2011年8月18日木曜日

NASAがエレーニン彗星についてお答えします (その3)


NASA Answers Your Questions About Comet Elenin〟(NASAがエレーニン彗星についての質問にお答えします)のテキトー訳の続きです:
NASAの科学者は、この彗星のことを「ウィンピー」(wimpy = 弱虫、意気地なし、軟弱なやつ)と呼んでいますが、なぜですか?
「私たちNASAの科学者は、彗星が地球のそばを通り過ぎていくときにどのように見えるのかを話し合っています」と語るのは、NASAの地球近傍天体プログラム・オフィスのヨーマンズです。「1997年に現れたへール・ボップ彗星のように、惑星領域の外側からやってくる彗星という訪問者のなかには、内部太陽系を安全に通過していくときに夜空で明るく輝き、肉眼で容易に見えるようになるものがあります。しかし、エレーニン彗星にはそれらとは対極の傾向があります。最も明るくなるときでも、性能の良い双眼鏡と澄んだ空、そして人里離れた暗い場所という条件がそろわないと見ることができないでしょう。」

なぜ、あなたたちNASAの科学者はエレーニン彗星についてもっと語らないのですか? もし、このような天体は小さくて心配する必要がないのであれば、エレーニン彗星についての公開情報がこれまでなかったのはなぜですか?
エレーニン彗星は小さくかすかであるため、詳細に報道されることはあまりありませんでした。毎年いくつかの新彗星が発見されますが、それらについても(あまり報道されないため)あなた方が聞くことは普通はありません。インターネット上に投稿されたさまざまな真実ではない情報のせいで、エレーニン彗星は分不相応に大きな注目を集めることになってしまった、というのが真相なのです。NASAが持っているエレーニン彗星についての情報は、インターネットで容易に入手することができます。(http://www.nasa.gov/topics/solarsystem/features/comet20110504.html をご覧ください。)もしこの彗星が危険をもたらすのであれば、必ず知らされます。

NASAはエレーニン彗星をほかの彗星よりも頻繁に観測していると聞きましたが、本当ですか。NASAはこの彗星のことをもみ消そうとしているのではありませんか?
NASAは地球のそば通過する小惑星や彗星を、地上や宇宙の望遠鏡を使って定期的に検出・追跡し、その特性を調べています。通称〝スペースガード〟と呼ばれる地球近傍天体観測プログラムは、それらの天体を発見し、その一部について特性を明らかにし、さらに私たちの住む惑星にとって潜在的な危険があるかないかを決めるために軌道を予測します。詳細については、NASAとJPL(ジェット推進研究所)の地球近傍天体(Near Earth Objects)のサイト(http://www.jpl.nasa.gov/asteroidwatch/ や  http://neo.jpl.nasa.gov/)をご覧ください。

しかしながら、NASAもJPLもエレーニン彗星やほかの彗星を積極的に観測することを業務としているわけではありません。観測報告のほとんどは、世界中のアマチュア天文研究者から寄せられたものです。エレーニン彗星は非常に有名になってしまったため、当然のことですがさらに多くの観測者を引きつけています。

JPL(ジェット推進研究所)のウェブサイトにあるエレーニン彗星の軌道図を見ていて疑問に思ったのですが、軌道図を拡大するとエレーニン彗星の軌道に角があり滑らかではないのはなぜですか? ほかの彗星の図を見るとそのような角や曲がりはありません。
多くの方々が、JPLのウェブサイトにあるプログラムを使ってエレーニン彗星の軌道をプロットしようと試みていますが、そのプログラムは簡易な視覚化ツールにすぎないことに気づいていないようです。そのプログラムは最近、太陽の近くでももっと滑らかな軌道を描くように改良されたのですが、それでも精確な軌道を描くための科学的なプログラムというわけではありません。ヨーマンズは次のように説明しています ―― 地球近傍天体(Near-Earth Object)のウェブサイトにある軌道描画プログラムは、長期間の天体の真の動きを精確に描くことを目的とするものではありません。また、(彗星が太陽に近づくときなど)天体同士が接近遭遇する場合には精度が落ちてしまいます。

長期間にわたる精確な軌道図を描くためには、JPLのホライズンズ・システム(Horizons system)を代わりに使うことをヨーマンズは勧めています(http://ssd.jpl.nasa.gov/horizons.cgi?find_body=1&body_group=sb&sstr=C/2010%20X1)。

(完)


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