2009年6月30日火曜日

二酸化炭素昇華の跡 ― 火星

ちょっとおもしろい写真を紹介します:
火星の砂丘上に積もった固体の二酸化炭素(つまりドライアイス)が、気温の上昇にともなって昇華した跡なのだそうです。雪山に点在する森か、白いチーズに生えたカビのように見えます。

より解像度の高い写真が以下にあります:
同様の現象が別の場所でも撮影されています:
上記いずれのページでも、右側にある “WALLPAPER” と書かれたメニューの下から任意の解像度を選ぶことができます。MRO(Mars Reconnaissance Orbiter;マーズ・リコネッサンス・オービター)に搭載された HiRISE(High Resolution Imaging Science Experiment)カメラの解像度の高さには、いつも圧倒されます。

2009年6月29日月曜日

震度とマグニチュードの混同

日本の報道で震度とマグニチュードが混同して伝えられることはまずあり得ませんが、海外のニュースでは時たま見かけます。先週 18日(木)にアルメニアの首都エレバンの近くで有感地震がありましたが、そのことを伝える『ArmeniaNow.com』の当初の記事(18日付)は以下のようになっていました:
An earthquake measuring five on the Richter scale in central Armenia Thursday afternoon caused panic among the population.

木曜日の午後、アルメニア中央部でリヒター・スケールで 5 (=マグニチュード 5)の地震があり、人びとの間にパニックがおきた。

As reported by the Ministry of Emergency Situations, an earthquake with a magnitude of 3.6 struck at noon about 10 kilometers south of the village of Garni. The earthquake measured 5 on the Richter in the epicenter and 3-4 was registered in capital Yerevan.

緊急事態省によれば、正午にガルニ村の南約 10km でマグニチュード 3.6 の地震が発生した。その地震は、震央ではリヒター(スケール)で(マグニチュード)5 と計測され、また首都エレバンでは 3~4 が記録された。
このブログ記事を書いている時点では、上記記事は以下のように修正されています:
An earthquake measuring five on the 12-point scale in central Armenia Thursday afternoon caused panic among the population.

木曜日の午後、アルメニア中央部で 12段階のスケール(=改正メルカリ震度階)で(震度)5 の地震があり、人びとの間にパニックがおきた。

As reported by the Ministry of Emergency Situations, an earthquake with a magnitude of 3.6 struck at noon about 10 kilometers south of the village of Garni. The earthquake measured 5 in the epicenter and 3-4 was registered in capital Yerevan.

緊急事態省によれば、正午にガルニ村の南約 10km でマグニチュード 3.6 の地震が発生した。その地震は、震央では(震度)5 と計測され、また首都エレバンでは(震度)3~4 が記録された。
以下は、現在サイトに掲載されている修正後の記事です:
過去の関連記事
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

2009年6月28日日曜日

ロック・ピープル (岩の人たち)

私は、スピリチュアル系やニュー・エイジ系の話にはきわめて批判的なのですが、以下の記事には多少共感できるところがあります:
上記記事から一部引用します:
多くの先住民の伝承には、石や岩に棲む意識、あるいは精霊が登場します。年月を経た精霊です。そのような「ロック・ピープル」(岩の人たち)は、地球が誕生したときから存在しています。

「ロック・ピープル」は恐竜、彗星、木生シダの林、そして初期の人類を見ていました。彼らは、この惑星の大陸プレートが押し合いへし合いするのも経験しています。彼らは、いくつもの火山噴火、地震、隕石の衝突を経験しています。彼らは、無限とも言えるほど長い時間、日差し、風、雨、氷河期と温暖期を経験しています。彼らは海、川、水流によって激しく揺り動かされてきました。
上記に続けて、この記事の筆者は次のようなことを述べています ―― ある時、特別な石に出会った。形と色に引きつけられ、家に持ち帰った。自分の人生を大局的に展望する必要が生じるたびに、その石を手に取り、その石が太古から見聞してきたことに思いをはせる。そして、その石の未来についても考えてみる。その石は、私の肉体や、現在地球上に存在しているあらゆる生き物の肉体よりも長く存在し続けることだろう。このような石の存在を眼前にすると謙虚にならざるをえない。このような永続性と悠久の歴史を目の前にすると、自分の苦労や心配事は小さく、大して意味のないことに思えてくる。

記事の筆者が最後に引用しているのは Jamie Sams という人の「ストーン・ピープル」と題する詩です。

私は、石や岩の中に意識があると考えたり、精霊の存在を仮定したりすることはありませんが、石を眺めながら物事を考えることはよくあります。手に取るのは旅先や出張先で拾ったり購入したりした石や化石です。最近よく手にするのは、オーストラリアで買った長径 7cm ほどのオパールの原石です。焦げ茶色の岩石(砂岩?)の中に金色の微粒子が散らばっているような石で、その中に薄いオパールの層が 2層入っています。オパールの一部は石の表面に出てきており、光りの当たり具合によって緑・青・紫などに光ります。特に緑の輝きが美しく、飽きることがありません。おそらく白亜紀に堆積した砂岩だと思うのですが、そのころのオーストラリア・プレートの位置や環境、石の周囲を徘徊したり泳ぎ回ったりしていた生物の姿などを思い浮かべると、そのような経験をしてきた石が巡りめぐって今自分の手の上にあることが何とも不思議に思えてきます。

今いちばん手に入れたいと思っているのは、オーストラリア南部・フリンダーズ山地で産出するエディアカラ生物群の化石です。まだ捕食動物が出現せず、弱肉強食の生存競争が存在しなかったとも言われる先カンブリア紀の暖かい浅瀬、そのような「エディアカラの楽園」で穏やかに繁栄していた動物とも植物ともつかない無防備な生物たち。そのような生き物の形見を手にのせて、生物草創期の楽園に思いをはせてみたいものだと思っています。

以下は、エディアカラ生物群の画像集です:

2009年6月27日土曜日

宇宙放射線の量が増加

6月 26日付朝日新聞(朝刊)社会面に「宇宙放射線の量 60年代以降最大 太陽の活動低下が原因か」という記事が掲載されています。タイトルが異なっていますが、対応するオンライン版の記事が以下です。わたしの手元にある紙面と比べると、最後の「宇宙機構によると…」で始まる段落が追加されています:
記事によると、地上に降り注ぐ放射線の量が増えているのは、太陽の活動が低調で太陽の磁場が弱まり、太陽系外から飛来する放射線(宇宙線)を遮る力が落ちているからとのことです。それに加えて、地球の磁場(地磁気)が年々弱まっていることも影響しているのではないでしょうか。そう遠くない将来に地磁気が 0 になり、その後は、地磁気の N極と S極が逆転すると言われています。太陽の磁場と地球の磁場という 2重のバリアーで守られている地球も、いつまでも安泰というわけではないようです。それにしても「太陽の北極と南極の磁場はここ数年、それ以前の半分程度に弱まっている」という事実には驚かされます。

オタマジャクシ落下とマイケル・ジャクソンの死

マイケル・ジャクソンの死には二重の意味で驚かされました。一つ目の理由は、他の方々と同じで、絶頂期は過ぎていたとはいえ、人気大物エンターテイナーの訃報が突然入ってきたことに対するもの。もう一つは、私の友人がそのことを事前にほのめかしていたことです。

先日、都内のレストランで小・中学校時代の同期生たちと夕食をともにしながら、雑談に興じていたときのこと、全国で続くオタマジャクシ落下のことが話題に上りました。原因について、鳥説・つむじ風説・いたずら説などひとしきり盛り上がったあと、一人が「これはひょっとすると音楽関係者、それもかなりの大物が死ぬ前印(まえじるし)かも知れんね」と言ったのです。彼の発想は単純で、「オタマジャクシ → 音符」から連想したものでした。

