2021年12月24日金曜日

活火山掘削計画 — アイスランド

 
アイスランド北東部の活火山・クラフラ山(地図)を掘削して、地下のマグマを直接観察することを目指したプロジェクトが進行中です。米・英・仏など11カ国の38の研究機関や企業が参加。アイスランド国営電力会社も加わって、極めて高温な岩体から蒸気を取り出す超臨界圧井戸としても利用する計画です:
 
以下は記事の抜粋テキトー訳です:
アイスランド北東部に、世界初の地下マグマ観測所を作るというジュール・ヴェルヌ的プロジェクトで、研究者のチームが火山の中心部まで2キロメートルの掘削を準備している。

クラフラ・マグマ・テストベッド(KMT)チームは、火山のマグマ溜まりに到達することを目指している。地上に噴出する溶岩とは異なり、地下の溶けた岩石は謎に包まれている。

イタリア国立地球物理学・火山学研究所(INGV)の火山学者パオロ・パパレ氏はAFPに、「KMTは世界初のマグマ観測所です」と語った。「ハワイやケニア、2009年のクラフラ火山で掘削中に偶然遭遇したことを除けば、地下のマグマを観測したことはない」と彼は言う。

科学者たちは、このプロジェクトが基礎科学の進歩と、いわゆる「スーパーホットロック」地熱発電につながることを期待している。

2009年、クラフラの地熱発電所を拡張していたとき、深さ2.1キロメートルでボーリング・ドリルが偶然、摂氏900度のマグマ溜まりに行き当たった。掘削孔から煙が噴出し、井戸の上9メートルまで溶岩が流れ出して、掘削機材が破損した。しかし、噴火は起こらず、誰もけがをしなかった。

液体のマグマにここまで近づくと、岩石は、流体が液体と気体の中間の「超臨界」状態になるほどの極端な高温に達する。そこで生み出されるエネルギーは、通常の掘削孔の5倍から10倍の威力を発揮する。現在、18の掘削孔で発電している60メガワットの発電所には、2本の超臨界圧井戸があれば十分である。

このような掘削が火山噴火の引き金になるのではないかと心配になるのは当然だと、アラスカ大学フェアバンクス校の地球物理学者でKMTプロジェクトの創設者の一人である John Eichelberger氏は言う。しかし、彼は「これは象を針で突いているようなものだ」、「合計で12本の掘削孔が世界の3つの異なる場所でマグマに到達したが、何も悪いことは起こらなかった」と言う。
 
記事中に、偶然マグマに到達してしまったハワイの事例への言及がありますが、それについては以下を参照してください:

マグマの噴出ではありませんが、日本では、1995年に焼岳近くの中部縦貫自動車道の工事現場で、火山性ガスを含む水蒸気の爆発と泥流噴出が発生して複数の死者が出ています。