2010年2月9日火曜日

ダウジングで爆発物探知?

イラクでは、爆発物を使ったテロで多くの人が亡くなったり傷ついたりし続けています。厳重な検問や警備体制がしかれているはずなのに、なぜ爆弾テロが頻発するのか不思議でした。理由の一つはイラク政府が採用している爆発物探知機にあったようです。

爆発物によるテロ攻撃を防ぐためにイラク政府が約 77億円を投じて 2000台を導入したのが、イギリス ATSC 社製の ADE651 という携帯型の爆発物探知機です。ところが、この探知機には爆発物を探知する能力が全くなく、その結果、検問を通過した爆発物によって多くの人命が失われていたことが明らかになりました:
日本の報道では、「欠陥品」とか「不良品」という言葉が使われていますが、そんなレベルではありません。爆発物を探知する能力が全くないどころか、探知機らしく見える部品を組み合わせただけのまがい物であったのです。このことは何年も前から判明しており、アメリカの政府機関などは繰り返し警告を発していました。

この爆弾探知機「ADE651」、通称 「魔法のつえ」 は、次のような構成要素からなっています:
  1. 拳銃のような形のグリップ。先にほぼ 360度自由に回転するロッド・アンテナがついている。手に持って使用。
  2. 箱状のカード読み取り装置。腰のベルトにクリップで取り付けて携行。
  3. 上記グリップとカード読み取り装置をつなぐケーブル
  4. TNT や プラスチック爆弾など、爆発物の種類に応じた探知プログラムを収めた十数枚のカード
電池などのエネルギー源は不要だそうです。使い方は簡単で、適切なカードを読み取り機に差し込んだ上で、この装置を持って爆発物に近づくと、ロッド・アンテナが爆発物の方向を指すのだそうです。(この時点でかなり怪しい代物だと気づきそうなものですが、イラク内務省は、いまだに探知機の問題ではなく使用方法が悪かっただけなので、兵士や警察官を再訓練すると言っているそうです。)

イギリスの BBC 放送がこの「探知機」の実体を暴く番組を放送し、その内容を記事にして掲載しています:
上記動画によると、この「探知機」のロッド・アンテナが動くのは、使用者の身体の動きや無意識の筋肉の動き(不覚筋動)などによって起きるもので、ダウジングでダウジング・ロッドとよばれる L字型や Y字型の棒が地下の水脈や金鉱脈に反応して動くように見えるのと同じなのだそうです。また、各種爆発物に対応したプログラムが収められているとされるカードは、分解した結果、プログラムなどは一切入っていなかったとのことです。

ダウジングは、オカルト、超常現象、疑似科学の類であって、科学的な検証に耐えた成功例はありません。

ATSC 社の責任者は詐欺の容疑で逮捕されています。少なくとも数百人、イラクの国会議員によればもっと多くて数千人が、このインチキ「探知機」のせいで見逃された爆発物によって命を失っていることを考えれば、単なる詐欺では済まされないのではないでしょうか:
疑似科学や似非(エセ)科学が、人命に関わる反社会的な側面を持つことを示す顕著な事例の一つであると思います。