前印(まえじるし)という言葉は、あまり一般的ではないかもしれません。しかし、私と同期生たちにとってはさほど珍しい言葉ではありません。私と同期生たちが通っていた学校は、ローマン・カトリック系の教会によって設立されたもので、小学校からキリスト教の教理の授業がおこなわれており、その中で「前印」という言葉は何度か耳にしたことがありました。うろ覚えですが、どういう文脈で使われるかというと:
ノアの箱船が漂うことになった大洪水。それをもたらした長雨は 40日 40夜続いた。これは、その後、洪水が 40日 40夜続くことの前印。

モーゼに率いられてエジプトを脱出したイスラエルの民は、荒野を 40年間にわたってさまようことになった。これは、イエス・キリストが悪魔の誘惑を受けながらも荒野で断食した期間が 40日 40夜であったことの前印。
昨夜、件(くだん)の友人と電話で話したときには、「オタマジャクシ」という言葉の中には「マイケル・ジャクソン」という名前が隠れていると自慢されてしまいました。彼によると、「オタマ」の「タマ」は「玉」で丸い、「丸」の「マ」と「ル」は「イケ」を暗示、「ジャクシ」は「ジャクソン」に通じる、云々。後付け、こじつけもここまで来ると辟易します。このようにして迷信や都市伝説が誕生していくのでしょうか。

ネット上では、すでに〈実はマイケルは死んでいない、偽装だ〉とか〈某秘密組織に暗殺された〉という類の隠蔽説・陰謀説が出ています。エルビス・プレスリーが死んだあとも、長期間にわたって〈エルビスは生きている〉〈○○でエルビスを目撃〉といったニュースがタブロイド紙を中心に繰り返し報じられました。マイケル・ジャクソンについても、同じような現象が尾を引くことになるのかも知れません。

2009年6月26日金曜日

空からオタマジャクシが降る (続報)

その後もオタマジャクシなどの落下報道は続いています。量が多くて完全にはフォローしきれない状態です。そんな中、今朝の朝日新聞社会面に、これまでの経緯をまとめ、原因を考察する記事が掲載されています。記事のタイトルは「オタマジャクシ 空から」、副題は「鳥か 空で餌を吐く姿 目撃」と「気象か 竜巻の観測なく、つむじ風説」となっています。現時点でこの記事はネット上には公開されていないようです。

記事には:
  • 石川県が発端となった生き物が降る現象は、これまでに少なくとも 17 の県で報告されている。
  • このような現象は「ファフロツキーズ現象」(Fall From The Skies の略)と呼ばれる。
  • 3世紀初頭のマケドニアではカエルの雨が降ったという記録がある。
  • 日本では 1876(明治 9)年に福井でゴリに似た魚 3匹が降ったという新聞記事がある。
  • アメリカの科学誌『サイエンス』にも、1947年にルイジアナ州で魚が降ったという報告例がある。
  • 埼玉県では、2年前、500円玉大のミドリガメが空から落ちてきて 4歳の男子の頭に当たった。
等々、さまざまな情報が載っています。さらに現象の原因として取りざたされている「鳥説」と「突風・竜巻説」とを比較し、「一部にいたずらもありそうだが、『鳥説』が最もつじつまが合うと言えそうだ」と結論づけています。

「鳥説」と「突風・竜巻説」以外に、以下のような「風船説」も出ています:
記事では軍事的な目的までほのめかされていますが、可能性は低いと思います。

23日には、福島県で体長約 35cm(大きい!)のナマズが、大きな音がした後に見つかっています:
私自身も、子供のころに、オタマジャクシ(小さく黒いものや、薄茶色で大きいもの)の死骸が、田んぼや池から離れた場所や道路に転がっているのを見たことが何度もあります。夏休みに祖父母の家に長期間滞在していたときのことですが、そのころは、他の子どもたちが遊びで放置したとのだろうと漠然と考えていました。中には、空から降ってきたものがあったのかも知れません。

過去の関連記事

2009年6月25日木曜日

サウジアラビアの群発地震 避難長引く

サウジアラビア西部の火山地帯周辺で続いている群発地震については、これまで何度か書いてきました(下記「過去の関連記事」参照)。一時は火山噴火が今にも起こりそうだという切迫感がありましたが、現在までのところ噴火には至らず、地震だけがいつまでも続く状態になっています。

下記の記事は、SGS(サウジアラビア地質調査所)が、避難中の Al-Ais とその周辺集落の住民の帰宅を無期限に延期したことを伝えています:
上記記事によると、小規模な地震が続いているものの、火山周辺の温度、ラドンや二酸化炭素ガス濃度に変化はなく、また、火山の頂上付近にできた亀裂にも危険な兆候は現れていないとのことです。

避難住民のうち 691家族が滞在しているのは近隣都市のホテルです。サウジアラビア王国の財務省が宿泊費を負担しているのですが、この宿泊費が閑散期の格安レートであるため、ホテルの所有者たちの間にはビジネス上の損失を懸念する声が出ています:
学校が夏休みに入る 7月以降は観光客が増え、ふだんの年ならば宿泊料が最大 10倍程度に跳ね上がる時期なのだそうです。そのような書き入れ時に、格安レートで大量の避難民に居座られてはたまらないという思いがホテルのオーナーたちにあるのも無理からぬことです。かつてほどの勢いはなくなったとは言うものの、依然としてオイル・マネーで潤う王国の財務省ですから、おそらく太っ腹な施策を講じてくれるのではないでしょうか。

過去の関連記事
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

芙蓉山(松輪富士)が噴火 (続報-2)

サリチェフ峰(日本名:芙蓉山、松輪富士)の噴火をうけて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)を使った緊急観測を実施し、その結果を公表しています:
上記資料の中にある画像は、クリックすると拡大します。

私が特に興味をひかれたのは、(3)の資料に載っている画像です。「だいち」搭載の L バンド合成開口レーダー(PALSAR:パルサー)によって得られたものです。溶岩の流れたようすや、噴出物の積み重なった様子がよくわかります。電波を使っているため、可視光や赤外線を使った画像に比べると解像度は落ちますが、雲の妨害を受けない、地表の凹凸がはっきりわかる、などの特徴があります。

同じ技術は、現在土星を周回しているアメリカの探査機カッシーニが、土星の衛星タイタンの表面を撮影するときにも使われています。タイタンは大気があり、いつも靄(もや)のようなものがかかっているため、可視光線では地表が見えません。そのため、レーダーを使った衛星表面のスキャンが活躍しています。以下はタイタンの表面をとらえたレーダー画像の一例です:
関連記事

沖縄本島沖の熱水鉱床と新聞報道

以下は 6月 22日付で海上保安庁が発表した資料です。昨年度に実施した調査で、沖縄本島北西沖の海底熱水鉱床海域において、新たな海底熱水鉱床の可能性が高い地形を発見したことを伝えています:
上記資料では「海底熱水鉱床の可能性が高い地形を発見」という文言に下線を引いて注意喚起しているにもかかわらず、ほとんどの新聞は「海底熱水鉱床を発見」と書いています。以下はその例です:
これらの新聞記事は、本文冒頭で以下のように書いています:
海上保安庁は22日、沖縄本島の北西約100キロ沖の海底で、金属鉱物資源の発掘が期待される「海底熱水鉱床」を発見したと発表した。
おそらく、ほとんどの新聞社は同一の通信社の情報をよく確認せずに使っているので、このようなことになるのだと思います。私の見た範囲では、「可能性」であることを正確に伝えている記事は以下の時事通信社のものだけでした:
海上保安庁が調査した海域は沖縄トラフの一部です。中央海嶺ではありませんが、それと同じように地下からマントルが上昇して海底が拡大しつつある場所です。海上保安庁の発表資料には、3葉の海底地形図が添えられています。伊是名海穴と呼ばれる長径約 6km の海底カルデラや、その北東方向に今回新たに発見された 2つのカルデラ地形を見ることができます。

2009年6月24日水曜日

リュウグウノツカイ捕獲 ― 鹿児島県

23日(火)、鹿児島県南さつま市の沖合でリュウグウノツカイが網にかかりました:
先日台湾で水揚げされたリュウグウノツカイは全長 5m でしたが、今回のものは 1.4m と小ぶりです。

関連記事:

2009年6月23日火曜日

都心に断層 ?

都心部直下に数メートルの段差がある地層が見つかったとのことです:
段差が見つかったのは、これまで滑らかと考えられていた東京層と呼ばれる地層。深さ 20~30m の地下で 4~7m の食い違いが見つかったとのことです。この段差が活断層である可能性は低いようですが、この食い違いをまたぐ形で建設された建物は耐震性に影響が出るかもしれないので要注意、と段差を見つけた専門家は話しています。

神縄・国府津-松田断層帯

今朝の朝日新聞・神奈川(さがみ野)面に「神縄・国府津-松田断層帯 断層幅など一部改訂 予測震度分布も公表」と題する記事が掲載されています。朝日新聞の記事そのものはネット上にありませんが、地震調査研究推進本部の発表資料は、同本部のサイトに掲載されています:
変更点のまとめは、上記発表資料の末尾に表の形で載っています。主な変更点は:
  • 断層の傾斜角
  • 断層の幅: 北西端から中央付近までが 10km 程度 → 20km 程度
  • 活動時期: 〈約 4500年前以後、約 2500年前以前〉 → 〈約 4500年前以後、約 2600年前以前〉〉
この断層によって起きる地震の規模や 30年以内の発生確率に変更はないものの、最新の地盤データにもとづいて震度の予想が修正されています。神奈川や東京の平野部で今までより強い揺れが予想されています:
以下は上記資料からの引用です:
神奈川県中西部の相模湾に面した平野・丘陵部や、静岡県御殿場市周辺で震度 6強以上(赤色)の大変強い揺れが予測されています。震度 6弱(橙色)の揺れは、神奈川県中部から静岡県北東部や山梨県南東部の一部に至る広い範囲や、三浦半島の沿岸部の一部、横浜市・川崎市の一部にまで及びます。神奈川県のほぼ全域を含む東京都中南部から静岡県東部・山梨県南東部までの広い範囲や、荒川沿いの低地・甲府盆地・房総半島西岸の一部は震度 5強(黄色)の揺れに見舞われます。
他紙の類似記事は以下のとおりです:

2009年6月22日月曜日

芙蓉山(松輪富士)が噴火 (続報)

6月 15日付「芙蓉山(松輪富士)が噴火」の続報です。同山(ロシア名:サリチェフ峰)の噴火の様子が宇宙から捉えられています。

以下は、国際宇宙ステーションの乗員が撮影した噴煙の写真です。キノコ雲を上から見下ろしています。キノコ雲の頂上部が白いのは、噴煙に押し上げられた空気が膨張・冷却して水分が凝結したためです。低層の雲が広がっていますが、火山の周りだけ円形に晴れています。これは噴火に伴う衝撃波によって低層の雲が押しのけられたためとのことです。噴火口から写真の右下に向かって火砕流が流れ下っている様子も写っています:
以下は、NASA のテラとアクアという衛星に搭載されている MODIS(Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer)センサーが捉えた噴煙の変化です:

井戸水が濁る ― 長崎県

長崎県大村市の浄水場にある井戸 2本で、4月 22日に突如、水が濁り始めたとのことです:
濁りの直接の原因はバクテリアの大量発生と断定されています。しかし、さらにその大量発生の原因はというと、井戸水にこれまで検出されていなかった鉄やマンガンが含まれるようになり、水中の鉱物を摂取して繁殖する種類のバクテリアが殖える条件が整ったからとのことです。井戸の水質に変化をもたらした原因は何なのでしょうか。

ヘビが原因の停電 愛知県

21日(日)午前、ヘビが高圧線に巻き付いたことが原因の停電が愛知県で起きています:
20日(土)午前には、京都府南部の広範囲で停電が発生しています:
こちらは原因が書かれていません。過去の類似事例(下記)にあるように、京都府南部ではヘビが原因の停電が 5月に 2回おきていますので、一往記載しておきます。

過去の類似事例も参照してください:

2009年6月21日日曜日

ストーンヘンジの夏至

日本時間 6月 21日午後 2時 46分、夏至になります。地理学上の北極点がもっとも太陽の方に向く瞬間です。別の言い方をすれば、地軸の北半球側がもっとも太陽の側に傾く瞬間です。

以前はあまりなかったと思いますが、イギリスでは夏至の日の日の出をストーンヘンジで迎えようとする人が増えているとのことです。ケルト文化やドルイド教などアングロサクソンよりも前に存在した土着の文化に対する再評価の気運や、いわゆる “ニュー・エイジ” の影響などが背景にあるのでしょうか。人出の増加に伴って、飲酒や薬物による風紀の乱れも深刻になっているようです。今年は夏至と日曜日が重なっているため、特にたくさんの人出が見込まれており、これまでにない警備体制が敷かれるとイギリスの各メディアが伝えています:
ストーンヘンジの航空写真と地図が以下にあります。ストーンヘンジ以外にも、円形の遺跡やその痕跡(クロップマーク)が見えています:
私は、かなり前のことですが、冬至に近い日にストーンヘンジを訪れたことがあります。霧雨が降ったり止んだりする陰鬱な 12月の日曜日でした。一人で自動車を運転して行ったのですが、休日にもかかわらず人出はほとんどなく、霧に包まれた遺跡を堪能することができました。遺跡はソールズベリー草原のまっただ中にあります。道路をはさんで遺跡とは反対側にある駐車場に車を止め、道路の下の地下道を抜けて草原の中の遺跡に近づくと、駐車場や土産物店がまったく見えなくなりました。それらは、半地下式に作られていて、遺跡周辺の景観を壊さないように配慮されていました。これには感心しました。

関連情報:
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

2009年6月20日土曜日

体の痛みで地震予知

昨日の朝日新聞朝刊・国際面に「救われるなら予言も信じる」というタイトルの記事が、かなりの紙面を割いて掲載されています。副題は「『痛みで地震予知』に脚光」と「占い『心保つ道具』」。経済危機の影響が深刻な東欧と中欧で、予言や占いの人気が高まっていることを伝えています。「貧すれば鈍する」ということでしょうか。この記事は現時点ではネット上に掲載されていないようです。

その記事の中に、以前このブログの記事「ブルガリアで地震パニック」(4月21日付)で紹介したマヤ・ポポーバ氏についての記述と写真があります。彼女についての情報を上記朝日新聞の記事からまとめます:
  • ブルガリアの首都ソフィアに住む 53歳の主婦。もとはテレビ記者。
  • 痛みによる地震予知のきっかけは、32年前、ソフィアで大きな地震が発生する数日前に、体中が焼けるような痛みに襲われたこと。
  • 痛みの部位によって地震が起きる場所がわかる ―― バルカン半島は右太ももが中心、内側がトルコ、中間がブルガリア、外側がギリシャ; アジアは左腕(日本は左脇の下)、北米・南米と台湾は右腕。
記事によると、ブルガリアでは 1980年代後半(共産主義政権下)、神経系の患者約 70人を対象にして、地震の前後で体の痛みにどのような変化があったかを調べたことがあるそうです。

このような、いわゆる「体感」にもとづく地震予知には、科学的根拠といえるものはほとんどありません。特に、体の部位と地震発生地を関連づけるのはナンセンスです。本人が 〈予知できている〉 と思いこんで、確証バイアスのループに陥っているだけのことだと思います。ブルガリアを含むバルカン半島一帯は日本と同様に地震多発地帯です。予知した地域に偶然地震がおきることもかなりあると思われます。きちんとした統計的検証をおこなって、偶然による的中(まぐれ当たり)の影響を除外すれば、予知できているとは言えないことが明らかになると思います。

