2009年3月12日木曜日

北朝鮮ミサイル(?)の迎撃

日米の政府や軍関係者から、北朝鮮がミサイルを発射すれば迎撃する準備はできているといった威勢のいい発言が続いています。しかし、オバマ大統領が迎撃を命ずる可能性は限りなくゼロに近いですし、日本政府にも北朝鮮と軍事的に事を構えるだけの度胸があるわけもありません。自国を標的として発射されることが明白であればいざ知らず、他国が人工衛星の打ち上げと主張するものを打ち落とすなど、それこそテロ国家の所業ですし、戦争すれすれの瀬戸際政策です。

「迎撃する」と表向きは豪語しても、本当に迎撃できるほどミサイル防衛システムは完成されたものではありません。以下は先月末ごろに報道された記事ですが、ミサイル防衛の現状がかなり怪しいものであることを示しています:
以下の記事にも示されているように、F22 戦闘機やミサイル防衛などの高額な兵器は、現在、予算削減の標的とされています。少なくとも、イランの長距離ミサイルに対抗するために東ヨーロッパに展開されるはずだったミサイル防衛システムは、「延期」される公算が高くなっています。北朝鮮のミサイルを迎撃云々という一連の強気発言は、ミサイル防衛の存在感を高めてこのような状況を打開するための方便という面があるのではないでしょうか:
通常の軌道(北極や南極の上空を通過する極軌道などを除く)に衛星をのせるには、地球の自転の力を利用するため、どうしても地球が自転していく東方向に向かってロケットを発射せざるを得ません。これまでの日本の衛星の多くも東や南東方向に向かって発射されています。アメリカのケープ・カナベラル、ESA(欧州宇宙機関)の仏領ギアナ、日本の内之浦や種子島など、多くのロケット発射基地は東側に海が広がっています。ロケットを東に向かって打ち上げることが多いため、切り離したロケットの落下や打ち上げに失敗したときのことを考慮すれば、そのような場所を選択することになるわけです。

北朝鮮の場合、東に海が広がっている場所といえば日本海沿いの地域になるわけですが、日本海の東には日本列島があるため話がややこしくなります。かりに日本の東に非友好的な国があったとしたら、日本も北朝鮮と同じような立場におかれます。日本が人工衛星を打ち上げようとすると、日本の東に位置する国が、自国に対する脅威だから打ち上げを止めろ、打ち上げたら迎撃するぞと警告してくるわけです。人工衛星の打ち上げだと主張しても、打ち上げに使うロケットはミサイルと変わらないと言われる。このとき、日本人は正当な宇宙開発の権利を侵害された、不当な威嚇だと憤ると思います。

北朝鮮を擁護するわけではありませんが、声高に迎撃云々と言う前に、「もしも本当に人工衛星だったら」と考えることも必要ではないでしょうか。北朝鮮は、今回打ち上げる「光明星 2 号」は試験通信衛星だと主張しています。前回の「衛星」は目的不明でしたが、今回のように衛星の目的がはっきりしていれば、本当にそのような衛星が打ち上げられたのか、軌道にのったのかなどの検証は比較的容易なはずです。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency