2015年2月28日土曜日

Mr. Spock 死す


「スタートレック」シリーズで、常に沈着冷静な科学担当将校役を演じたレナード・ニモイ氏が2月27日に亡くなりました。死因は慢性閉塞性肺疾患(COPD)。バルカン人と地球人の間に生まれ、論理(ロジック)を至上のものと考える、理性の塊のような役柄でした。

オバマ大統領やNASAの長官も声明を出しています:

以下は、ニモイ氏の最後のツイートです。「人生は庭のようなものだ。完璧な状態になる瞬間はあるが、それを保つことはできない。記憶の中以外では。LLAP」:

〝LLAP〟は、バルカン人の挨拶の言葉〝Live long and prosper〟(「長く生き栄えよ」、「長命と繁栄を」)の略です。

映画の中では、カーク艦長とスポックの間で次のようなやりとりがありました:
Life is not a dream.
Go to sleep, Spock.
― Spock and Kirk, analyzing "Row, Row, Row Your Boat"
The Final Frontier
(Jill Sherwin "Quotable STAR TREK", POCKET BOOKS, 1999)

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2015年2月27日金曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-43)


1月31日付「近畿圏中心領域大型地震 (続報-42)」の続報です。

八ヶ岳南麓天文台の串田氏が更新情報を2月26日付で出しています:

今回の更新情報の結論をまとめると以下のようになります:
  • 2つの長期継続前兆群 No.1778 と No.2443 は同一地震の前兆である可能性が高い

  • No.1778 と No.2443が同一地震の前兆だとすると、7月中旬以前の対応地震発生はない

  • 6月13日ごろにこれらの前兆群が終息すれば、7月末前後が対応地震の発生時期

  • 対応地震発生場所はこれまでどおり近畿領域(琵琶湖とその西方など)の可能性が高いが、東北領域(新潟県、福島県など)も考えられる (詳細は「続報 No.083」と「続報 No.084」の地図参照)

串田氏は、2つの長期継続前兆群が同一の地震の前兆であると考えるに至った理由として、両者に以下のような類似点があることをあげています:
  • 共通の観測装置に前兆が出現している
  • どちらも長期継続前兆(2年以上継続)で、段階的な出現・終息のパターンがある
  • どちらもM7.5±以上の規模を示唆している
  • どちらも陸域の震源を示唆している
  • どちらも午前9時前後または午後6時前後の地震発生時間帯を示唆している

現時点での推定をまとめると以下のようになります:

時期 7月31日±3日
(6月13日前後に前兆が終息した場合)
震央 近畿領域(推定領域A) または 東北領域(推定領域B)
領域Aの方が可能性高い
(「続報 No.083」と「続報 No.084」の地図参照)
規模 M7.8±0.5 (陸域で深さ10~30kmの浅い震源)
発生時間帯 午前9時±2時間 または 午後6時±3時間(参考情報)


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2015年2月26日木曜日

準惑星ケレスに謎の輝点


NASAの探査機ドーンは、2012年9月に準惑星ベスタの周回軌道を離脱した後、別の準惑星ケレスに向かっていましたが、来る3月6日にケレスの周回軌道に入る予定です。

ケレスとの距離が縮まるにつれて、探査機から送られてくるケレスの姿も徐々に鮮明になってきていますが、以下は2月19日に4万6000kmの距離から撮影された画像です。まだ画像が不鮮明な時から、ケレスの表面には明るい斑点があることが話題になっていたのですが、この画像ではそれが2つの明るい輝点からなり、同じクレーターの中にあることが見てとれます:

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA
(クリックで拡大)

ドーン・ミッションの研究責任者は、この輝点の正体について火山類似の現象によるものではないかと推定していますが、断定はしていません。ドーンがケレスの周回軌道に入って、より高解像度の画像が得られるようになれば、謎が解き明かされるかも知れません。

なお、ベスタの直径は525km、ケレスは950kmです。

少し古い記事ですが、ケレスについては生命の存在や水の噴出が取りざたされています:

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真冬にクマ出没 ― 岐阜県高山市


2月23日、岐阜県高山市岩井町(地図)で、通常は冬眠中であるはずのツキノワグマの親子が目撃されました。「市によると2月に出没するのは珍しい」:

記事には「2011年にも2月に現れたが、この時は直前に地震があり、揺れで目覚めた可能性があった」とも書かれています。東日本大震災の1ヶ月前です。


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2015年2月25日水曜日

富士山の地磁気に変化


2月24日、第131回火山噴火予知連絡会が開かれました。以下はその際に使われた資料の1つですが、124ページ目「富士山における全磁力連続観測結果」に、富士山の地磁気について興味深い観測データのグラフが掲載されています:
Credit: 国土地理院・東京大学地震研究所

