国際宇宙ステーション(ISS)は、大気との摩擦で低下した高度を上げるため、10月26日にロケット噴射をおこないました。以下は、ロケット噴射中の ISS 内の様子を撮影した動画です。日本人宇宙飛行士・古川聡さんも写っています。他の飛行士が写っている間は、自分が画面の中央に入らないように気をつかっている様子が好印象です:
ロケット噴射は1分54秒継続し、ISSの高度を 3.2km 押し上げました。噴射後の ISS は、平均高度 390.0 km、遠地点 404.8 km、近地点 375.2 km の軌道を周回しています。
ロケットは画面の奥の方向にあります。カメラはロケットがある場所とは反対側の隔壁に取り付けられ、ロケットの方を向いています。ロケット噴射中の ISS は、画面奥から手前に向かって加速していることになります。ロケット噴射中の加速度は、地球の重力加速度の 約500分の1 とのことです。
ニュートンの運動法則によって、ISS内の固定していないもの(宇宙飛行士を含む)は加速する ISS から取り残されます。これを ISS とともに加速しているカメラから見ると、カメラから遠ざかる方向、つまり画面の奥に向かって「落下」していくことになります。ロケット噴射中は、ISS内に擬似的な重力が生じているわけです。
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