2011年10月16日日曜日

エレーニン彗星の最接近


エレーニン彗星(あるいはエレーニン彗星だった塵の群れ)が、地球に最も近づく時刻が迫ってきました。NASA/JPL の予報では、日本時間で 10月17日(月)午前4時51分ごろとなります。最接近時の距離は 0.234 天文単位、すなわち約 3500万km です。

エレーニン彗星は「しし座」から「かに座」に移ったところで、午前 2時ごろに東の地平線から昇ってきます。そばには火星が輝いているはずです()。

それにしても、この見栄えのしない小さな彗星が、なぜこれだけ話題になったのか、未だに不思議です。本来であれば、「エレーニン」という名前も一部の専門家やアマチュアの彗星観測者のみに知られるだけで、何の騒ぎも起こさずに太陽から静かに遠ざかっていくはずだったのですが。

エレーニン彗星よりも大きく明るい彗星がいくつも地球に接近しているのですが、それらが一般の人たちの話題に上ることはありません。たとえば、彗星らしい見事な姿を見せてくれた「本田・ムルコス・パジュサコバ彗星」(写真写真)は、今年 8月15日に地球に 0.060 天文単位(約 900万km、地球から月までの距離の約 24倍)まで近づいたのですが、まったく騒がれませんでした。

エレーニン彗星を構成していた塵の群れが、再び地球のそばにもどってくるのは 1万数千年後になるとのことです。そのころまで、人類は存続しているでしょうか。


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