2008年12月27日土曜日

オレゴン州の群発地震


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オレゴン州 Maupin の位置

米国オレゴン州北部で群発地震が2年間にわたって続いています。下記は、オレゴン州のニュースサイトに掲載された記事です:
上記記事の内容をまとめてみます:
  • オレゴン州北部の町Maupinの近郊で、過去2年間で350回を越える地震が発生。科学者たちは地震の原因について解明できずにいる。オレゴン州立大学の研究者がサンフランシスコで開かれたAGU(American Geophysical Union、米国地球物理学連合)の年次大会で発表。
  • 群発地震は2006年12月に始まった。多数の地震のうち、マグニチュード3を超えるものは十数回だけ。震源は非常に狭い地域に限られている
  • オレゴン州の(太平洋岸の地域はともかく)東部では地震が比較的少ないが、発生するときには群発する傾向がある。一般的な地震の発生のパターンは、本震があって、その後にいくつかの余震が続く。しかし、今回の群発地震には本震と呼べるものがなく、小規模な地震が連続している
  • 小規模の地震が平均して2日に1回程度の頻度で発生している。1日に2回か3回の地震がまとめて発生することがあるが、1日に4回以上発生したことはない。地震のない日が2~3日間続くことはめったにない。
  • 最大の地震は今年7月14日に発生したM3.9。昨年3月1日に発生したM3.8がそれに続く。そのほか、11回の地震がM3.0以上だった。
  • 地震が集中して発生している場所の近くには、小規模な断層が一本通っている。しかし、その断層の走向と地震のパターン(発震機構)は必ずしも一致しない。地震の原因を正確につきとめることは困難。
  • 科学者によって説明は異なっている ―― 小規模のマグマが関連した活動であるとするもの。地殻内部の流体が移動することがトリガーとなっているとするもの。東部カリフォルニア剪断帯の活動が原因である可能性を指摘するもの。この剪断帯はサン・アンドレアス断層とほぼ並行して走っている。サンアンドレアス断層は、北の方向に剪断帯よりも速いレートでずれている。これが地質学的な圧力をオレゴンにまで及ぼしている、と考えている。
  • 類似の群発地震がネバダ州Renoでおきている。こちらの方は規模の大きい地震が多い。ここも東カリフォルニア剪断帯にそった場所である。こちらの地震は深さ数キロだが、Maupinの地震は深さ十数キロ。
  • 過去にMaupinで発生した最大の地震は1976年のマグニチュード4.6。同地域では1987年にも群発地震が起きている。1970年代に地震観測装置が設置される以前の地震活動については、情報が限られている。Maupinの群発地震について、もっとも詳しいデータが残っているのは2007年以降である。2007年に全米科学財団がオレゴン州全域に仮設の地震観測網を展開した。しかし、その後、観測機器はアメリカ全体の地震を調査するために他の場所に移された。
  • ある時点で群発地震は収まるかも知れない。しかし、地殻の歪みは地下で亀裂を作り続けている。Maupinの群発地震に引き続いて大きな地震が起こる可能性は低いが、可能性はゼロではない。

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ネバダ州 Reno の位置

記事で紹介された2つの地点、すなわちオレゴン州Maupinとネバダ州Renoは、ともに太平洋岸から内陸にほぼ同じ距離内陸に入った所にあり、サンアンドレアス断層との相対的な位置も同じような場所です。サンアンドレアス断層の西側地盤が北に移動するにつれて東側も北に引きずられ、その東側の地盤とさらに東側の地盤との間でズレを解消するためにおきているのが、上記二つの群発地震の正体のように思います。

なお、Maupinの群発地震について、詳しい情報は以下にあります: