2009年6月2日火曜日

ホンジュラス沖の地震

現地時間 5月28日(木)午前 2時 24分(日本時間 同日午後 5時24分)に中央アメリカ・ホンジュラス沖で発生した M7.3 の地震では、これまでのところ死者は 7人(そのうち少なくとも 3人は子ども)、負傷者は 十数人と報道されています。コンクリート製の橋が落下したり、プールの水が揺れであふれ出すなど、大きな揺れがあったことはたしかなのですが、犠牲者の数は幸いにも予想外に少ないという印象です(今後増える可能性はありますが)。

地震発生直後には津波警報も出されましたが、大きな波は観測されず、警報は約 90分後に解除されています。


上の地図は今回の地震の震央を示す地図です。やや左下から右上に向かって延びている緑色の線はトランスフォーム断層で、この断層の北側が北米プレート、南側がカリブ・プレートです。今回の地震は、この 2つのプレートの境界で起きた地震ですが、日本周辺で起きるプレート境界型の地震(逆断層型)とは性格が異なり、横ずれ断層によって引きおこされたようです。そのことは、米国地質調査所(USGS)の資料にある発震機構解を見るとわかります。ビーチボールのように見える震源球が、濃い色と薄い色でほぼ 4等分されていて横ずれ断層であったことを示しています。また、濃い色の部分は圧縮応力、薄い色の部分は伸張応力が働いたところなので、断層の走向を考慮すると、今回の地震によってカリブ・プレートが北米プレートに対して東方向に移動したことがわかります。

原因が横ずれ断層であったことが、浅いところでおきた大地震(震源の深さ 10km)であったにも関わらず大きな津波が発生しなかった理由と考えられます。

Image Credit: U.S. Geological Survey