関連記事
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

2009年6月19日金曜日

プエルトリコの異常引き潮とホンジュラスの大地震

5月の最後の週、カリブ海沿岸では異常な潮位の低下が続いていました。特にプエルトリコでの潮位低下は、同島がアメリカ合衆国の一部ということもあって、ワシントン・ポスト紙や MSNBC などの主要メディアが報道しました:
記事によると、5月の最後の週、プエルトリコの南岸(カリブ海に面している)で異常に大きな引き潮が続きました。地震や津波の前触れではないかとの不安が地元住民の間に広まり、当局に問い合わせが殺到したとのことです。当局や専門家の見解は 〈月の影響によるものであって、心配することはない〉 というものでした。たしかに、5月 24日が新月、さらに同 26日には月が地球にもっとも近づくという現象があり、潮位の変動が大きくなってもおかしくない時期ではありました。しかし、島に住んで長年海を見てきた地元住民が不安を感じるほどの潮位低下というのは、新月・満月や、月と地球の距離に応じて繰り返される潮位の変化の範囲を超えていたのではないでしょうか。上の記事がいくつかのニュースサイトに現れたのが 5月 27日ですが、翌 28日にはホンジュラス沖で M7.3 の大地震が発生しました。この地震の震央はカリブ海西部、プエルトリコはカリブ海北東部に位置しています。

プエルトリコの異常潮位の記事を見たとき、カリブ海で大きな地震が起きるかも知れないと思い、このブログの記事を書きかけたのですが、根拠が今ひとつ足りないとためらっているうちに、ホンジュラス沖で大地震発生とのニュースが入ってきました。その後、私は書きかけの記事をそのままにしていたのですが、同じことを考えた人がいたようです:
上記のブログ記事には、ホンジュラス沖の震央とプエルトリコの位置関係を示す地図も掲載されています。なお、上記ブログ記事では、地震の規模が M7.1 となっていますが、USGS は最終的に M7.3 としています。

関連記事

マグニチュード 10.5

ローランド・エメリッヒ監督の映画「2012」の新しい予告編が公開されています。昨年公開された予告編は、ヒマラヤ山脈を大津波が襲いそれをラマ教の僧侶が見つめるシーンだけという印象でしたが、今回公開された予告編では製作が進んだためか、より多くのシーンが含まれています。中でも私の印象に残ったのは、バチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画「天地創造」にひびが入り、サンピエトロ大聖堂が横倒しになるシーンと、甲板に “USS JOHN F KENNEDY” と書かれた航空母艦(すでに退役したはず)が大津波で転覆するシーンです:
マグニチュード 10.5 の地震が地盤や建物にどのような影響を与えるかを十分に研究した上で製作されているとのことですが、どうでしょうか。すでにあちこちのブログで疑問点が指摘されているようです。

ちょっとがっかりしたのはマヤの神殿の映像に “MANKIND'S EARLIEST CIVILIZATION”(人類最古の文明)というキャプションが付されている点。よく誤解されているのですが、マヤ文明はそんなに古い文明ではありません。シュメール文明に比べると数千年遅れて開花した文明です。

2009年6月18日木曜日

月面に 20万年前の彫像 ?

1か月ほど前に出回った“トンデモ”ニュースです。当然のことですが、主要なメディアはまったく報道していません。アポロ 11号が月から持ち帰った岩石の中から小さな「天使」の像が掘り出されていたとのことです:
以下は記事からの抜粋です:
この事実を公表したのは地質学者の Morris Charles 博士。同博士は、1987年まで 23年間、NASA に勤務していた。(注:この博士がどのような研究に従事していたのか調べるために、同博士の名前で発表されている論文を検索しましたが、見つかりませんでした。)

掘り出された「天使」はヒューマノイドの女性で、背中に翼のようなものが付いている。月の高地にしか存在しない鉄の化合物で作られている。表面は磨かれていて、銀色の金属光沢がある。化学的な分析によって 20万年の古さであることが判明した。(注:材料物質の古さなのか、像が加工された時期なのか不明です。)

あるワシントン在住の人類学者は「この像を作った存在は、明らかに、われわれのキリスト教信仰と同等の宗教的感覚を持っていた。おそらく彼らには彼ら自身のキリストがあったのだろう。重要な霊的原理は普遍的であることを示している」と語っている。

他の人たちは、この像の宗教的な重要性については確信が持てないでいる。ニューヨーク大学の Miles Fredericks 博士は次のように反論している。「これはキリスト教の宣伝にすぎない。シュメール人たちは紀元前 18世紀に翼のある神 アヌンナキ の物語を語っている。おそらくシュメール人たちは、(この像を作った)月の生物の訪問を受けていたのだろう。」

「この人工物の存在は NASA の内部ではよく知られていた。しかし、NASA の上層部は世界でパニックが起きることを恐れて、この事実を高度の機密情報としていた。ある人物がこの人工物を密かに持ち出して、私のもとに届けてくれた」と Morris Charles 博士は語っている。(注:隠蔽説の典型的パターンです。)

NASA は Morris Charles 博士の主張を公式に否定している。(注:「公式に否定」というよりは、相手にしていないのではないでしょうか。)

2009年6月17日水曜日

太陽活動に復調の兆し

これまでは:
でしたが、ようやく以下のような状態になりました:
私の蔵書に以下のようなものがあります:
  • 『太陽活動と景気』(嶋中雄二、日本経済新聞社、1987)
  • 『太陽が変わる 景気が動く ― 経済学と自然科学の間』(桜井邦朋・嶋中雄二、同友館、1989)
これらの書が述べているのは、太陽活動と景気循環には密接な関係があるという考えです。太陽活動が活発(黒点が増加)になれば人間の経済活動も活発になり好景気に、太陽活動が低下(黒点が減少)すれば経済活動も低迷し不況に陥るのだそうです。原因はいろいろ考えられているようですが、もっともわかりやすいのは、太陽活動が活発であると農作物の生産量が増え、それがまわりまわって経済全体に好影響を与えるというシナリオです。太陽活動が人間の精神に影響を与え景気循環の遠因になっているというおもしろい説もあります ―― 太陽活動が活発になると、人間の精神も高揚、楽観的になり大胆な行動をとることが多くなる; 逆に、太陽活動が低下すると人間の精神も沈静化、悲観的になり行動も消極的になる。そのような人間精神の躁状態と鬱状態が、経済活動にも反映・波及するという考えです。

上記のような見方が成立するのか否か、さまざまな議論があります。太陽の活動レベルと景気は、必ずしも同期しているわけではないようです。しかし、過去に例を見ないほどの太陽活動の低下と、過去最悪といわれる金融危機や景気の低迷の時期が重なっている点、太陽が停滞期を脱し始めた兆候が現れた時期と景気回復の兆しが見られ始めた時期が重なっている点は注目してよいと思います。

空に浮かぶ完璧なリング

バージニア州にあるテーマパークを訪れた一家が、上空に完璧なリングを目撃、ビデオにおさめました。テーマパークの担当者はメディアの取材に対して、「ボルケーノ」と呼ばれるアトラクションから立ちのぼった煙だと答えているのですが、目撃した一家は 〈リングは完璧な円形で固く引き締まっており煙などではない〉 として、神からの何らかの「サイン」であると考えているとのことです:
信心深いことが悪いことであるとは言いませんが、自分の知見が限られていることを自覚せずに判断を下すと、往々にして誤った結論や信念に囚われてしまう事例の一つだと思います。

空からオタマジャクシが降る ― 今度は宮城と愛知

今度は宮城県と愛知県です:
これだけ続くと、空からオタマジャクシが降るのは雨や雪が降るのと同じくらい当たり前のような気がしてきそうです。天気予報で「今日は、晴れ、ときどき曇り、ところによってはオタマジャクシが降るでしょう」というアナウンスがあったりして……。

