2025年9月2日火曜日

ポルトガルの大地震 — 海洋プレートの剥離が原因か

 
1755年のリスボン大地震(Mw 8.5〜9.0)など、ポルトガルはたびたび大きな地震に見舞われて来ました。これらの大地震の震源はポルトガルの南西沖に広がるホースシュー深海平原(Horseshoe Abyssal Plain、地図)であると考えられていますが、主な断層帯から遠く離れたこのような場所で破壊的な地震が発生する原因は、長年の謎でした。このほど『Nature Geoscience』誌に掲載された研究がこの謎に光を当てています:
 
以下は記事からの抜粋です —— 

このほど『Nature Geoscience』誌に掲載された論文は、ホースシュー深海平原の地下で地震波の高速度異常が発見されたことを述べている。この異常は、陸上および海底地震計のデータを用いた地震波トモグラフィーと、地殻構造の様々な収束シナリオを検証するシミュレーションを用いて発見されたものである。
 
トモグラフィー・データは、この異常が古い海洋リソスフェアの剥離ブロックであることを明らかにした。つまり、通常は剛性を持つ海洋プレートが分裂し、下部が地球内部へ沈み始めたことを意味する。これは奇妙な現象のように思われた。なぜなら、これまでの剥離現象は大陸プレートでのみ観測され、海洋プレートでは確認されていなかったからだ。しかし研究チームのモデルでは、海洋マントルが上部の地殻から分離し始めた原因が「蛇紋岩化」にあることが示された。これは水が岩石に浸透し、水和させて含水蛇紋岩へと変質させるプロセスである。これにより分離が容易になるのだ。
 
この活動がポルトガルの地震の原因と考えられる。モデルはまた、剥離に先立って二つの破砕帯が存在した可能性を示している。研究者らは、海洋プレートの剥離が沈み込みプロセスの開始に関連している可能性があると推測している。このプロセスはプレート・テクトニクスにおいて従来、理解が不十分であった。しかし、沈み込みが強力な地震を引き起こすことはよく知られている。
 
論文の著者らは次のように説明している。「二つの破砕帯が、剥離作用を受けるリソスフェア・ブロックを分離し、そのブロックは北方向へ沈降を開始した。これにより、現在の高マグニチュード地震活動地域(例えば1969年の地震、そしておそらく1755年のリスボン大地震)において主要な逆断層が形成されたのである。」
 
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大形の小惑星 2025 QD8 が月と地球に接近

  
9月3日、推定直径 23m の小惑星〝2025 QD8〟が月と地球の近くを通過します。
 
2025 QD8 (2025年9月1日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)9月3日 17:42
 (地球)9月3日 23:57
接近日時 誤差
(月)± 2 分
(地球)± 2 分
接近距離 (月)1.11 LD
(地球)0.57 LD
推定直径
23 m
対地球相対速度
12.8 km/s ≅ 4万6000 km/h
初観測から地球接近まで18 日
次の地球接近
公転周期940 日 ≅ 2.57 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2025年9月1日月曜日

南極大陸になぞの物体? (続報)

 
 5年ほど前にこのブログでも取り上げた南極大陸の円盤状の物体(ブログ記事地図)が、再び話題になっています。それ以来、年月が経過していますが、現地調査は行われていないようです。
 
「岩盤盆地にある小さな湖」「これは雪が溶けて半円弧を形成しているもので、UFOではありません」(ニューカッスル大学の氷河学者)、「衛星画像では、この丸い地形は小さな湖のように見えます」(英国南極調査局の地図専門家):
 
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小惑星 2025 QK17 が月と地球に接近・通過

 
小惑星〝2025 QK17〟が 8月27日に月と地球の近くを通過していたことが、NASA/JPL による 8月31日付のデータベース更新で明らかになりました。
 
2025 QK17 (2025年8月31日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)8月27日 16:42
 (地球)8月27日 23:40
接近日時 誤差
(月)± 2時間18分
(地球)± 2時間00分
接近距離 (月)0.55 LD
(地球)0.26 LD
推定直径
2 ~ 5 m
対地球相対速度
12.3 km/s ≅ 4万4000 km/h
初観測から地球接近まで−2 日
次の地球接近2031年9月3日ごろ
公転周期549 日 ≅ 1.50 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。