2011年12月1日木曜日

フォボス探査機失敗と陰謀説


アメリカの火星探査車キュリオシティは順調に火星へ向かっていますが、その一方で、火星の衛星フォボスの地表サンプルを地球に持ち帰る予定だったロシアのフォボス探査機〝フォボス-グルント〟は未だに地球周回軌道を離れることができず、通信も再び途絶しています。なぜ、地球周回軌道から火星への軌道に移るためのロケットが点火しなかったのか、なぜ通信が途絶したのかについてはまったくわかっていません。

ロシアのメドベージェフ大統領は、フォボス-グルント失敗の責任者に刑事罰を科すこともありうると発言しています:
I am not suggesting putting them up against the wall like under Josef Vissarionovich (Stalin), but seriously punish either financially or, if the fault is obvious, it could be a disciplinary or even criminal punishment. 
私は、ヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ(スターリン)政権のときのように、責任者たちを壁に向かって立たせる(銃殺する)と言っているのではない。しかし、財政面で厳しく処罰する。もし、彼らの落ち度が明白になった場合には刑事罰も視野に入れた懲罰もありうる。
ロシアのミサイル早期警戒システムの司令官を務めた Nikolai Rodionov 退役中将は、アメリカの HAARP によってフォボス-グルントの制御システムが影響を受けた可能性があると発言しています:
The Phobos-Grunt station's trajectory was within the range of powerful American radars located in Alaska. I am afraid that electromagnetic emissions from these radars could have influenced the control systems of our interplanetary rover. 
フォボス-グルント探査機の軌道は、アラスカ州にあるアメリカの強力なレーダー(複数)の影響範囲に入っていた。それらのレーダーからの電磁放射線が、われわれの惑星探査機の制御システムに影響を与えた可能性がある。
この退役中将が、アメリカのレーダーによる「妨害」が意図的なものであったと考えているのか、偶発的なものであったと考えているのかは伝えられていません。

フォボス-グルントには、パンスペルミア仮説を実証するために、極限環境に生息し強力な放射線にも耐えることができるバクテリア、地球最強の生物といわれるクマムシ(緩歩動物)、植物の種子などが積み込まれていました。この「バクテリア」が陰謀説屋さんたちの恰好の餌食になっています:
さまざまな陰謀説が唱えられています。たとえば ―― 積み込まれているバクテリアは明らかに炭疽菌の代用品だ。積み込まれている何種類かのイースト菌は、ガンやエイズ、クローン病と関連している。フォボス-グルントは細菌兵器だ。高い致死率を持つミュータント・バクテリアを搭載している目的は何か。この探査機は地球に大災害をもたらすために設計された。いや、この探査機は火星の月・フォボスに向かう予定だったが、地球に大災害が起きることを望む勢力によって妨害工作がおこなわれたのだ。いやいや、フォボス-グルントは、衛星フォボスをくり抜いて宇宙基地にしているエーリアンに対して使われる武器だ。ロシアは過去40年間にわたってこれらのエーリアンに対して惑星間の冷戦を遂行してきた。このことが、ロシアの火星探査ミッションの成功率が信じられないほど低いことの原因だ。この成功率の低さは「火星の呪い」と呼ばれている ―― などなど。


関連記事