11月15日午後2時半ごろに朝鮮半島南東部で発生したM5.4の地震は、韓国で近代的な地震観測が始まって以降では、昨年9月に慶州で発生したM5.8に次ぐ2番目の規模とのことです。韓国の報道では昨年の地震を「慶州(キョンジュ)地震」、今回の地震を「浦項(ポハン)地震」と呼んでいます。
浦項(Pohang、ポハン)市は大きな製鉄所があることで有名な工業都市です。米国地質調査所(USGS)の資料では、どういうわけか日本風の〝Hoko〟が使われています。「日帝残滓」ということで韓国から抗議が寄せられるかも知れません:
発震機構は、防災科学技術研究所の「AQUAシステム メカニズム解カタログ」(右図)や米国地質調査所(USGS)の Moment Tensor を見ると、横ずれ断層と逆断層の動きが混じったものであったようです。
韓国のメディアは今回の地震についてどのような解説を載せているでしょうか。韓国は地震が少なく、地震分野の研究者の層が薄いと言われています。そのせいか、ちょっとおかしな説明も見られます。韓国語から日本語に翻訳する過程でおかしくなったのかも知れませんが。
『朝鮮日報』の記事は、昨年4月の熊本地震からの連鎖と捉えています。「今回の地震は、韓半島西側にあるインドプレートと東側にある太平洋プレートがぶつかり合って発生した衝撃が、プレートのひび割れを伝って噴出したもの」(韓国地質資源研究院のイ・ユンス博士)。インド亜大陸の北上がユーラシア大陸の奥深くまで影響をおよぼしているのはまちがいないのですが、「衝撃が、プレートのひび割れを伝って噴出」とはどういうことでしょうか:
『ハンギョレ新聞』の記事は、2011年の東北地方太平洋沖地震からの連鎖という説明です。今回の地震の原因を、「走向移動断層」という耳慣れない言葉で説明しています。横ずれ断層のことだと思われます:
『中央日報』には過去の地震の震源、主要な断層、原子力発電所の位置を示した地図が掲載されています。これは保存しておく価値がありそうです。「慶州地震は2011年3月11日に発生した東日本大震災の余波で発生し、今回の浦項地震は慶州地震の影響で発生したとみられる」(延世大学地球システム科学科、ホン・テギョン教授)、「今回の地震は梁山断層の支流である長沙断層付近で発生したものと推定される」(気象庁地震火山センター長、イ・ミソン氏):
朝鮮半島では歴史上、M6 や M7 クラスと推定される大地震も発生しています。このブログでも何度か紹介したことのある文献ですが、参考にしてください:
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