2017年8月23日水曜日

日食は断層を刺激したり地震を起こしたりする?


8月21日に、北米大陸を北西から南東に横切る帯状の地域で皆既日食が見られました。USGS(米国地質調査所)は、ウェブサイトの〝Earthquake Hazards Program〟の冒頭に、〝Will the solar eclipse in North America affect faults or cause earthquakes?〟(北米の日食は断層を刺激したり地震を起こしたりする?)と題した記事を掲載しています。きっと問い合わせが多かったのでしょう。USGSの冒頭の答えは〝No〟なのですが、リンク先の Q&A では ・・・

以下は、上記の記事からリンクが張られている Q&A のページです:

「天体の位置が地震に影響することはない」という木で鼻を括ったような回答を予期していたのですが、違いました。

要旨は以下のとおりです:
  • 月や太陽、他の惑星は重力場への摂動(微小な変動)という形で地球に影響をおよぼす。その影響は天体の質量に比例し、地球からの距離の3乗に逆比例する。

  • 過去になされた多くの研究では、大きな地震のカタログに載っている地震の発生頻度と半日周期の潮汐との間に有意な相関関係は見いだされなかった。

  • しかし、最近のいくつかの研究では、地球と月の相対的な位置関係によって引きおこされる潮汐と、ある種の地震の間に相関関係が見いだされている。

  • たとえば、ある研究では、満月や新月の時のように大地や海洋に対する潮汐の影響が高まる時には、大陸の縁に近い場所や海中の沈み込み帯にある浅い衝上断層で地震が起きやすくなる、と結論づけている。

  • 月食と日食は満月や新月の特別な場合であるが、満月や新月と異なった特別な潮汐上の効果を引きおこすわけではない。

  • 大地の潮汐(地表が数センチメートル上下する)や、特に海洋の潮汐(海面が1メートルかそれ以上上下する)は、大陸の縁や沈み込み帯の近くにある浅い傾斜断層の動きを抑制している圧力を強めたり弱めたりする。圧力が弱まれば、断層の「留め金」がはずれて断層が滑りやすくなる。(断層が滑る)確率は3倍程度まで高くなる。

  • しかし、任意の場所と年における通常時の確率は一般に非常に低い。それが満潮時に3倍になったからといっても、それは依然として非常に低い確率であることに変わりがない。

  • マンモス・レーク(地図)のような火山地域では、半日周期の潮汐と余震の発生頻度の間に小さいながらも有意な相関関係が報告されている。

  • 朝や夕方に地震が起きやすいということはない。

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