東京大学名誉教授)が 1969年に唱えたドーナツ仮説が注目を集めています:

ドーナツ仮説とは、ご存知の方も多いと思いますが次のようなものです ―― 来るべき大地震の震源域で地震活動が静穏化する一方で、その周囲の地震活動は活発になる。このような状況で、発生した地震の震央を地図上にプロットすると、地震活動の活発な地域がドーナツ状に見える。典型的なパターンでは、その後、震源域付近で直前の前震が発生し、空白域を埋めるように大きな地震が発生する。つまりドーナツの孔の部分で大地震が発生する。

上にリンクを張ったロサンゼルス・タイムズなどの記事では、1989年のロマ・プリータ地震や 1994年のノースリッジ地震を含む過去数十年分の地震をプロットすると、ドーナツ状のパターンが現れ、そのドーナツの孔の部分にサン・アンドレアス、エルシノア、サン・ジャシント(San Andreas、Elsinore、San Jacinto)という 3つの大断層系が含まれている、と伝えています。

上記ロサンゼルス・タイムズの記事は、カリフォルニア大学デービス校の物理学者・地質学者である John Rundle 氏の見解を中心に紹介していますが、2009年には別の研究者による以下のような論文も出されています:

以下の地図は、今年に入ってからカリフォルニア州南部を大きく揺らした 3つの地震の震源を示したものです。メキシコとの国境の南側で発生した M7.2 の地震をかわきりに、震源が徐々に北上してロサンゼルスに近づいている様子がわかります:

アメリカ西海岸では、断層系が相互に接続してネットワークのようになっており、ある断層で地震が発生すると、隣接する断層の応力バランスが変わって新たな地震の発生源になる、というドミノ倒しに似た現象がおきるという研究がいくつも発表されています。上の図に示された震源の北上傾向は、そのようなメカニズムが働いた結果かも知れません。

茂木清夫氏のドーナツ仮説を含む地震活動の時空間分布については、以下の記事が参考になります。関東・東北地方の震源の北上パターンなども紹介されています:

パキスタンで火山噴火? (続報 4)

続報 3」で書いた 2007年と 2008年のインドの事例については、「西多摩の鶯」さんが運営する 『宏観休憩室 地震前兆研究村』という掲示板に当時投稿したものの控えがありますので、以下に転載します。

まず 2007年 8月の件:
No.4782(No.4546への返信) インドで「火山」噴火 投稿者:Nemo 投稿日:2007/08/28(火) 18:30

まだ、一紙(それもベータ版のニュース・サイト)が伝えているだけですが、事実なら希有の出来事です ―― インド最東部のアルナチャル・パラデシュ州で、火山ではなく普通の丘の中腹から噴煙や火山弾が放出され、さらに溶岩が流出するという現象が起きています。

現象が最初に報告されたのは今月21日ですが、初めは丘の中腹で山火事が起きているという認識だったようです。高熱の火山弾によって、付近にある送電線の鉄塔が融け停電が発生したとのことです。現在は小康状態になっているようですが、ガスや噴煙の放出は続いており、周辺の地温が非常に高くなっているとのことです。

今回の噴火現場から 15km の地点に、数百万年前に火山があったことが地質学的な証拠から明らかになっていますが、それ以外、死火山・休火山も含めいかなる火山の痕跡もないと、GSI(インド地質調査所)の科学者は述べています。

先の戦争中、ごく普通の麦畑の真ん中から突如噴煙が立ち上り、短期間のうちに成長して昭和新山と名付けられた事例が思い起こされます。

アルナチャル・パラデシュ州はインド最東部にある行政区画で、北は中国、西はブータン、東はミャンマー(旧ビルマ)に接しています。

2004年末にインド洋大津波を引き起こしたスマトラ島沖地震(Mw9.1~9.3)以降、インド・オーストラリア・プレート北縁沿いの大地震の震源は大勢として徐々に東進しているように見えましたが、今年4月のソロモン諸島大地震でその東端に達したのではないでしょうか。ひるがえって反対の西・北方向では、2005年にアンダマン海にあるインド領の島で泥火山の活動が活発化したという報道がありましたが、あまり大きな地震は起きていません。しかし、今年になってインドシナ半島西縁、インド東部、中国南西部で強めの地震の報道が増えているように思います。

2005年10月にはヒマラヤ山脈西部でカシミール大地震が発生しています。その当時から、次はヒマラヤ山脈東部が危ないという話が出ていました。インド・オーストラリア・プレート北縁沿いの震源東漸がソロモン諸島大地震によって一区切りつき、今後は逆方向のインドシナ半島西縁からインド東部・ヒマラヤ山脈東部にかけての地域の活動が活発化するかもしれません。今回の「火山」噴火は、ヒマラヤ東部大地震の先駆けなのでしょうか。

おりしも、ヒマラヤ山脈東部に位置するネパールでは、今年に入ってから何人かの「予言者」や星占い師が大地震や首都カトマンズ壊滅を予告する事態となっていて、政府はそれらの人物を逮捕するなど国民の不安を沈静化しようと躍起になっていると報じられています。

次は 2008年4月の件:
No.5618(No.5567への返信) インドの工場地帯で「火山」噴火 投稿者:Nemo 投稿日:2008/04/24(木) 18:20