今朝の TV 番組で、漫画家のやくみつる氏が自身の目撃体験から〈カラスが遊びでやっているのでは〉という考えを述べていました。やく氏が実際に見たのは、カラスが桜の花をついばんでは捨てるという遊び行動だったのですが、それと同じではないかという意見です。

動物の行動というのは不連続に伝播することがあるようです。記憶が曖昧ですが、ある島で始まったサルの芋洗い行動(投げ与えられた芋を海水で洗って砂を落とし、塩味を付けてから食べる)が、まったく交流がない離れた場所のサルの群に伝わったという報告を読んだ(TV で見た?)憶えがあります。カラスは頭の良い動物ですので、新しい遊びを生み出すこと、そして、それが他の地域に急速に広まるということも、あながちあり得ないことではないのかも知れません。

関連記事:

2009年6月16日火曜日

死亡危険指数

スイスのジュネーブを本拠とする国連・国際防災戦略UN/ISDR)が、国・地域別の自然災害による死亡危険指数(MRI: Mortality Risk Index)を発表しました:
MRI は、台風やサイクロン、地震、洪水、土砂崩れなどの自然災害によって死者が出る危険性を 0(Unknown exposure)から 10(Extreme)までの 11段階に指数化したものです。

発表された資料(pdf 形式)は以下にあります:
最も死亡危険指数の高い国は総合指数が 9(Major)で、中国、インド、インドネシア、バングラデシュ、ミャンマー(ビルマ)、コロンビアの 6ヵ国です。

日本は総合指数(Multi MRI)で 7(High: 高い)と評価されています。先進国の中では単独 1位です。地震による死者の絶対数が総合危険度を押し上げているようです。同じ危険度のグループには、台湾、ベトナム、コンゴ民主共和国(コンゴとは別)、バヌアツ、トルコ、ドミニカ共和国(ドミニカ国とは別)、エルサルバドル、エクアドル、アルジェリアなどが入っています。

空からオタマジャクシが降る ― 広島・岩手・静岡に波及

空からオタマジャクシや小魚が降る(?)現象が、広島県・岩手県・静岡県に波及しています:
広島県では、オタマジャクシだけでなく成体のトノサマガエルも含まれています。岩手県では、農作業中の女性のそばに落下しています。

これだけ報告数が増えてくると、中にはイタズラによるものが含まれているかも知れません。飛んでいるカラスが吐き出したという説には、鳥類の専門家から〈体の仕組み上、カラスは飛翔中に体の中の袋に貯えたものを吐き出すことができない〉との否定的見解が出されています。サギが吐き出したという説については、なぜ今年だけこのような現象が立て続けに起こるのかという疑問が残ります。今までもこのような現象はあったけれど注目を集めなかっただけで、報道されたことによって一般の人たちが注意するようになり報告が増えたのか、サギなどの鳥類に何らかの奇病が広まっていて、飛翔中に嘔吐することが増えたのか、……。

関連記事:

2009年6月15日月曜日

地震の際の避難行動を見直し

「机の下に隠れる」「あわてて外に飛び出さない」という地震の時の心得が見直されることになりそうです:
今さら、これまでの避難指針は「昔からの伝承や、過去の経験から引き出した心得などをまとめたもので、有効性を厳密に確認したものではない」とサラリと言われるとは …… 。そのような前提条件があったのなら、明確に国民に伝えておくべきであったと思います。これまでの指針に従ったために、かえって圧死したり焼け死んだりした方もおられたのではないでしょうか。

以前は「グラッときたら、何はともあれまず火の始末」といわれたものです。しかし最近は、机の下に隠れるなどの身を守る行動の方が優先度が高いと言われます。揺れている最中の火の始末は火傷の危険が高い、また、消火は揺れがおさまってからでも間に合うというのが理由のようです。これも再び見直されることになるのかも知れません。

大きな被害地震があるたびに欧米では電子メールなどで、“triangles of life”という避難行動の指針が流布します。机の下などに身を隠すのはかえって圧死のリスクが高まるとして、室内にある“triangles of life”への避難を推奨するものですが、各国の防災当局は否定に躍起になっています。ことによると、この避難方法も再評価されることになるのかも知れません。

以下は、“triangles of life” を推奨するサイトと、否定するサイトです:

芙蓉山(松輪富士)が噴火

6月 12日付で カムチャツカ半島のシヴェルチ山が大噴火したことを書きましたが、ほぼ同時に千島列島の Matua 島(日本名:松輪島)にあるサリチェフ峰(日本名:芙蓉山、松輪富士)も噴火を始めていたようです。12日(金)に噴火し始め、高さ 8000m 以上、長さ数百 km におよぶ巨大な噴煙がたなびいているとのことです:
NOAA(米国海洋大気庁)のサイトに噴煙の衛星写真が掲載されています:
上記写真は、日本時間 6月 12日 16:30に日本の MTSAT(運輸多目的衛星、改名後はひまわり 6号か同 7号)によって撮影されたものを NOAA が掲載しているものです。

噴煙によって周辺を飛行する航空機に障害が出る恐れがあり、警報が出されています。シヴェルチ山の場合と同様、日本と北米などを結ぶ定期便が影響を受ける可能性があります。

サリチェフ峰の噴火は 1760年代から記録に残っていますが、静かに溶岩を流出する活動と激しく爆発する噴火を繰り返しているようです。最大の噴火は 1946年に発生し、火砕流が海に到達したとのことです。

関連記事:

2009年6月14日日曜日

ベテルギウスが収縮

ベテルギウス(α Orionis、オリオン座のアルファ星)の直径が 15年前に比べて 15% 縮小していることが観測からわかり、注目を集めています:
ベテルギウスは、オリオン座の四角形を構成する 4つの恒星のうちで、向かって左上に位置する赤い星です。明るさは 0.5等級で、わずかに脈動変光することが知られており、地球からの距離は 2009年版『天文年鑑』(誠文堂新光社)によると 450光年です。このベテルギウスの半径は太陽-地球間の距離の 5倍を超え、もし太陽の位置にベテルギウスを置いたとすると、木星までもがベテルギウスの内部に入ってしまうほどの巨大恒星です。上記の記事は、この赤色超巨星の直径が過去 15年間で 15% も縮んでいることが観測から判明したことを伝え、超新星爆発を起こす兆候ではないかと取りざたしています。

超新星について『世界大百科事典』(平凡社)から引用します:
supernova 星が急に太陽光度の 100億倍もの明るさで輝きだし、その後 1 ~ 2年かかって暗くなっていく現象のこと。もっとも明るいときには銀河全体の明るさに匹敵し、新星の明るさの 100万倍にもなるので、超新星と呼ばれる。これは、星がその進化の最後に起こす大爆発で、その際に放出されるエネルギーは 1051 エルグと推定されている。この莫大なエネルギー放出のために、まわりの星間空間は、強い衝撃や加熱など大きな影響を受ける。そして宇宙線の加速や新たな星の誕生へと結びつく。 (中略) また、爆発の後に中性子星が残されることもある。

私たちの銀河系では、超新星は 185年以来、少なくとも 8回出現したことが中国、日本、朝鮮、アラビア、ヨーロッパの記録に残されている。そのなかでも有名なのが、1006年、54年(かに星雲で藤原定家の《明月記》に記述がある)、1572年(チコ・ブラーエの観測)、1604年(ケプラーの観測)の 4つである。チコやケプラーの超新星は、天空は不変であるとする当時の宇宙観に大きな衝撃を与えた。20世紀に入ってから、私たちの銀河系以外の銀河でも超新星が観測されるようになった。現在では、毎年十数個の超新星が発見されており、その平均的な出現率は、一つの銀河につき約 50年に 1個の割合と推定されている。
ベテルギウスのような巨星はその進化の末期になると、中心核でのエネルギー生産が止まり重力によって加速度的に収縮(重力崩壊)します。この爆縮的崩壊の反動として衝撃波が発生し、巨星の外層部は急激な核融合反応を起こし超新星爆発となります。

