2010年12月26日日曜日

イエローストーンは噴火するか? (その 2)

イエローストーンの噴火の可能性について、専門家はどのように考えているのでしょうか。以下はアメリカのニュースサイトに掲載された記事です。一般からの質問に専門の科学者が答えるコラムですが、「イエローストーン国立公園内のスーパーボルケーノは今後 100年以内に噴火することがあるのでしょうか?」という質問が取り上げられています(記事は今年の 10月 7日付ですが、すでに掲載期限が切れたらしく “Unfortunately, that page could not be found” とのメッセージが表示されます。しかし、情報の出典を明示するためにリンクは残しておきます):

以下は、答えの部分の意訳です:
これは重要な質問で、(イエローストーンに隣接している)ワイオミング州、モンタナ州、アイダホ州に住む多くの人たちが答えを聞きたいと思っている質問でもあります。イエローストーンは過去 210万年間に 3回のスーパー噴火をおこしています。その規模は、ワシントン州南西部を荒廃させた 1980年のセント・ヘレンズ山の噴火の 700倍から 6000倍とされています。

たった 3回の過去のスーパー噴火にもとづいて、正確な長期予知をするのはほとんど不可能です。イエローストーンの噴火が完全にランダムに発生し、平均 70万年の間隔でスーパー噴火が起きるのであれば、任意の 100年間にスーパー噴火が起きる確率は 7000分の 1です。イエローストーンの一番最近のスーパー噴火は今から 64万年前に起きましたが、それ以降に規模が小さい噴火が 80回起きています。この事実から、小規模な噴火は 8000年間隔で発生すると考えられます。一番最近の小規模噴火は 7万年前に起きています。したがって、小規模な噴火については、すでに期限切れでいつ噴火が起きてもおかしくない状態ともいえますし、イエローストーンの火山系が(小規模噴火すら起こさない)静穏期に入っているとも考えられます。

米国地質調査所(USGS)は、噴火につながるような火山活動の異変を監視するために、イエローストーンで火山監視プログラムを実施しています。イエローストーンは非常に活発な地域で、多くの小規模地震、微小な土地の隆起、温泉や間欠泉の変化が毎年起きています。今年も、1月 15日から 2月 7日にかけてイエローストーンの地下で 2350回の小規模地震からなる群発地震が発生しました。地震の観測データを分析した結果によると、地表からわずか数キロメートルのところにマグマが存在することがわかっていますが、幸いなことにこのマグマは一部が固化しており、噴火をおこす可能性はほとんどないものです。

イエローストーンのマグマ溜まりは、次の噴火が起こる前に地下深部から新しいマグマの補給を受ける必要がある、と科学者たちは考えています。噴火が起きる場合にはどの程度の前兆が現れるのでしょうか? この疑問に答えるのは簡単ではありません。しかし、現在の広範囲にわたる監視体制によって、小規模噴火の場合は数日から数ヶ月前に、スーパー噴火の場合は数ヶ月から数年前にその予兆を捉えられる可能性が高いと言えるでしょう。

冒頭のあなたの質問にもどりましょう。近い将来、スーパー噴火が起こることを示すような活動は現在のイエローストーンには見あたりません。今後 100年のうちにイエローストーンで大きな噴火が起きる可能性はきわめて低いと考えられます。30年前にセント・ヘレンズ山が噴火して以降、私たちは火山について多くのことを学んできました。しかし、それでもなお火山噴火予知は精密科学とは言えない状態にありますので、ここで私が述べた予測が正しいことを望むばかりです。

イエローストーンの最新火山情報と震央地図は以下にあります:

(完)


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