2021年5月11日火曜日

水星は太陽系最大の「彗星」

 
水星から伸びるナトリウムの尾を捉えた写真です。水星の尾にはナトリウム以外にも多くの種類の元素が含まれていますが、ナトリウムは黄色の光を散乱させやすいため撮影対象として選ばれるようです:
 
撮影者のコメントは以下のとおりです:
一年ぶりの再挑戦です。太陽からの最大離角[注1]が近づき、空の状態はまだベストではありませんが、水星のナトリウムの尾はすでにはっきりと見えています。撮影機材は以前と変わらず、ステラビュー 66/400 屈折望遠鏡、ウィリアム・オプティクス 0.8倍レデューサー[注2]、589nm フィルター、ペンタックス K3-II、ISO1000です。撮影場所は、イタリア・フロジノーネ県ベローリ市(地図)の中心部にある自宅のバルコニーです。
 
水星の尾は、水星が近日点から ±16日の位置にあるときに最も明るくなるそうで、直近では 5月13日。その日には、水星の尾は上の写真が撮られたときよりも 10倍程度明るくなる可能性があるとのことです。
 
[注1] 5月17日14時54分、東方最大離角。水星が太陽の東に 22.0° まで離れます。この日を中心とした時期は、ふだん太陽に近すぎて見づらい水星を観望する好機です。日没直後の西空の低い位置に水星が輝いています。短時間で太陽を追うように地平線下に沈んでしまうので、地動説を唱えたコペルニクスは水星を生涯一度も見たことがなかったそうです。

[注2] レデューサーは、天体望遠鏡の焦点距離を短くして、光学系の F値を明るくする補正レンズです。
 
 
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