1月14日にベテルギウスの方向で観測された重力波バーストについて、もう少し詳しい記事がありましたので紹介します:
以下は記事の概略です:
- 重力波バーストを捉えたのは、LIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory:レーザー干渉計重力波天文台)と Virgo干渉計。
- 重力波バーストの継続時間は14ミリ秒。
- 中性子星などの巨大な質量の物体が衝突する際に発生する重力波は継続時間が長い。2つの軌道を回る物体が互いに近づくにつれて周波数が時間とともに変化する一連の波として観測される。したがって、今回のバーストには該当しない。
- 短時間の重力波バーストは、超新星爆発などの一時的な出来事に起因する。
- 一部の天文学者は、最近異常に暗くなり超新星爆発を起こすかも知れないと指摘されているベテルギウスからの信号である可能性があると見なしている。しかし、ベテルギウスはまだ存在している。銀河系内での超新星爆発の頻度は100年に1回程度であるため、別の星の超新星爆発である可能性も低い。
- 今回観測されたバーストは、大規模な星の崩壊から出たとするには短時間すぎる。しかし、星の爆発を重力波で実際に観測した事例がないので、 本当のところはわからない。
- 超新星爆発に伴って放出されるニュートリノは観測されていない。
- 別の可能性としては、中間質量のブラックホールの融合。中性子星の融合の場合は重力波は30秒前後観測されるが、ブラックホールの場合は数秒程度。
- LIGOは観測した重力波の詳細をまだ公表していない。
- 今回観測されたバーストは検出器のノイズにすぎない可能性もある。しかし、世界の3ヶ所(ワシントン州、ルイジアナ州、イタリア)に設置されたLIGOの検出器のすべてで観測されているので、ノイズである可能性は低い。
- 他の可能性としては、超新星がニュートリノを生成せずに崩壊して直接ブラックホールになった可能性があるが、憶測の域を出ない。
- 現在、天文学者は重力波バーストの発生した領域に望遠鏡を向けて、発生源を特定しようとしている。
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