4月15日、インド中央部マドヤ・パラデシュ州のセンドワという地域で、工場地帯の空き地から突然「溶岩」が噴き上がり住民を驚かせています:

現場付近に火山はありませんが、マドヤ・パラデシュ州はデカン高原のまっただ中に位置しています。デカン高原は、中生代白亜紀以降に大量の玄武岩質溶岩が流出して形成された地形ですので、火山活動とまったく無縁というわけではありません。目撃者の証言では、一時は人の背丈ほどの高さまで溶岩が噴き上がったとのことです。噴出場所の形状は、記事によって「クレーター」であったり「裂け目」であったりしてはっきりしませんが、あまり大きなものではないようです。また、噴出した溶岩の量もそれほど多くはなく、現時点では冷えて固まり、黒い小山のような状態になっているとのことです。政府機関の派遣した専門家が噴出物を採取して分析中で、今のところ公式の説明はありません。

記事には原因についての様々な推測が書かれています:
  • 近くでおこなわれている巨大ダム(Sardar Sarovar ダム)の建設のため地震が増加したことが原因。 
  • 溶岩噴出現場は 11000 ボルトの高圧送電線に隣接しており、ある専門家は、このような現象は高圧の電流が頭上を流れることによって起こりうる、と語っている。 
  • ボパール大学とインドール大学の地質学科では、専門家が調査するまで確かなことは言えないとしている。 
  • 現場一帯は断層地帯で、Sardar Sarovar ダムは、断層の3重会合点近くに建設されている。ダムによって地震活動が活発になった、と地元の活動家は話している。彼によれば、1997年5月に 50人の死者を出す地震が発生しているが、これは自然からの警告である。6か月前には、爆弾が爆発するような原因不明の音が何回も聞こえた。 
  • ボパールにある MVM 大学の地質学者は、当該地域は中央インドの中でも断層の活動がかなり活発な場所で、デカン・トラップ(*)地帯でもあるので、地下の活動によって今回のような現象が発生しても不思議ではない、と語っている。 
  • マドヤ・パラデシュ州科学技術審議会(MAPCOST)の前会長で、著名な地質学者でもある Janardan Negi 氏は、噴出した流体の化学的分析が終わらないと、いったい何が起きたのか正確なことはわからない、と語っている。

なお、インドでは昨年夏にも、火山ではない場所から噴火が起こったという報道がありました。場所は、インド最東部でミャンマーに接するアルナチャル・パラデシュ州です。これについては、下記に投稿してあります:
  • No.4782 インドで「火山」噴火 2007/08/28(火) 18:30

(*)中生代白亜紀末にインド亜大陸に大量の玄武岩質溶岩が噴出した痕跡


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活断層のフォトコンテスト

日本活断層学会が断層などの写真を募集しています:

対象となる写真は ―― 教育・研究上または景観的に優れている、防災教育上示唆に富む、あるいは活断層の恵みを優れて表現している日本国内の「変動地形」または「活断層露頭」(地表地震断層を含む)の地上からの写真、ならびに過去に観察された貴重な変動地形・露頭写真など ―― で、締め切りは 9月30日です。

猛烈な雨 ― 広島県庄原市

「バケツをひっくり返したような」とか、「滝のような」という形容例えでは追いつかないほどの「庄原豪雨」:

撮影した人は 「素早く動く雲が渦巻きながら滞留し、異様だった。これほどの災害になるとは想像しなかった」 と語っています。

庄原市の位置は以下の地図にマークしてあります:

2010年7月21日水曜日

パキスタンで火山噴火? (続報 3)

火山でないところから突然溶岩が噴出するという現象はパキスタンの隣国、インドでも発生しています。

2007年8月 ― インド最東部のアルナチャル・パラデシュ州で、火山ではない普通の丘の中腹から噴煙や火山弾が放出され、さらに溶岩が流出:

2008年4月 ― インド中央部マドヤ・パラデシュ州のセンドワという地域で、工場地帯の空き地から突然溶岩が噴出:

上記 2つの事例については、その後の報道がないので、本当に火山性の溶岩が噴出したのか、あるいは何か別のものであったのか、残念ながら確認できていません。


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パキスタンで火山噴火? (続報 2)

今年 2月初めの当ブログの記事 「パキスタンで火山噴火?」 と 「パキスタンで火山噴火? (続報)」 で紹介した現象について、新たな情報です。山火事の誤認ではないかとか、泥火山の噴出ではないかといった推測がなされていましたが、このほどパキスタン地質調査所(GSP)の調査結果が報道され、溶岩の流出が実際に起きていたことが確認されました:

英語として不自然な文があるので判然としない点もいくつかありますが、以下に記事の概要をまとめます:
1月 27日、バローチスターン州ジアーラト渓谷にある山岳地帯に近いサリ(Sari near a mountain in Ziarat Valley, Balochistan、注)で地震にともなって裂け目から溶岩、水蒸気、火花が噴出した。地震のマグニチュードは 3.9、震源の深さは 60km であった。

パキスタン地質調査所から 2名の地質学者が現地に派遣された。2人は、2008年に起きた地震の後にも同地を調査している。

溶岩の流出は小規模で、裂け目の周囲にとどまっている。溶岩は、小さなスコリア丘と 4つの裂け目から噴出していた。4つの裂け目はジアーラト近くのサリにある Tor Zawar山にあった。

溶岩は上部マントルから上昇してきたか、地殻内部に以前からあった火山岩がリサイクルされたものと考えられるが、地球化学的なデータからは後者であることが示された。

この溶岩噴出があった地域には Bibai 構造体と呼ばれる地質が 1200km にわたって露出している。この構造体は、今から 7200万年前、プレートの移動にともなって北上中のインド亜大陸がまだ赤道の南側にあったころに海底に流出した溶岩によって形成された。

今回噴出した溶岩は、この Bibai 構造体に含まれる火山岩が地下の高温・高圧の条件下で再融解(リサイクル)されたものである。温度上昇には、断層帯の運動による熱も関与している。

2008年に Gogai Wam 断層で地震が発生した際にマグマ溜まりが形成され、その後、マグマが地殻の弱い部分を伝って地上に噴出した可能性がある。また、地震によって新たな亀裂が形成されたり、拡大したりしたことが考えられる。

注: サリ(Sari)の位置は不明です。ジアーラト(Ziarat)という地名はバローチスターン州に複数あります。記事では特に説明をつけずに使っているので、この記事のジアーラトはもっとも有名なジアーラトだと思われます。以下のグーグルマップにこのジアーラトの位置をマークしました:
地図を見ると、ジアーラト周辺の地域が激しく褶曲している様子がうかがえます。インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突していることが原因と考えられます。おそらく無数の断層も形成されていることでしょう。


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ミズクラゲ大量発生 ― 神奈川県横浜市

横浜市中心部を流れる中村川の河口から約 1km 上流でミズクラゲが大量発生しています:

原因として「エサのプランクトン発生や風、海流の影響」が指摘されていますが、市は「大量発生は聞いたことがない」と語っているとのことです。

2010年7月19日月曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 15)

Number of Earthquakes under Katla Volcano(グラフはクリックすると拡大します)

その後の地震数の推移です。7月11日(現地時間)に 14回の地震を記録したあとは、地震数が急減し静かな状態が続いています。
  • 7月12日 11:38:04 深さ 2.0 km M0.7
  • 7月13日 12:17:21 深さ 5.1 km M0.8
  • 7月13日 13:23:25 深さ 5.4 km M0.9
  • 7月14日 16:10:24 深さ 5.7 km M0.9
  • 7月14日 22:55:35 深さ 0.1 km M1.6
  • 7月15日 00:44:06 深さ 1.7 km M0.5
  • 7月16日 19:31:35 深さ 0.1 km M0.5

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南アフリカの白人貧困層

このブログで何度も取り上げている『ボストン・グローブ』紙の「The Big Picture」が、南アフリカ共和国の白人貧困層を取り上げています:

この写真集につけられた説明によると、南アフリカ共和国に住む白人 450万人のうち、45万人が最低生活水準に満たない生活をし、さらにそのうちの 10万人は生死の境すれすれの極貧状態にあると見積もられているとのことです。ここに集められた 27枚の写真は、そのような白人貧困層の不法居住者が集まっている “キャンプ” で撮影されたものです。

私がもっとも目を引かれたのは 4番目(番号は各写真の左下に書かれています)の写真。食糧の配給をしているのが黒人で、受けとっているのが白人です。知らず知らずのうちに自分の頭の中にできあがっていた固定観念が覆りました。

7番目の写真は 64歳の女性。背後のテントの布に飾り付けられているのは、もとの豊かな暮らしの数少ないなごりでしょうか。

19番目の写真は、学校に通う子供たち。この写真に限らず、写っている子供たちは皆いちように裸足です。他の子供たちは長袖のセーターを身につけているのに、中央の少女だけは半袖の薄着です。この少女は 18番にも写っています。

サッカーのワールドカップが終わった南アフリカ共和国では労働力の需要が急速に減り、移民の排斥が起きています:

2010年7月17日土曜日

海洋深層水が白濁 ― 三重県尾鷲市

7月16日、三重県尾鷲市(地図)で取水していた海洋深層水が白濁しているのが見つかりました:

長く続いた大雨のために表層水が濁り、それが深層水に混じったことが原因と尾鷲市はみていますが、どうでしょうか。白濁は現在は解消しているようです。

尾鷲市は想定される東南海地震の震源域に非常に近いところにあります。

2010年7月16日金曜日

エイヤフィヤトラヨークトルの現状

会議と会議の間に中途半端に時間が空いたので 『異常現象に気付いたらお知らせください。』(www.progoo.com/rental/normal_bbs/bbs.php?pid=11087) というちょっと怪しい掲示板を見ていたら、次のような投稿が目にとまりました。アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル氷河での噴火について書いています:
No.113794 カトラ火山の隣の 投稿者:あんり 投稿日:2010/07 /13(Tue) 18:18

エイヤフィアトラヨークトル火山で7/12、噴火があったそうです。

http://www.ruv.is/flokkar/hamfarir/eldgos-i-eyjafjallajokli

本当でしょうか?

