2014年2月27日木曜日

富士山の低周波地震


2月25日、第128回火山噴火予知連絡会定例会が開催されましたが、その際に使われた資料が公開されています:

上記資料の84ページで、気象庁は富士山について「火山活動に特段の変化はなく、噴火の兆候は認められない」としています。一方、94ページには防災科学技術研究所の提示した「富士山の積算低周波地震回数と積算地震波動エネルギー」というグラフが掲載されていますが、それを見ると本当に「特段の変化はない」とか「兆候は認められない」と言えるのだろうか、と思ってしまいます:

Credit: 防災科学技術研究所
(クリックで拡大)

グラフの「積算低周波地震回数」の曲線(細い方の曲線)を見ていただきたいのですが、2001年前後に急上昇したあと、勾配がそれ以前より急なままで推移し、2013年ごろからはさらに急勾配になっています。つまり、低周波地震の発生頻度が上がっているということです。年月とともに技術が進歩して観測装置が鋭敏になり、観測ネットワークが充実して、より微弱な低周波地震も捉えられるようになったという面があるのかも知れませんが、気がかりな傾向です。

神奈川県温泉地学研究所の資料には「富士山直下のマグマ溜まりの圧力が高まって膨張歪を生じさせるとともに、低周波地震活動の活発化をもたらした」との記述があります。

低周波地震の発生回数は、東北地方太平洋沖地震直後に富士山近傍でおきた静岡県東部地震(M6.4、最大震度6強)の影響を受けていないようです。

一方、同資料の95ページに掲載されているグラフを見ると、通常の地震の発生回数は明らかに静岡県東部地震の影響を受けています。同地震の震源域を含む富士山南麓(地図のA地域)の地震回数が増えるのは余震の影響があるのでしょうが、震源から離れた富士山の北(D地域)と北西(E地域)の地震発生のペースが静岡県東部地震発生前に比べて上昇したまま推移している点が気になります。


関連記事