- コンセプシオン・クレーター (衛星写真:クレーターの外周 1時の位置にオポチュニティも小さな塊として写っています)
- チョコレート・ヒルズ (疑似カラー画像のため、実際の色とは違っています)
- コンセプシオン・クレーターとチョコレート・ヒルズ (疑似カラー画像のため、実際の色とは違っています; チョコレート・ヒルズ以外にも皮膜の付着した岩石が写っています)
2004年 1月に 2機の探査車が火星表面で活動を始めて以来 6年以上が経過していますが、このような状態の岩石が見つかったのは初めてとのことです。オポチュニティはコンセプシオンの周辺に約 6週間とどまって分析データの収集を続けました。その結果、チョコレート・ヒルズ自体は隕石の衝突によって放り出された岩盤の一部にほぼ間違いないことが判明していますが、付着している皮膜の正体ははっきりしていません。
皮膜の成因について現在有力な仮説は 2つあります。1つ目は、隕石衝突時の高温で部分的に溶融した火星の鉱物が付着したとする説です。隕石由来の物質でないことはオポチュニティの取得したデータから明らかで、隕石そのものは衝突時に蒸発してしまったと考えられています。2つ目は、隕石衝突のはるか前に、チョコレート・ヒルズの母体となった岩盤の割れ目に水の作用によって鉱物が蓄積、それが隕石の衝突によって表面に現れたとする説です。
現在、コンセプシオンの観察を終えたオポチュニティは、当面の目標であるエンデバーという名の大型クレーター(直径 19km)に向かって進行中です。大きなクレーターほど底が深く、より古い時代の地層や岩石が観察できると考えられているからです。もう一方の探査車スピリットは “トロイ”という名の砂地に車輪が沈み込んで移動できなくなっています。今後は、固定基地として運用され、火星の自転運動を精密に測定し、火星の内部構造を推定するためのデータを収集することになっています。
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