マッハ20を超える極超音速で飛行し、地球上のいかなる目標にも60分以内で到達できることを目標とする Falcon HTV-2(Falcon Hypersonic Technology Vehicle-2)の2回目の発射が8月11日におこなわれました。結果は1回目と同じく、飛行中に通信が途絶し太平洋に落下/墜落したとのことです:
- Rocket-launched hypersonic bomber falls into the sea (ロケットで打ち上げられた極超音速爆撃機が海に落下)
- Hypersonic Glider's Test Flight Goes Awry (極超音速滑空機の試験飛行は失敗)
- Hypersonic plane's flight ends in crash (極超音速機の飛行は墜落に終わる)
上記『NewScientist』誌の記事では2回続いた失敗の原因について、「(極超音速飛行によって発生する)高熱だけが原因ではなく、機体の周囲に発生したイオン化した高温プラズマが深刻な電気的干渉を(機体内部の装置に)起こしているのではないか」と示唆しています。
Falcon HTV-2の飛行の様子を示すアニメーションが以下にあります。後端部に設けられた噴射装置で姿勢を制御しています。これは、極超音速飛行では通常の飛行機にあるような補助翼、昇降舵、方向舵が使えないか、使えたとしても極超音速やそれによって発生する高温(摂氏2000度前後)に耐えられるものを設計するのが困難だからと思われます:
動画中に現れるHTV-2の飛行経路図は以下にあります:
今回の結果について、Falcon HTV-2の研究開発をおこなっているDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency 国防総省国防高等研究事業局)は以下のような文書を発表しています:
- DARPA HYPERSONIC VEHICLE ADVANCES TECHNICAL KNOWLEDGE (DARPAの極超音速飛行体は技術的知識を進歩させる)
タイトルからして遠回しな言い方で、本文でも「失敗」とは言っていません。2回連続の失敗をなんとかポジティブに表現しようと涙ぐましい努力をしたようです(笑)。『TIME』誌のブログは、試験飛行の失敗とこの発表の「失敗」を重ねて皮肉っています:
- The Pentagon's Amazing Failure (ペンタゴンの驚くべき失敗)
アメリカの財政状況からすると、今後、Falcon HTV-2の研究開発プロジェクトが打ち切られる可能性もあるのではないでしょうか。
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