上記『世界大百科事典』の記述にある有名な 4つの超新星(1006年、1054年、1572年、1604年)のうち、1006年のものは人類が記録に残した中で最も明るい超新星とされています。このときは、深夜でもこの超新星の明かりで本が読めたと言われています。1054年の超新星の残骸は現在でも「かに星雲」としてアマチュアの望遠鏡でも観測可能です。星雲のリストとして有名なメシエ・カタログでは最初に記載されており、「M1」(メシエ・カタログの 1番目の意、ちなみに有名なアンドロメダ大星雲は M31)とも呼ばれます。この星雲の中では、超新星爆発を起こした星がパルサーとして現在も回転を続けています。1572年と 1604年の超新星はそれぞれ「ティコの新星」、「ケプラーの新星」と呼ばれ、天球は不変であるというアリストテレス以来の宇宙観や、キリスト教の天動説ドグマを揺さぶり、その後のガリレオ・ガリレイの「それでも地球は動く」という言葉につながっていきます。

地球から 上記 4つの超新星までの距離は、それぞれ 7175光年、7000光年、20000光年以内、7500光年とされています。一方、ベテルギウスまでの距離は資料によって 450光年、640光年、700光年などばらつきがありますが、いずれにせよ 10分の 1以下です。したがって、ベテルギウスが超新星爆発を起こすと、人類がこれまで経験したことがない明るさに達する可能性があります。

恐竜の絶滅の原因は、太陽系の近くで超新星爆発が起き、大量の放射線が地球を照射したためだという説があります。その真偽はともかく、地球に比較的近いベテルギウスが超新星爆発を起こせば、オゾン層の破壊など多少の影響が出ると考えられます。

ベテルギウスまでの距離が数百光年ということは、われわれが現在見ているベテルギウスは数百年前の姿だということです。ことによると、ベテルギウスはすでに超新星爆発を起こしていて、われわれが実際にそれを知るのは数百年後ということかも知れません。

2009年6月12日金曜日

「かぐや」の運用完了

日本の月周回衛星「かぐや」は予定どおり 6月 11日早朝、月面に衝突しました。以下は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の発表文です:
この記事を書いている時点で JAXA は上記発表文の英語版を掲載していないため、欧米のブログなどでは機械翻訳した情報が出回っています。以下はその一例ですが、「かぐや」が “furniture store”(家具屋)になってしまっています(JAXA の情報公開については不満がいろいろありますが、それは別の機会に述べたいと思います):
「かぐや」の衝突閃光を観測したという情報は、今のところ一例しか見つかりません。4枚の連続写真で、左から 2枚目に一番強い閃光が記録されています:
月を周回していた 3ヵ国の衛星のうち、中国の「嫦娥 1号」は「かぐや」に先だって 今年 3月初めに落下、残るはインドの「チャンドラヤーン 1号」のみとなりました:
しかし、「チャンドラヤーン 1号」の孤独は間もなく解消されます。アメリカが 6月 17日に LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)と LCROSS(Lunar Crater Observation and Sensing Spacecraft)という 2つの探査機を打ち上げる予定になっているからです。LRO は「かぐや」と同じく月の周回軌道からさまざまな観測をおこない、将来の有人着陸の候補地を探します。LCROSS は、自分自身と、自分自身から切り離した物体を月面の永久に日光が当たらないクレーターに衝突させて、地下に水が存在するか否かを調べます。

それにしても、いまだに月に正体不明の人工物があるとか宇宙人の基地が見つかっているが NASA は隠蔽しているとか真顔で言う大人がいるのには正直あきれます。探査機による月の調査がアメリカとソ連(ロシア)に独占されていた時代ならいざ知らず、政治体制や価値観の異なるさまざまな国が探査機を送るようになり、観測の精度もアポロ計画やそれ以前に比べて格段に向上している現在、月面に関する「秘密情報」を隠蔽し続けることなど不可能です。それらの「秘密情報」に寸毫の信憑性もないことは明らかだと思います。

関連記事

シヴェルチ山が大噴火

ロシア極東のカムチャツカ半島にあるシヴェルチ山が、今日、大噴火を起こしたもようです。下記はロシアのニュースサイトの記事です:
記事によると、最も近い居住地までは 50km あり影響はない見込みだが、噴煙が 7700m の高さまで立ちのぼっており、航空路に影響が出る可能性があるとのことです。日本と北米などを結ぶ航空機も迂回する必要があるかも知れません。

シヴェルチ山は過去 1年以上活発な火山活動を続けていましたが、5月 29日から地震活動が激化していました。記事に掲載されている写真は 2000年に噴火したときのものですが、核爆弾のキノコ雲のように見えます。

シヴェルチ山の位置は以下の地図で確認できます:

2009年6月11日木曜日

台風が“スロー地震”の引き金となる

今朝から、各ニュースサイトが一斉に報じています。台風による気圧低下がスロー地震(スロー・アースクエイク、ゆっくり地震)を誘発していることが明らかになり、イギリスの科学誌『ネイチャー』最新号に論文が掲載されます。カーネギー研究所(アメリカ・ワシントン)の研究チームが、台湾の東海岸における 5年間の精密観測によって、スロー地震と台風の間の相関関係を見いだしたとのことです:
記事によると、研究チームは 5年間の観測期間で 20回のスロー地震を記録。スロー地震は、台風のない季節にはまったく発生せず、また、20回のうち 11回は台風と同期して発生。偶然このような相関が現れる確率は無視できるほど小さい。台風と同期して発生した 11回のスロー地震は、他の 9回と比べて規模が大きく、また波形も複雑であった、とのことです。

カーネギー研究所の発表にある説明図を拡大したものが下記にあります:
気になるのは、この図に斜めに書き込まれている “Small increase in likelihood of failure (i.e. small increase … of unclamping)” という文言です。「断層が動く確率がわずかに上昇する」という意味に受け取れます。だとすると、多くの記事が伝えている華々しい研究成果という雰囲気とは違っているように思えます。

注意したいのは、台風の影響が地下におよぶのは台風が陸域にあるときだけだという点です。台風が海域にあるときは、海水が周囲から集まって来て気圧低下を相殺してしまいます。一般の地震について台風や低気圧との関係を云々するアマチュアがいますが、この点を理解していないことが多いようです。以下にナショナル・ジオグラフィックの記事から引用します:
低気圧である台風が海上にある場合は、海面水位が局地的に変化することで海底にかかる圧力のバランスが保たれている。「しかし、台風が陸上にある場合はそのようなバランス保持が行われないため、陸にかかる圧力がわずかに低下することになる」とリンディ氏は解説する。
さらに、台風が来ればどこででも地震が起きるわけではありません:
「台風は最終的な引き金となるだけであり、その前の時点で断層運動の準備が整っていなければスロー地震は起こらない」

2009年6月10日水曜日

送電線は動物の方向感覚を乱す

齧歯類とコウモリを除く哺乳類が、地磁気にもとづいて体の向きをそろえていることが実証されたという記事です:
以下は記事の要旨です:
ドイツの研究チームは、昨年、グーグル・アースの航空写真などを分析することによって、放牧されている家畜や野生の鹿には、草を食べたり体を休めたりするときに体の向きを南北方向に向ける傾向があることを見いだした。これは、地磁気に反応していると考えられた。

それら大型の反芻動物が地磁気に反応しているのであれば、送電線が近くにあり地磁気が乱されている場所では体の向きが南北にそろうことはなく、ばらつくはずである。もし、ばらつかなければ、それらの動物は地磁気ではなく、太陽の位置など別の要因に反応している可能性が出てくる。

グーグル・アースの画像を使ってヨーロッパの家畜を、また、実地の観察によって野生のノロジカを調査した。その結果、送電線のそばではそれらの動物はあらゆる方向を向いていること、また、送電線から遠ざかるほど体を南北方向に向ける傾向が強まることが確認された。

ただし送電線が東西方向に走っている場合は例外であった。このような場合、動物は送電線の走向に合わせるように東西方向に体を向ける。理由は今のところ不明である。

今回の調査によって、齧歯類とコウモリを除く哺乳類が地磁気によって体の向きをそろえることが、初めて強力に実証された。草食動物の彷徨にとって、体内コンパスが役立っていると考えられる。
人間に地磁気に対する感受性があるか否かはよくわかっていません。上記の研究結果から連想するのは、死者を横たえる際の北枕とか、オカルト的ですが、オリオン座の方向に頭が向くように南枕で眠ると心身に良いといった話です。動物と同じように南北方向に体の軸をそろえることに何か関連があるのかも知れません。

私はかなり方向音痴です。特に大規模な地下街に入ったときによく迷います。地下街では地磁気が乱れているのでしょうか(grin)。

バイカル湖の 「ミステリー・サークル」

バイカル湖の凍結した湖面に巨大な黒いリングが現れているのを、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士が撮影し話題になっています:
  1. Mystery of Giant Ice Circles Resolved (写真あり)
  2. Astronauts Notice Mysterious Ice Circles in Lake Baikal in Russia (写真 2葉あり)
2番目の記事に掲載されている写真の 1枚目は拡大写真、2枚目は全体像で湖の南西端に小さくリングが写っています。

以下は記事の要約です:
  • ロシア側の記録によると、このようなリングは 1985年と 1994年にも見つかっている。
  • 黒いリングの部分は氷が薄くなっている。
  • 最新のものは直径 4.4km あり、氷上はもちろん、近くの山の頂から見ても大きすぎてリングとは認識できない。
  • 湖底から湧きだしたメタン・ガスや温かい水が、コリオリの力(低気圧や台風が渦を巻く原因)によって渦を形成しながら上昇、湖面の氷の下面をリング状に溶かすことによって、黒いリングが形成される。
なぜ円盤状ではなくリング状に氷が溶けるのか、今ひとつすっきりしません。

バイカル湖については広辞苑(岩波書店)に次のように書かれています:
シベリア南部にある大淡水湖。水面標高 455m、面積 31500 平方km。世界一深い湖で、最大深度 1620m。透明度は 40m を超え、世界一級。断層で生じた地溝湖。12月 ~ 5月は氷結。
なお、バイカル湖はユーラシア・プレートとアムール・プレートの境界にできた地溝湖とも考えられており、湖底から熱水やガスが立ちのぼっていることがわかっています。

2009年6月9日火曜日

「かぐや」の月面衝突閃光

6月6日付「月が赤くなります」で触れた月周回衛星「かぐや」の月面衝突が明後日早朝に迫っていますが、その詳しい予報を電気通信大学柳澤研究室が出しています:
衝突は満月が少し欠けた影の部分で起きますが、閃光が暗く、また満月に近い月の明るさがあるので、双眼鏡程度での観測は無理なようです。それに、関東地方は梅雨入りまぢかで天気の面でも期待はできません。

以下の『ニューサイエンティスト』誌の記事には、衝突予想地点の写真が掲載されています:
柳澤研究室のページには、流星群による月面衝突閃光の貴重な写真も掲載されています:

イエローストーンで熱水爆発

書きそびれていた情報です。5月 17日に米国・イエローストーン国立公園内のビスケット盆地(Biscuit Basin)にある池で熱水爆発(hydrothermal explosions)が発生、泥や岩石と高温の水を 15m を超える高さまで噴き上げています。この現象は、イエローストーンでもわずかしか記録されておらず、まれな出来事とのことです:
通常、間歇泉は熱水だけを一定の間隔で吹き上げますが、熱水爆発ではそのエネルギーが大きいため、間歇泉を構成する岩盤の一部も一緒に噴き上げられるとのことです。今回爆発を起こした熱水の池は、有名な間歇泉 “オールド・フェイスフル” の下流にあります。爆発が起きたときには、地質学者や地球物理学者の団体が学会後のツアーとしてたまたま現地を訪れており、至近距離で熱水爆発を目撃した学者の一人は、「一生にいちどの出来事で良い勉強になった」と語っています。

2009年6月8日月曜日

人類のおぞましい過去

現生人類の祖先(あるいは解剖学的特徴が現生人類に近い種族)が、ネアンデルタール人の子どもを食べ、さらにその歯で首飾りを作っていたことが、フランス南部の遺跡から発掘された 28000 年 ~ 30000 年前の遺物で確認されたとのことです:
ネアンデルタール人の子どもの顎骨に残る調理痕(石器の傷跡)から、人類がこの子どもを食べたことは間違いないようです。しかし、狩猟の結果としてこの子どもを殺したのか、他の動物に襲われるなどしてすでに死んでいた子どもの体を持ち帰ったのかは不明です。

ネアンデルタール人がなぜ絶滅したのかはいまだによくわかっていません。生態学的地位が近い現生人類の祖先によって絶滅に追いやられた、現生人類の祖先と交雑して現生人類の系統に「吸収合併」されたなど、諸説があります。後者の説は、最近の遺伝子分析によって可能性が低くなったようですが。

また、次のような考えもあるようです ―― がっしりとした体と高い知能(脳の容積は現代人と同等以上)を持ったネアンデルタール人は大型動物を狩りの対象としていたのに対し、比較的きゃしゃな体格であった現生人類の祖先は小型の動物を捕らえて食料としていた。気候など環境の変化によって大型動物が激減しネアンデルタール人は衰退、一方、変化の影響をあまり受けなかった現生人類の祖先は生息範囲を拡げ今日の繁栄に至った。

話が少しそれますが、上記のような、ネアンデルタール人と後に大繁栄することになる現生人類の祖先との関係を考えるとき、さまざまな周辺民族と後に大帝国を築くことになる古代ローマ人との関係を私は想起してしまいます。以下は、「ローマ人の物語 Ⅰ ローマは一日にして成らず」(塩野七生、新潮社)からの引用です:
知力では、ギリシア人に劣り、
体力では、ケルト(ガリア)人やゲルマン人に劣り、
技術力では、エトルリア人に劣り、
経済力では、カルタゴ人に劣るのが、
自分たちローマ人であると、少なくない資料が示すように、ローマ人自らが認めていた。
周りの人がみな自分より立派に見えるようなときや、落ち込んだときに読むと多少なりとも元気の出る言葉です。

空からオタマジャクシが降る ― 石川県

TVドラマ『キイナ 不可能犯罪捜査官』の第1回目を思い起こさせる現象が石川県で起きています。この現象が起きたのは、今月4日午後4時30分頃と、5日から6日にかけての夜間。気象台によると、4日夕方も、5日夜から6日朝にかけても石川県内の大気の状態は安定していて竜巻が発生する状況ではなかった、また、気象台が観測できない小規模な竜巻が発生した可能性も低いとのこと:

2009年6月6日土曜日

月が赤くなります

今月は、8 日(月)午前 3 時 12 分に満月になります。毎年この時期、つまり夏至(今年は 6 月 21 日)の前後の満月は赤く見えることが多く、地震前兆関係の掲示板でも「月が赤い」という報告が増えるようです。これは、梅雨どきで湿度が高いことなどの気象条件の影響もありますが、天文学的な要因が大きく関係しています。その要因とは、この時期の満月の南中高度が低いということです。

南中とは月が真南に来ることで、月が東から昇り西に沈むまでの間で最も高度が高くなる瞬間です。南中高度とはそのときの地平線から月までを測った角度(仰角)です。この南中高度が低いということは、月が昇ってから沈むまで、ずっ低い位置を移動することを意味しています。