リンク先のページには、7月12日づけの記事が 2つ載っていますが、どちらもエイヤフィヤトラヨークトルで噴火があったとは書いていません。記事はアイスランド語で書かれているので英訳すると 「Research could take many years」 (研究には何年もかかる)と 「Water flows from Gígjökli」 (Gígjökli から水が流出)というタイトルです。

前者には噴煙が上がっている写真が付いていますが、過去に噴火したときのものです。写真に 「12.07.2010 19:38」 というキャプションが付き、ビデオカメラの絵文字が付いているので、12日に噴火がおきたと誤解したのかも知れません。この日付と時刻は、記事が最初に公開されたときを示すものです。

ビデオカメラのマークをクリックすると、研究者が火口周辺で調査を進めている様子が映し出されます。動画の内容は記事と一致しています。

後者の記事は、高温の水が溜まった池(湖)がクレーターの北にできているが、その水がどこからか流出しているため水位が低下しているという内容です。

この 「あんり」 というハンドル・ネームの投稿者がアイスランド語の記事をどこまで理解して「噴火があったそうです」と書いたのかはわかりませんが、察するに文章を読まずに写真だけに条件反射したというところではないでしょうか。

悪意はないのでしょうが、デマとか流言飛語というものはこのようなきっかけで始まる場合があるのかも知れません。大地震や火山噴火などの災害時に配布する情報は、誤解を生まないよう十分に文章を吟味する必要がありますが、文字情報をよく読まずに早合点する人もいるでしょうから、使用する写真やイラストにも気を配る必要があると思います。

他のニュースソースをあたっても、エイヤフィヤトラヨークトルで 7月12日に噴火があったという情報は見あたりません。もちろん、報道されるレベルに達しない小規模の水蒸気噴出ぐらいはあったかも知れませんが。

アイスランド気象局は、エイヤフィヤトラヨークトル氷河での噴火が沈静化したため、噴火についての定期的な情報更新を 6月23日を最後に打ち切っています。状況に大きな変化が起きたときには再開するとのことです:
Status reports from the Icelandic Meteorological Office and the Institute of Earth Sciences will no more be sent on regular basis, but only if something notable is observed.

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霧島山(新燃岳)の小規模噴火続く

当ブログの5月27日付記事「霧島山(新燃岳)が小規模噴火」以降書きそびれていたのですが、霧島山の新燃岳(地図)の火山活動は続き、6月27日、同28日、7月10日にも小規模噴火をおこしています:

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カトラ山はいつ噴火するか

アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル氷河(氷冠)で起きた噴火は 6月中ごろから沈静化し、現在は火口に水が溜まっている状態です。

カトラ山 ―― エイヤフィヤトラヨークトル氷河に隣接するミールダルスヨークトル氷河の下に潜む火山で大きなカルデラがある ―― が、エイヤフィヤトラヨークトルの火山活動に誘発されて大規模な噴火をおこすのではないかとの指摘があり、アイスランドの大統領も懸念を表明していることはこれまでも報道されてきました:

仮にカトラ山が連鎖噴火をおこすとすれば、それはいつ頃になるのでしょうか。

Smithsonian Institution の火山データベースによれば、エイヤフィヤトラヨークトル氷河での火山噴火は過去に 4回 ―― 西暦 550年ごろ、920年、1612年、1821年 ―― 記録されています。そのうち、550年を除く 3回では、同じ時期にカトラ山も噴火しています:
  • 550年ごろ: カトラ山は 500年ごろ、540年ごろ、590年ごろに噴火したようですが、エイヤフィヤトラヨークトル氷河の噴火とは間隔があいており、関連はないようです。
  • 920年: エイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山は VEI=3、カトラ山は VEI=4 の噴火をおこしました。
  • 1612年: エイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山は VEI=2、カトラ山は VEI=4 の噴火をおこしました。
  • 1821年 12月 19日~1823年 1月 1日: エイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山は VEI=2の噴火おこしました。カトラ山は、エイヤフィヤトラヨークトル氷河の噴火の終息から約半年後の 1823年 6月 26日から同年 7月 23日にかけて VEI=3 の噴火をおこしました。

VEI(火山爆発指数)は、噴火の規模を示す指数です。地震のマグニチュードと同じように、対数目盛になっています。

古代ローマ帝国の都市ポンペイを厚い火山灰の下に埋没させてしまったベスビオ火山の噴火は VEI=5 と推定されています。インドネシアで 1883年に起きたクラカタウ火山の噴火では山体のほとんどが吹き飛び、津波が発生して死者 36417人が出ました。人類が経験した最大級の火山噴火の一つと言われているこの噴火の VEI は 6 とされています。

1914年に起きた桜島の大正大噴火では大量の噴出物で桜島と大隅半島が陸続きになりましたが、この時の VEI は 4 とされています。1707年に起きた富士山の宝永噴火では江戸にも火山灰が積もりました。この噴火の VEI は 5 となっています。

話をアイスランドの火山にもどします。エイヤフィヤトラヨークトルの噴火で開始と終息の日付がわかっているのは 1821年から 1823年にかけての事例だけです。このときの噴火は 約 1年間続きました。そして、この噴火が終息してから約 6ヶ月後にカトラ山が噴火を始めました。

今回のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火は 4月中旬に始まり、6月中旬に終息(あるいは中休み)しています。このまま活動が終わるのだとすれば、わずか 2ヶ月間の噴火活動ということになります。このため、約 1年間続いた 1821~1823年の活動と同列に扱うのはためらわれますが、この時の事例が今回も当てはまるとすると、カトラ山は今年の暮れから来年初めあたりに噴火を始めることになります。

なお、カトラ山の噴火は前出のデータベースに記載されているだけで 132回あります。地質学的な時間スケールで見れば比較的頻繁に噴火を繰り返しているといえます。そのため、過去 4回のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火のうち 3回でカトラ山が連鎖噴火をおこしたように見えるのは単なる偶然であって、一方の噴火が他方に影響したという因果関係があるわけではないという考え方もあります。


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ジェイムズ・P・ホーガン氏 逝去

SF作家のジェイムズ・P・ホーガン氏が亡くなりました。アイルランドの自宅に一人でいるときに突然亡くなったとのことです。死因はわかっていません。私に “センス・オブ・ワンダー” を感じさせてくれる数少ない作家の一人だったので非常に残念です:

私が書棚に置いているホーガン氏の本は、今ざっと数えただけで 10数冊あります。他の場所に保管しているものも入れる 20冊ぐらいになると思います。

私が最初に出会ったこの作家の作品は 『星を継ぐもの』(創元推理文庫、原題: Inherit the Stars)でした。表紙カバーの絵に引かれて手に取り、あらすじを読んですぐに購入を決めました。家に着くまで待ちきれず、家に着いたときにはかなり読み進んでいました。ストーリーの展開にぐいぐいと引き込まれ、その日のうちに読み終えてしまいました。

『星を継ぐもの』のあらすじを紹介します。創元推理文庫からの転載です:
月面調査隊が深紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行われた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、五万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが……。

もう一つ、『造物主(ライフメーカー)の掟』(創元推理文庫、原題: Code of the Lifemaker)も紹介します。こちらは創元推理文庫の表紙カバー折り返しに記載されているあらすじです:
およそ百万年の昔、故障を起こした異星の自動工場宇宙船が、土星最大の衛星タイタンに着陸、工場を建設した。ところが、本来は着陸した衛星の資源を加工し、母星に送り出すことになっていたのに、故障のため、ロボットの製造情報に混乱が生じ、各ロボットが独自性を持って進化し始めたのだ。地球の探査宇宙船が着いたとき、ロボットたちはまるで地球の中世そっくりの社会を作り上げていた。

どうでしょう。読みたくなりませんか。

さらに『断絶への航海』(原題: Voyage from Yesteryear)という作品は、「民族間の確執を根本的に解決するには、少なくとも 1世代の間、子供を親から引き離して育成・教育し、因習から解き放つ必要がある」という考えが根底にあります。詳しくはウィキペディアの記載をご覧ください:

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2010年7月13日火曜日

燃えるように赤い朝焼け ― 新潟県三条市

7月13日、新潟県三条市(地図)では、夜明けの東の空に燃えるように赤い朝焼けが広がり、町も赤く染まった、とのことです。気象条件によるものと思われますが … :

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カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 14)

Earthquakes under Katla Volcano, Iceland(グラフはクリックすると拡大します。)

その後の地震数の推移です。7月11日(現地時間)に 14回の地震を記録しました。1日あたりの地震回数としてはこれまでで最大です。前回のピークは 6月11日で 9回でした。ともに新月の時期に一致しています。

ほとんどの地震はカトラ山の北西側山腹/山麓で発生しています。
  • 7月04日 00:53:50 深さ 1.0 km M0.2
  • 7月04日 02:32:28 深さ 1.0 km M-0.0 ?
  • 7月04日 05:59:40 深さ 1.0 km M0.6
  • 7月04日 07:34:20 深さ 1.0 km M0.3
  • 7月04日 09:13:43 深さ 1.0 km M0.7 (カルデラ内)
  • 7月04日 11:52:19 深さ 2.5 km M0.9
  • 7月04日 13:07:28 深さ 8.4 km M0.6
  • 7月04日 17:53:33 深さ 1.0 km M0.1
  • 7月05日 00:11:34 深さ 0.1 km M0.3
  • 7月05日 04:13:42 深さ 0.2 km M0.5
  • 7月05日 05:50:44 深さ 1.6 km M0.0
  • 7月05日 10:20:45 深さ 0.1 km M-0.1 ?
  • 7月05日 17:27:32 深さ 0.1 km M0.4
  • 7月06日 06:35:06 深さ 1.7 km M0.7
  • 7月06日 09:21:25 深さ 0.1 km M0.2
  • 7月06日 10:15:11 深さ 1.2 km M0.3
  • 7月07日 02:21:38 深さ 0.1 km M0.5
  • 7月07日 07:50:53 深さ 8.4 km M0.7
  • 7月07日 09:47:43 深さ 0.1 km M0.6
  • 7月07日 22:45:38 深さ 0.1 km M0.2
  • 7月08日 02:30:14 深さ 1.0 km M0.7
  • 7月08日 04:31:07 深さ 5.0 km M0.4 (カルデラ内)
  • 7月08日 05:14:48 深さ 5.0 km M1.1
  • 7月08日 10:28:24 深さ 10.7 km M0.8
  • 7月08日 13:56:36 深さ 1.0 km M0.5
  • 7月08日 15:11:52 深さ 1.0 km M0.7
  • 7月08日 17:01:05 深さ 1.0 km M0.1
  • 7月08日 21:22:59 深さ 0.1 km M1.5
  • 7月08日 21:44:05 深さ 2.7 km M1.2 (カルデラ内)
  • 7月09日 04:21:39 深さ 5.0 km M0.8
  • 7月09日 06:02:46 深さ 0.1 km M1.2
  • 7月09日 12:53:56 深さ 1.0 km M0.4
  • 7月09日 14:07:11 深さ 1.0 km M0.7
  • 7月09日 15:40:16 深さ 1.4 km M0.2
  • 7月10日 05:37:07 深さ 1.4 km M1.3
  • 7月10日 05:41:26 深さ 2.7 km M1.2
  • 7月10日 19:30:14 深さ 1.0 km M0.3
  • 7月10日 20:15:32 深さ 5.0 km M1.5
  • 7月10日 21:21:30 深さ 5.6 km M0.0
  • 7月10日 22:16:17 深さ 5.0 km M0.9
  • 7月10日 23:54:55 深さ 5.0 km M0.2
  • 7月11日 00:04:47 深さ 1.0 km M1.5
  • 7月11日 00:58:27 深さ 5.0 km M1.0
  • 7月11日 02:44:59 深さ 1.8 km M0.5
  • 7月11日 03:09:52 深さ 2.5 km M-0.2 ?
  • 7月11日 07:36:20 深さ 1.0 km M0.1
  • 7月11日 07:54:44 深さ 5.0 km M1.0
  • 7月11日 08:40:06 深さ 5.0 km M0.7
  • 7月11日 09:11:06 深さ 5.0 km M1.3
  • 7月11日 09:37:00 深さ 5.0 km M0.8
  • 7月11日 10:09:07 深さ 4.5 km M0.8
  • 7月11日 12:34:55 深さ 14.0 km M0.8
  • 7月11日 18:06:07 深さ 1.0 km M0.9 (カルデラ内)
  • 7月11日 18:09:27 深さ 1.0 km M1.2
  • 7月11日 18:09:40 深さ 0.2 km M1.4
  • 7月12日 11:38:04 深さ 2.0 km M0.7

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2010年7月10日土曜日

白頭山は噴火しない (その 1)

中国の専門家が、白頭山(中国名は長白山、天池火山)が今後数十年以内に噴火することはない、との見解を発表しました:

以下は記事からの抜粋・テキトー訳です:
中国と北朝鮮の国境地帯に位置する長白山にある天池火山は今後数十年間は噴火しない、と中国の地震専門家が金曜日に述べた。

総合的な観測データは、天池火山にいかなる異常もなく安定した状態にあることを示している、と中国北東部の吉林省地震局と地震・火山分析予報センターの長を兼ねる Yang Qingfu 氏は語った。

Yang 氏の見解表明は、韓国釜山国立大学の地質学教授が 「2014年から 2015年の間に天池火山が噴火する可能性がある」 と発表したことを受けておこなわれたものである。

この韓国の教授 Yun Sung-whyo 氏は、6月18日にひらかれたセミナーで次のように公表した ―― 「中国のさまざまな専門家の科学論文に記載されているデータにもとづくと、天池火山は数年以内に噴火するかも知れない」。

Yang 氏は、2002年から 2005年にかけての観測データが天池火山が活発化したことを示していることは認めている。しかし、2005年以降は沈静化し、現在は 2002年に近いレベルまで低下しているとのことである。

天池火山は潜在的に噴火の可能性があり、中国本土で最も危険な火山と見なされている。山頂部には 20億立方メートルの水をたたえた湖があり、噴火した場合にはこの大量の水が被害を大きくすると懸念されている。

中国は天池火山の研究と監視を 1985年以来継続している。


(続く)

漁港内にクジラ迷い込む ― 対馬市厳原町

1週間ほど前から、コマッコウ科のコマッコウかオガワコマッコウと見られるクジラが対馬市厳原町の豆酘漁港(地図)内に迷い込んでいます:

クジラの体長は約 2m。「大変珍しい種類。県内で見つかったのは、約20年前に長崎港に迷い込んで以来ではないか」とのことです。


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マッコウクジラ迷い込み ― 相模湾

7月8日、相模湾にマッコウクジラが迷い込んでいるのが目撃されました。その後、この鯨は神奈川県真鶴町(地図)沖の定置網にかかり、9日に引き上げられたときにはすでに死んでいました(記事によっては引き上げ後に死んだとされています):

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2010年7月7日水曜日

ヘビが原因の停電 ― 岩手県藤沢町

7月 5日夜、岩手県藤沢町(地図)などでヘビが原因となった停電が発生しました:

記事によると 「高さ10メートルの高圧線にヘビが接触し、漏電したのが原因」。「ヘビが電柱の鳥の巣を狙って上ることはよくあるが、この電柱に鳥の巣はなかった」 とのことです。

気象庁の「気象統計情報」に藤沢町のデータはありませんが隣接する千厩町のデータで見る限り、停電の発生する前後 24時間は降水量 0 で、気温、風速も特筆するような変動はありません。


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動物園に野生のクマ出没 ― 岩手県盛岡市

7月 5日、岩手県盛岡市の動物公園(地図)で野生のクマが目撃され、同園は安全を確保するために臨時休園しています:

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X バンド MP レーダ雨量情報

国土交通省が 「X バンド MP レーダ雨量情報」 を試験運用しています。1分間隔で更新され、メッシュ・サイズは 250m で高解像度です:

上の画面で、現在運用中の 4つの地域から一つを選択――たとえば関東を選択――すると、以下の画面になります:

さらに上の画面で、地図中の任意の地点をクリックすると、その地点を中心とした表示になります:

この画面の地図は、マウスでクリックしたままドラッグして任意の範囲に移動することができます。

レーダー情報の更新は 1分間隔でおこなわれていますが、画面表示は自動で更新されるわけではないので、「更新」のボタンを押す必要があります。


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「はやぶさ」の地球帰還 (続報)

小惑星探査機「はやぶさ」の「サンプルキャッチャ」と呼ばれる採取容器内に微粒子が入っていました。まだ小惑星イトカワのものだと確認されたわけではありませんけれど:

イトカワの表面に「はやぶさ」が着地したときの衝撃でどの程度の塵や埃が舞い上がり、採取容器に入るか。3つの要素――重力、大気、帯電――が影響すると思います。

イトカワの重力がきわめて弱いことは有利に働きます。舞い上がった塵が落下しにくいですから。

しかし、イトカワの表面に大気がないことは不利です。真空の中で「はやぶさ」が舞い降りても風が起こらず、ほとんど塵は舞い上がらないのではないでしょうか。

もう一つ考慮すべき要素は「はやぶさ」の帯電です。イオン・エンジンの使用や太陽風に叩かれることによって、「はやぶさ」は帯電していたかも知れません。これが塵や埃の採集にとって有利に働くか、障害となるか。イトカワの表面に直接接触する採集装置の開口部から採取容器までの経路が帯電していたとすると、塵や埃が舞い上がったとしても途中経路の内壁に吸着されてしまい、採集容器にはほとんど到達しないということも考えられます。

上記の要素を勘案して、私はイトカワの物質が採取容器内に入っている確率は 10% 未満ではないかと思っています。

そうは言うものの、どうか「こちら」ではなく「こちら」でありますように。

上の 2つの「こちら」のリンク先にある絵は、「はやぶさ」を傷だらけの少女にたとえています。以下の漫画も同じです。私は何度見ても涙がこみ上げてきます。「思いだし笑い」ならぬ「思い出し泣き」もしてしまいました。ぜひご覧ください:

上の漫画で、地上からの最後の指令 「最後の “おつかい„ だ そのまま後を振りかえりなさい」 とあるのは、以下の記事にあるように最後に地球の姿を撮影するためでした。姿勢制御用のロケットはすべて故障していたため、生き残っていたイオン・エンジンを使っての反転でした。JAXA は、地球の姿とともに、切り離されて先行するカプセルも写っていることを期待したようです:

「はやぶさ」が最後に送ってきた地球の写真の拡大版です。送信が途中で途絶したため見づらくなっています:

同じ写真に画像処理をおこなって見やすくした写真です。アフリカ大陸北東部、アラビア半島、イランなどが写っていることがわかります:

アメリカの「惑星協会」(The Planetary Society)のブログが、「はやぶさ」の帰還についてまとめた記事を掲載しています。多くの写真や動画が集められています。「はやぶさ」の大気圏突入のようすを捉えた動画では、NASA が飛行機から撮影したものと、NHK が地上から撮影したものが掲載されています。NHK のものが私の見た範囲ではいちばん見事だと思います:

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2010年7月6日火曜日

山梨・神奈川県境、7月地震説

“西多摩の鶯„ さんの 『宏観休憩室』 から:

偶然の可能性が高いとは思うものの、注目しています。

2010年7月5日月曜日

牛 26頭が有刺鉄線の柵を壊して逃走 ― 新潟県津南町

7月 3日、新潟県津南町(地図)で乳牛 26頭が有刺鉄線の柵を壊して逃げだす騒ぎがありました:

原因について、牧場長は 「発情行動をした可能性」 と 「カモシカなどの野生動物に驚いた可能性」 を指摘しています。

有刺鉄線の柵を壊すというのはよほど驚いたか、非常に激しく暴れたことを示していると思います。

柵が壊された当時、雷が鳴っていればそれが原因である可能性も指摘されるのでしょうが、そのような言及はありません。当時の津南町の気象観測データは以下で確認できます(右上のボタンをクリックすれば 「10分ごとの値」 も見ることができます):

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夕空に金星・火星・土星が集結

夕方の西空に金星・火星・土星が並んで見えています。しばらくこのような状態が続きます:

3つの惑星は肉眼で見えます。夕方の西空に 3つの明るい星が見えたら、上から順番に土星(黄色っぽい白)、火星(淡いピンク色)、金星(白く最も明るく輝いている)です。時間の経過とともに金星、火星、土星の順番に西の地平線に沈んでいくので、日没から時間が経つと明るい星が 2つ、あるいは 1つしか見えないことになります。

惑星は黄道上を移動しています。3つの惑星を結んだ線を延長すると、空のどの辺を黄道が通っているかイメージできます。

7月 14日には、上記 3つの惑星に水星と新月直後の細い月が加わり、夕方の西空は非常ににぎやかになります。地球から見て夕方の空の狭い範囲にこれら 5つの天体が集まって見えるということは、地球から近い順に、月、金星、太陽、水星、火星、土星がおおよそ同じ方向にあるということを意味しています。

以下に今月の主なイベントを列挙します(『天文年鑑 2010年版(誠文堂新光社)』より抜粋):
  • 6日: 地球が遠日点を通過
  • 12日: 新月; 南太平洋で皆既日食
  • 13日: 水星が月の北 4°10´に接近; 月が最近(地球に最も近づく)――見かけの大きさ(視直径)が最小時に比べて約 12% 増加
  • 14日: 夕空で細い月と水星、金星、火星、土星の会合
  • 15日: 金星が月の北 6°01´に接近
  • 16日: 火星が月の北 6°12´に接近
  • 17日: 土星が月の北 8°09´に接近
  • 26日: 満月
  • 28日: 海王星が月の南 4°38´に接近
  • 29日: 月が最遠(地球から最も遠ざかる)
  • 31日: 天王星が月の南 6°28´に接近; 木星が月の南 7°14´に接近

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カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 13)


その後の地震数の推移です。目立った増加はありません。

カトラ山のカルデラ内を震央とする地震は発生しませんでした。ここ数日は、ほとんどの地震がカトラ山の北西側山腹/山麓で発生しています。
  • 6月26日 03:16:29 深さ 13.3 km M0.7 (山麓)
  • 6月26日 18:51:43 深さ 1.0 km M1.2 (山腹)
  • 6月27日 01:04:24 深さ 3.5 km M0.7 (山腹)
  • 6月29日 14:51:49 深さ 1.0 km M0.4 (山腹)
  • 6月30日 15:05:50 深さ 1.0 km M-0.1?(山麓)
  • 6月30日 21:45:22 深さ 2.0 km M0.7 (山腹)
  • 6月02日 07:32:17 深さ 1.4 km M0.5 (山腹)
  • 7月02日 10:04:40 深さ 0.8 km M1.5 (山腹)
  • 7月03日 04:29:12 深さ 1.0 km M0.3 (山腹)
  • 7月03日 06:10:12 深さ 1.0 km M0.5 (山麓)
  • 7月03日 16:45:14 深さ 1.2 km M0.7 (山腹)
  • 7月03日 23:17:48 深さ 1.3 km M0.3 (山腹)
  • 7月04日 11:52:19 深さ 2.5 km M0.9 (山腹)
  • 7月04日 13:07:28 深さ 8.4 km M0.6 (山麓)

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2010年7月2日金曜日

ネズミの集団移動 ― ミャンマー

[追記 2010年7月29日] 7月29日付「地震多発 ― ミャンマー、タイ、インド東部」も参照してください。 [追記終わり]


ミャンマーでネズミの集団移動が起きています:

先月末ごろから、ミャンマーの首都ネーピードー(地図)と旧首都ヤンゴンを結ぶ幹線道路に沿って南に向かう数千匹のネズミの集団が目撃されています。ネズミは自動車を恐れる様子がなく、タイヤに挽き潰された無数のネズミの死骸が道路に張り付いているそうです。別の報道は、道路がネズミの血で真っ赤に染まっていると伝えています。

ネズミの集団移動については、現地ではさまざまな推測が流れています。地震などの自然災害を予知したネズミがネーピードーを脱出しているという見方、バゴー管区(Bago/Pegu Division、地図)の山岳地帯で竹の花が開花したため、竹の花をエサとするネズミがそこへ向かって移動しているとする見方、など。

ミャンマー北西部のチン州(地図)とそこに隣接するインドのミゾラム州では、200年に 1度といわれる竹の開花が 2007年から始まりました。それにともなって、異常増殖したり他所から移動してきたりした数百万匹のネズミが農作物などを食い荒らしたため、慢性的な飢饉がさらに悪化しています。

ミャンマー南部のエーヤワディー川 (イラワジ川)のデルタ地帯でも、ネズミの浸入による農作物への被害が懸念されています。国連人道問題調整部(UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs、OCHA)によれば、ミャンマーの軍事政権は農民に対して 1日あたり 15匹のネズミを殺して、その尾を地元当局に提出するように命じているとのことです(従わない場合は罰金刑)。

[補足] 軍事政権が 1000以上の地名を変更したため、ミャンマー(ビルマ)についての報道を読むときは場所の確認が面倒です。ヤンゴン(ラングーン)、バゴー(ペグー)、エーヤワディー川(イラワジ川)、タンルウィン川(サルウィン川)等々。括弧内が変更前の地名です。


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