2020年4月6日月曜日

新型コロナウィルス: ノストラダムスは予言していた?


大きな事件や災害が起きると、欧米のタブロイド紙などにはノストラダムスはそれを予言していたという趣旨の記事が必ずと言ってよいほど掲載されます。今回の新型コロナウィルスによる肺炎の蔓延については、次の4行詩(『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』II-65)が該当するとされることが多いようです:
Le parc enclin grande calamité,
Par l'Hesperie & Insubre fera,
Le feu en nef, peste & captiuité,
Mercure en l'arc, Saturne fenera.

グーグルの翻訳サービスで フランス語を指定して翻訳すると以下の日本語訳が提示されます:
大災害になりやすい公園
Hesperie&Insubreの意志により、
身廊、疫病、捕われの身での火災、
アークの水星、土星がリードします。

今ひとつ意味がわからないので、今度は "DETECT LANGUAGE" を指定して言語の選択をグーグルに任せると、"CORSICAN - DETECTED"(コルシカ語を検出)となって以下の日本語訳が提示されます:
公園は大災害になりがちですが、
Hesperie&Insubreが行います。
船の火、疫病、捕われの身、
弓の水星、土星は終了します。

3行目は、クルーズ船内に長期間留めおかれた乗客に感染が広がった状況を思わせます。

同じ設定で英語に翻訳させると:
The park is prone to great calamity,
By Hesperie & Insubre will do,
Fire in ship, plague & captivity,
Mercury in the bow, Saturn will end.

人間の手で英語に翻訳され流通しているテキストは以下のようになっています(Internet Sacred Text Archive から引用):
The sloping park great calamity
To be done through Hesperia and Insubria:
The fire in the ship, plague and captivity,
Mercury in Sagittarius, Saturn will fade.

以上の2つの英語訳をもとに日本語にしてみました:
傾斜した公園 大きな災厄(が発生し)
スペインとイタリアを通じて(フランスに)やって来る
船の中の炎、疫病と都市封鎖
(この時)水星は射手座にあり、土星は見えない

1行目の "The sloping park" は「傾斜した公園」あるいは「坂のある公園」で、中国・武漢市にある Hankou Jiangtan Park(汉口江滩公园、写真写真地図)に比定されることが多いようです。揚子江の川岸の傾斜地に作られた公園で、最寄りの道路から水際まで一気におりることができる坂(幅の広い階段?)があるそうです。

2行目の "Hesperia" は古代ローマ時代の地名でイベリア半島(古代ギリシャ時代にはイタリア半島)を指しています。"Insubria" はイタリア半島北部のミラノ周辺の地域を指す古い地名で、"University of Insubria"(地図)などの名前に今も使われています。イタリアで新型コロナウィルスの感染が最初に広まったのはミラノを含む北部の都市でした。

「(フランスに)やって来る」と解釈したのは、ノストラダムスがフランス人で、フランスの視点から予言詩を書いていると思われるからです。

現時点でスペインとイタリアは感染者数ではアメリカに次いで2位と3位、フランスが5位。死者数ではイタリア、スペイン、フランスが1位、2位、3位となっています。(参照: Coronavirus COVID-19 Global Cases

3行目の「船の中の炎」は、ダイヤモンド・プリンセスを初めとする多くのクルーズ船で感染者がでて、各国がその対応に右往左往したことを想起させます。最近ではアメリカ海軍の原子力空母セオドア・ルーズベルトでも集団感染が起きて、任務遂行が不可能な状態になっていますが、「船の中の炎」とは原子炉のことでしょうか。日本での初期のクラスター発生場所として屋形船が問題になりましたが、船の中で鍋料理をする火も連想されます。

"captivity" は「囚われの身」とか「監禁」の意味です。移動の自由が奪われ、自宅軟禁に近い状態になる都市封鎖(ロックダウン)であるとの解釈も可能だと思いました。

4行目の水星ですが、水星は昨年12月下旬ごろから今年1月半ばごろまで射手座の中を移動していました。土星は今年1月14日に太陽と「」になりました。合とその前後の時期は、地球から見て土星が太陽と同じ方向にあるので、観測は不可能となります。つまり、4行目は2020年1月を示唆していると考えられるわけです。

まとめ: ノストラダムスの予言詩は後知恵でいかようにも解釈できます。他にも新型コロナウィルスのパンデミックについての予言だと主張できそうな詩がいくつかあります。今回紹介した詩は、これまでは大地震を予言したものと解釈されていたそうです。


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