国土地理院と東京大学地震研究所は、富士山頂より北側に3ヶ所、南側に1ヶ所の地磁気の観測点を設けて、全磁力の観測をおこなっています。1番上から3番目までのグラフは山頂より北側の観測点、4番目のグラフは山頂より南側の観測点のデータを表しています。グラフの横軸は、2012年10月1日から2015年1月31日までの期間を表しています。2014年10月から2015年1月のデータに関しては、「ノイズの簡易修正のみ行った暫定値」とのことです。

グラフから読み取れることをまとめると以下のようになります:
  1. 1番目と4番目のグラフには毎年4~5月ごろをピークとした「うねり」が見られますが、これは年周変化とみられるそうです。

  2. 1番目と2番目のグラフには、右肩上がりの傾向(1年あたり2ナノ・テスラ程度)が見られます。1番目、2番目と同じく山頂の北側の観測点のデータを示す3番目のグラフにはこのような傾向が見られないので、「ローカルな変化が起きていると考えられる」とのことです。

  3. 山頂北側の3つの観測点のデータ(1番目、2番目、3番目のグラフ)では、2015年1月に突然1ナノ・テスラ程度の減少が現れています。

上の(2)と(3)については、「精察とともに今後も推移を見守る必要がある」とのことです。

全磁力が、山頂よりも北側で増大し南側で減少するのは、山頂直下の温度が上がり熱消磁が起きていることを示していますので、(2)で述べた右肩上がりの傾向は気になります。

また、(3)で述べた、今年1月に山頂北側の3観測点で観測された全磁力の減少は何を意味しているのでしょうか。全磁力の変化は、熱消磁だけでなく地下の圧力の変化によっても生じることがあるとのことですので、やはり気になります。

全磁力観測については以下の資料を参照してください:

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2015年2月24日火曜日

西之島の警戒範囲を縮小


2月24日18:00、西之島(地図)の警戒範囲が縮小されました。「島の中心から概ね6km を概ね4kmに縮小」:

警戒範囲の縮小は、西之島の噴火の勢いが衰えたからではなく、「文献調査により、一般に、海上まで影響が及ぶ海底噴火は概ね水深 400m以浅の場合に限られ、うち水深数十m以浅の噴火の際にベースサージを伴う場合があること」がわかったためとのことです。


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十勝岳の噴火警戒レベル引き下げ ― 北海道


2月24日、十勝岳(地図)の噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」から「1(平常)」に引き下げられました。山体浅部の膨張によるとみられる地殻変動の変化率が横ばいで推移、浅部の熱水活動の活発化を示すと考えられる常時微動の振幅レベルも低下。「火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められなくなりました」:

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プレートテクトニクス 2.0 ― プレートは固くない (その1)


海洋プレートは冷却するにつれて厚みを増すことや、海溝やトラフに沈み込む時には曲がるように変形することはよく知られています。これらに加えて、昨秋に発表された論文では、冷却によって水平方向にも変形すること、その変形によってプレート内地震が発生することが示されています:

以下は、論文を発表した研究者の一人が属するネバダ大学レノ校のプレスリリースの一部をテキトー訳したものです。タイトルは「テクトニック・プレートは固くなく、冷却過程において水平方向に変形することが研究によって示された」、サブ・タイトルは「ネバダ大学レノ校とライス大学の教授たちがプレートテクトニクスの前提に挑戦する」です:
地球の外殻を構成するテクトニック・プレートというジグソーパズルのピースは固くはなく、私たちが高校で習ったようにはぴったりと組み合わさらない。

ネバダ大学レノ校の准教授 Corné Kreemer と彼の同僚であるライス大学の Richard Gordon によって〝Geology〟誌に発表された研究は、太平洋プレートの変形を定量化し、プレートは固いというプレートテクトニクスというパラダイムの中心にある近似に挑戦している。

大規模な数値モデルと、世界最大のGPSデータ処理センター(ネバダ大学レノ校にあるネバダ測地学研究所)から得たGPS速度のデータを併用して、Kreemer と Gordon は、地球の最外殻であるリソスフェアの冷却によって、太平洋プレートのある部分が他の部分よりも速い速度で水平方向に収縮していることを示した。

(続く)

その時、冥王星はどこにいた


冥王星(および太陽系外縁天体)探査機〝ニュー・ホライズンズ〟のチームが情報発信している〝NASA New Horizons〟のツイッターから、冥王星の軌道図です。遠日点を通過したのはアメリカで南北戦争が終わった年。日本は幕末で第2次長州征伐。近日点通過は平成元年。冥王星の発見から85年が経過していますが、まだ太陽の周りを半分弱ほどしか公転していません:

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2015年2月23日月曜日

草津白根山で火山性地震増加


草津白根山(地図)で、本日(2月23日)午前2時ごろから昼ごろにかけて火山性地震が増加しました。震源は火口湖の湯釜付近です:

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