月が高い位置にあるときと、低い位置にあるときとを比べると、後者の方が月の光が、より長く大気圏を通過して人の目に届きます。大気は月の光を散乱させます。特に波長の短い青系統の光が散乱されやすいので、目に届くときには波長の長い赤系統の成分がより多く残っていることになります。この散乱作用の影響は、大気を通過する距離が長いほど強くなり、赤みが増します。高度が低いほど、月は赤く見えやすいということです。これは、高い位置にある昼間の太陽と比べて、低い位置にある夕日が赤く見えるのと同じ理由です。なお、国立天文台の下記ページにもわかりやすい説明があります:
なぜ夏至の前後には、満月の南中高度が低くなるのでしょうか。その理由を図を使わずに文章だけで説明するのは難儀ですので、この拙文を読んでくださっている方々の “food for thought” として残すことにします。ヒントとしては、夏至の時期には、北半球では太陽の南中高度が年間で最も高くなることに着目してください。満月の高度が低くなるのはこれと裏腹の現象ということです。

月についての話題をもう一つ。日本が打ち上げた月周回衛星「かぐや」が間もなく月面に落下します。「落下」というよりは、制御された衝突と言った方が適切です。現時点での衝突予測は、日本時間 6 月 11 日 3 時 30 分頃、月の表側で月の南極に近い場所となっています。衝突の際、地球から閃光が観測できるかも知れないとのことです。ひょっとしたら双眼鏡程度でも見えるのではないかと私は期待しています。衝突時刻や場所は今後変化する可能性があります。詳しくは JAXA (宇宙航空研究開発機構)のサイトを参照してください:

2009年6月5日金曜日

アスペラトゥス雲 ― 新種の雲?

世界気象機関(WMO)によって新しい雲の種類として認められるかも知れない「アスペラトゥス雲」の写真が掲載されています。特に 2 番目の記事に載っているニュージーランドで撮影された雲は、いかにも不吉なことが起きそうな感じがあり、日本に出現したら「地震雲」にされてしまいそうです:

ベイパー・コーン

音速に近づいた戦闘機(F/A-18F スーパーホーネット)の周囲に発生したベイパー・コーンと呼ばれる雲の写真です:
類似の写真が以下にあります。こちらは 2001 年以前に撮影されたもので、写っている戦闘機は「スーパー」の付かない旧型の F/A-18 ホーネットです。機体尾部が雲に隠れているので、まるでスターゲートを通って地球にもどってきた戦闘機のように見えます:

イギリス全土で多数の UFO 目撃

5月、特に下旬になってから、連日のようにイギリス全土やオランダの上空に多数の UFO が出現し、写真におさめられています:

アースクエイク・フィッシュを捕獲 ― 台湾

5月 31日から 6月 1日にかけての深夜、台湾・台東市の沖合でアースクエイク・フィッシュ(地震魚)が捕獲されたそうです:
捕獲されたアースクエイク・フィッシュとは、日本ではリュウグウノツカイと呼ばれる魚です。海面近くを泳いでいる(漂っている)ところを漁船に引き上げられ、全長 5m、重さ 100kg 超。台湾でも日本と同じく、この魚が現れると地震があるとの言い伝えがあり、地元の人たちが心配しているとのことです。捕獲された場所は、たびたび大きな地震が起きている海域で、昨年 10月にも今回よりやや小型のリュウグウノツカイが水揚げされているそうです。

記事では、リュウグウノツカイの英語名「キング・オブ・へリング」(ニシンの王)という言葉が使われていますが、“oarfish”(oar は櫂やオールの意)とも呼ばれます。ちなみに、リュウグウノツカイと同じく地震と関連づけられる魚に、サケガシラやテンガイハタがあります。前者は英語では「キング・オブ・サーモン」(鮭の王)と呼ばれます。見分け方などについては、以下のページを参照してください:

2009年6月4日木曜日

地球と人類を救ったエーリアン

今から 101 年前の 1908 年 6 月 30 日にシベリアで発生したツングースカ大爆発は、いまだに原因がはっきりしていません。彗星が水平に近い角度で大気圏に突入し爆発したという見方が有力ですが、今ひとつ決め手がありません。このように科学がはっきりとした答えを見いだせずにいる分野には、疑似科学がはびこります。ツングースカ大爆発については以前から UFO と結びつける説が色々提示されてきましたが、新しい説が一つ加わりました。地球の破壊と人類の絶滅を防ぐため、エーリアンが自らの乗った宇宙船を突入させて隕石を破壊したというものです:
欧米のニュースサイトにはさまざまなバリエーションが掲載されていますが、以下のマケドニアのニュースサイトの記事が元になっているようです:
この説を唱えているのはツングースカ宇宙現象財団の Yuri Lavbin 博士。同財団が 2004 年に実施した爆心地への調査隊派遣で、異常な石英の結晶などさまざまな「証拠」が収集されたとのことです。複数の記事を通覧すると、同博士が提示している「証拠」は以下の 4 点です:
  1. 石英の結晶の表面に残る三角形の文様(上記記事中に写真があります)。同じ文様を石英の結晶の表面に作ろうとしたが、現在の地球の技術では不可能なことが判明。
  2. 石英の結晶のうち 10 個には、それらの結晶を鎖状につなげるための孔があいている。実際につなげてみると、地図のようなものが形成され、宇宙船の航法システムの一部であったと推測される。
  3. 地球上では形成されるはずのない“ferrum silicate”(鉄と珪酸塩の化合物)。
  4. 石英の結晶の表面に残る奇妙な人物の肖像。
たったこれだけの「証拠」で、エーリアンが地球を救うために自らを犠牲にして宇宙船を隕石に衝突させたという壮大なストーリーがなぜ展開できるのか、まったく理解に苦しみます。「浜の真砂は 尽きるとも 世にトンデモの 種は尽きまじ」(*)というのが私の感想です。

なお、 Lavbin 博士の写真は以下のブログに掲載されています:
(*)もとは「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」(大泥棒・石川五右衛門の辞世の句とされている歌)です。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

2009年6月2日火曜日

ホンジュラス沖の地震

現地時間 5月28日(木)午前 2時 24分(日本時間 同日午後 5時24分)に中央アメリカ・ホンジュラス沖で発生した M7.3 の地震では、これまでのところ死者は 7人(そのうち少なくとも 3人は子ども)、負傷者は 十数人と報道されています。コンクリート製の橋が落下したり、プールの水が揺れであふれ出すなど、大きな揺れがあったことはたしかなのですが、犠牲者の数は幸いにも予想外に少ないという印象です(今後増える可能性はありますが)。

地震発生直後には津波警報も出されましたが、大きな波は観測されず、警報は約 90分後に解除されています。


上の地図は今回の地震の震央を示す地図です。やや左下から右上に向かって延びている緑色の線はトランスフォーム断層で、この断層の北側が北米プレート、南側がカリブ・プレートです。今回の地震は、この 2つのプレートの境界で起きた地震ですが、日本周辺で起きるプレート境界型の地震(逆断層型)とは性格が異なり、横ずれ断層によって引きおこされたようです。そのことは、米国地質調査所(USGS)の資料にある発震機構解を見るとわかります。ビーチボールのように見える震源球が、濃い色と薄い色でほぼ 4等分されていて横ずれ断層であったことを示しています。また、濃い色の部分は圧縮応力、薄い色の部分は伸張応力が働いたところなので、断層の走向を考慮すると、今回の地震によってカリブ・プレートが北米プレートに対して東方向に移動したことがわかります。

原因が横ずれ断層であったことが、浅いところでおきた大地震(震源の深さ 10km)であったにも関わらず大きな津波が発生しなかった理由と考えられます。

Image Credit: U.S. Geological Survey

2009年6月1日月曜日

ヘビが原因の連続停電 岩手県

5月 30日(土)午後 9時 28分と翌 31日(日)午前 2時10分の 2回、岩手県平泉町から一関市にかけての地域で、ヘビが原因とみられる停電が発生しています。電柱上に 1匹、電柱の根もとにさらに 1匹、感電死したヘビが見つかっています:
過去の類似事例も参照してください: