2024年10月6日日曜日

プレート由来の水と地震

 
東京新聞』の記事です。大学教授でサイエンス・コミュニケーターでもある鴨志田公男氏が、筑波大学の山中勤教授らの発表した論文 —— 阪神大震災が、有馬温泉の地下深部で発生した洪水現象によって引き起こされた可能性を示唆 —— をわかりやすく解説しています。
 
「プレートから泉源のもととなる帯水層への流入量は 60年以降減少が続いていたが、阪神大震災が発生した 95年前後に一時的に急上昇し、その後は再び減少に転じたことが分かった。しかも、三つの泉源では地震に先立って増えていた」、「プレートから急にあふれだしたのか、目詰まりを起こしていた水の流路が急に破れたのか、流入量急増の理由は不明だが、このような深部地下の洪水現象で震源域の断層強度が弱まり、地震の引き金になった」:
 
温泉水に含まれる酸素や水素の安定同位体の比率を調べることで水の起源を特定。有馬温泉の水が、フィリピン海プレートから来た海水が変質したものと判明。
 
阪神大震災の前後、有馬温泉のいくつかの泉源で、プレート由来の水の流入量が急激に増加していたことが判明。

プレート由来の水の急激な流入が、震源域の断層強度を弱め、地震の引き金になった可能性。

従来の地震予測に加え、地下水の変化をモニタリングすることで、地震発生の可能性をより早期に察知できる可能性を示唆。

雨や雪などの天水由来ではない温泉水は、(1)150万~500万年かけて沈み込んだフィリピン海プレート由来、(2)400万~500万年かけて沈み込んだ太平洋プレート由来(3)500万年以上前に海底で堆積した地層由来、の 3種類に分類できる。
 
 
今年1月1日の能登半島地震に先行した群発地震でも、その原因について深部から何らかの流体が上昇してきているという説明がなされていましたが、類似の現象があったのではないでしょうか。