11月27日にオーストラリアのアマチュア天文観測家テリー・ラブジョイ(Terry Lovejoy)氏によって発見されたラブジョイ彗星(C/2011 W3)が、12月16日午前9時ごろ(日本時間)、太陽の表面から 18万6000km のところを通過します:
18万6000km は地球から月までの距離の半分です。ラブジョイ彗星はこの太陽接近で消滅する公算が高いとみられています。
太陽に接近する彗星は珍しくありません。太陽観測衛星 SOHO は16年間で、太陽に近づく彗星を 2110個観測しています。3日に1個の割合で彗星が太陽に接近していることになります。
ラブジョイ彗星は、近日点が太陽に極めて近い軌道を持つ彗星のグループであるクロイツ群に属しています。このグループには、1965年に日本人によって発見された池谷・関彗星があります。明るさが -17等に達して満月よりもはるかに明るくなり、昼間でも手で太陽光を遮れば見ることができたと伝えられています。残念ながら、ラブジョイ彗星は暗く非常に微かなので、もっとも明るくなった時点でも肉眼で見ることは不可能であろう予想されています。
最近発見されたクロイツ群の新彗星は、ほとんどすべてが SOHO などの太陽観測衛星によって太陽への最接近の数日前に発見されています。ラブジョイ彗星の発見が貴重なのは、それが 40数年ぶりに地上の望遠鏡によってなされ、太陽最接近までに十分な観測時間がとれるという点です。
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