2017年8月11日金曜日

リュウグウノツカイ2匹漂着 ― フィリピン・レイテ島


8月9日、フィリピンのレイテ島南部 Saint Bernard(地図)の海岸に2匹のリュウグウノツカイが漂着しているのが見つかりました。体長4.4m、重さ50kgの個体と、体長3.7m、重さ20kgの個体です:

以下は記事の要旨です:
  • リュウグウノツカイは通常、水深1000m付近で見つかる。水深200mよりも浅いところで見つかるのは稀である。

  • 2011年の東北地震と津波の前には、およそ20匹の深海魚の漂着が見つかっている。

  • 魚類が地震活動に敏感であるという考えを支持する直接的な科学的証拠はないが、科学それ自身が地震を予知する手段を持っていないことを思い起こすべきである。

  • 深海魚の生息する場所が海底の断層に近いという事実は、古くからの日本の伝説に合理的根拠を示唆する。

  • 英国ケンブリッジにある Anglia Ruskin University の動物学講師 Rachel Grant 氏は、深海魚と地震の関係について検証する研究を始めている。

    • 「理論的にはありうることです。なぜなら、地震が起こる前には岩石中に圧力が蓄積され(build-up of pressure in the rocks)、それによって静電荷が発生、帯電したイオンが水中に放出されるからです。」

    • 「水中に放出されたイオンによって毒性のある化合物である過酸化水素が形成されます。また、帯電したイオンは有機物を酸化するので、魚を死に至らしめたり、深海の生息場所から逃れて海面まで浮上させることにもなります。」

    • もう一つの可能性として Grant 氏が指摘するのは、地震の前に大量の一酸化炭素ガスが放出され、リュウグウノツカイに影響を与えている可能性だ。

  • Grant 氏は、過去2年半の間に起きた数百件のリュウグウノツカイの目撃についてデータベースを構築した。これによって、リュウグウノツカイの目撃と、目撃場所から半径500マイル(約800km)の範囲内で米国地質調査所(USGS)によって報告されている地震との間に関係があるかを検証することができる。

    • 「リュウグウノツカイの目撃後に必ず地震が発生しているわけではないことは明らかです。そうではなく、地震の前にリュウグウノツカイを目撃する確率が上昇しているかどうかを確かめようとしているのです。」

    • 「(リュウグウノツカイの目撃は)地震活動が原因であるかもしれないし、地震とは関係のない要因、たとえば軍の潜水艦などによる水中活動によって生じたインフラサウンド(可聴下音、人間の耳には聞こえない約20Hz以下の周波数の音)や海水の汚染などが原因であるかもしれません。」

記事中では、リュウグウノツカイ(英語名  oarfish)が日本語ではどう呼ばれているか説明しています ―― "The Messenger from the Sea God’s Palace"。英語名の方は、船を漕ぐオール(oar)に体形が似ていることに由来しています。


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