このブログのアクセス統計を見ていて気づいたのですが、今週、イエローストーン関連の過去記事へのアクセスが急増しました。どうやら、テレビ番組でイエローストーンの大噴火を取り上げたことが影響しているようです。
その番組とは、日本テレビ系で 12月 20日に放送された『不可思議探偵団』です。私は録画で流し見しましたが、イエローストーンの噴火が差し迫っているという印象を与える作為的な構成でした。現地に若手タレントを送り込み、間欠泉や温泉地帯のただの湯煙を指して「あれヤバクないですか」と言わせたり、琉球大学の木村政昭名誉教授を登場させて 2011年は危ないという結論に無理やり持っていったり ・・・。この種の民放番組製作者の浅薄さや節度のなさには、いつもながらあきれさせられます。
番組では、イエローストーンで今年の初めに発生した群発地震がマグマの大噴出に繋がる可能性も否定できない、としていました。群発地震があったのは事実です(このブログの 1月21日付「イエローストーンの群発地震」を参照してください)。「否定はできない」のも事実です。なぜなら、現在の火山学の水準では、100% 確実な噴火予知は困難ですから。しかし、ほとんどの専門家が、この群発地震がすぐに大きな噴火に結びつくことはない、としている事実も忘れてはなりません。
「否定はできない」、たとえば「万が一」、つまり 10000 に 1つの可能性があるからといって、その点ばかりを強調して残りの 9999 をなおざりにしたのでは、物事の正しい理解は得られません。そのようなバランスを欠いた手法で自分の望む結論の正当化を図ったところで、牽強付会のそしりを免れないのはいうまでもありません。
このように「否定はできない」ことを 100% の肯定にすり替えるのは、トンデモ説の論者がよく使う手口でもあります。
(続く)