2009年9月12日土曜日

イスラエルが人工地震実験 (続報)

8月 26日付「イスラエルが人工地震実験」の続報です。このイスラエルの実験については、釈然としないものが残っていました。報道記事を読む限り、実験の目的が今ひとつ明快ではありませんでしたし、アメリカ国防省が資金を提供している点も地震の実験にはそぐわないものを感じさせました(アメリカが資金を出していることは、秘密ではなく初めから公表されていたようです)。推測するに、地震観測やそれを利用した探知技術の分野に詳しくない記者がおおもとの記事を書いたため、実験の目的が不明瞭にしか伝えられなかったというところでしょうか。イスラエルが秘密裏におこなう地下核実験をカモフラージュするのが目的と考える人もいましたが、この程度の小規模爆発ではそれも無理でしょう。

その後の報道では、爆発実験は軍事的な目的をもっていたことがはっきりと書かれています。以下は、実験の後にイスラエルのニュースサイトに掲載された記事です:
上記記事を要約すると以下のようになります:
ネゲブ砂漠で 80トンの火薬を爆発させた実験は、当初報道されていたような地震研究が目的ではなく、弾道ミサイルの攻撃をシミュレートするのが目的だった。

地表面での爆発によって、直径 27m、深さ 6m の穴ができた。爆発は、マグニチュード 2.5 の地震に匹敵した。この規模の地震は、イスラエルでは週に 1回程度発生しているが、弱すぎて人が揺れを感じることはない。爆発によって生じた音波は 2980km 離れた南フランスでも記録されたが、爆心直近の人びと以外が気づくことはなかった。

この制御された爆発は、イスラエルの地震観測ネットワークとヨーロッパ・地中海地域の観測所の観測機器を調整する国際的テストの一環だった。このテストは、この地域内のイランやシリアなど、さらに遠くインドやパキスタンなどのミサイル実験を監視するのに役立つ。

爆発物は、地表に構築された特別なピラミッド形の構造物の中に設置された。実験は地震動の効果とともに音波を監視する能力をテストする目的で計画された。
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency