2010年11月20日土曜日

パナマ運河に大地震のリスク

中央アメリカのパナマ地峡を掘削して作られ、太平洋と大西洋を結ぶ海運の要衝・パナマ運河は、これまで考えられていた以上に大地震に襲われるリスクが高いことがわかりました:
  1. Panama canal is due a big earthquake (断層の地図あり)
  2. Earthquake risk high in Panama, data suggests
  3. Panama Canal said at earthquake risk

『ニュー・サイエンティスト』の記事(上掲 1)の主要部分を以下に意訳します:
現在、パナマ運河では 2014年の完成を目指して拡幅・改良工事がおこなわれている。

運河のすぐ近くに 2つの断層が存在することはわかっていたが、これらの断層はこれまで考えられていたよりもはるかに活動的であることが調査によって判明した。

調査の報告者(複数)は、これらの断層では 300~900年の間隔で地震が発生していると推定している。一番最近の地震は 1621年に発生しているので、次の地震がいつ発生してもおかしくない状態である。

2つの断層に沿って、地面は 1年あたり 0.5cm の割合でずれ続けており、歪みが蓄積し続けている。

(断層が歪みに耐えきれなくなって地震が発生すると)最悪の場合、大地は最大 3m ずれることになるだろうと、調査チームの責任者であるサン・ディエゴ州立大学のトム・ロックウェル(Tom Rockwell)教授は語る。

ロックウェル教授によると ―― 耐震性を考慮せずに建設されているパナマ・シティ内の建物に大きな被害が出る可能性が高い。運河についてもっとも懸念されるのは閘門の被害である。もし閘門が損傷すれば、(運河内の)水流を制御するすべが失われ、船舶の通行は大きく阻害される ―― とのことである。

2つの断層のうちペドロ・ミゲル断層は、運河の直下を走っているが、幸いなことに、閘門の直下を走っているわけではない。もう一つのリモン断層は、ペドロ・ミゲル断層のおおよそ北への延長である。

ロックウェル教授のチームは、断層に沿ってトレンチを掘って調査した結果、次のような結論を得た ―― 過去 1400年間に少なくとも 3回の大地震がペドロ・ミゲル断層とリモン断層で発生している。一番最近の大地震はペドロ・ミゲル断層で 1621年に発生した。当時の記録によれば、採掘した金をロバを使って運ぶためにスペイン人が丸石を敷き詰めて築いた Camino de Cruces という名の道路に 3m のずれを生じた。このような地震が現代に起これば劇的な結果がもたらされるだろう、とロックウェル教授は語る。

教授のチームが痕跡を見つけることのできたもっとも早い時期の地震は、西暦 455年のものである。さらに心配なのは、西暦 700年前後に発生した地震では、ペドロ・ミゲル断層とリモン断層が連動して動いた形跡があることである。研究チームは、このようなことが再び起こる可能性があると警告している。